某国の皇子、冒険者となる

くー

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第7章 命の代償

14. 死霊

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とうとう陽が沈み、辺りは闇に包まれてしまった。
各々の持つランプの灯りだけが頼りだ。

「今、何階だろ……」
「54階です。あと少し……がんばりましょう」

そのとき、唐突にモンスターの気配を感じた。
「何か来る!」

蠢く影が集まり、徐々に形作られてゆく。

不気味な浮遊物の中央には、顔のようなものが浮かんでおり、ぞっとする視線を俺たちに投げかけてくる。
それは苦し気な唸り声を上げて、こちらに向けて手を伸ばしてきた。

これが――死霊?

こ、こわい……
もしも仲間と一緒でなければ、あまりの恐怖に、立っていることもできなかっただろう。

「みんな下がれ!」
ウィルは先頭に立って盾を掲げている。だが、死霊の攻撃を盾で防ぐことができるのだろうか?
ウィルもそう考えているのだろう。迫りくる死霊の動きに合わせて、徐々に後退していた。

ニケは何かの呪文を詠唱している。

「ノア!炎魔法が効きそうじゃないか!?」
ジンの声にハッとして、俺も呪文の詠唱を始めた。

エトワールの放った矢は、死霊のからだをすり抜けた。
「手ごたえがまったくありません。おそらく、物理攻撃は効かないでしょう」

「ディバインマジック!」
ニケの放った眩い光を浴びて、死霊は動きを止めた。

「フレイムウォール!」

炎の壁が敵の周囲を取り囲み、死霊は断末魔の叫びのような金切り声を上げて、消え去った。あとには人をかたどって彫られた小さな木の呪物のようなものが残されていた。

これが必要な素材のひとつ、死霊の憑代か?

「はあ……こわかった……」
「大丈夫?ノア」
「う、うん……もう倒したんだし、平気……」

リアル幽霊の迫力……はんぱない……

「ニケ、ノア!ナイス魔法攻撃!」
「何はともあれ、ふたつめの素材が手に入りましたね」

残るはあとひとつ……キマイラの心臓だけだ。



それから三階ほど階段を登ったところで、あきらかに空気が変わった。
最上階まであと三階だ。

「上に何かいる……」
「ええ……みなさん、決戦は近いです。気を引き締めて行きましょう」
「ジンは血を飲んでおいた方がいいんじゃない」
昨日の内にみんなで少しずつ献血しておいたものをジンに渡していた。
「オッケー!」


そして俺たちはついに、塔の最上階へと到達した。
その場所は、かつては祭壇として使われていたのだろうか……天井は塔のどの階よりも高く、幾本もの柱が建てられている。柱や壁はあちこちに繊細な彫刻に彩られていた。

部屋の奥に、何かいる――
かすかな月の光が魔物の巨躯を照らし出していた。



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