ぶらり京都紀行 冬の京料理と祇園スイーツ

蔵屋

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第二巻 2026年元旦

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 「新年あけましておめでとうございます」
立花悠人の元気な声である。
 昨年取材したたん熊のグルメ雑誌が評判になり、また、たん熊の店の写真が表紙を飾りたん熊は一躍有名になった。
 そしてその記事を取材した立花悠人もグルメ企画から表彰され、感謝状と金一封を贈呈されていた。昨年12月のことである。
今日はたん熊の店主熊木力蔵に招待され昨年の大晦日からたん熊の自慢の割烹料理を食べ、日本酒を呑み新年を迎えたのである。
力蔵には3人の子供がいた。一男二女である。
 長男の実、長女のすず25歳、次女の結衣20歳である。すずは京都の民間企業の事務員である。結衣は京都女学院大学の2回生である。文学部で現代文学を学んでいる。
女将の史花は実の母親である。ねんれいは50歳。色白の美人である。
 いつも悠人のことを仮面ライダーと呼ぶのだ。その理由は主人公の仮面ライダーの俳優に似ているからという理由からである。
「仮面ライダー、今年もたのむよ。」
 悠人は女将に声をかけられた。
悠人は照れながら「分かりました。女将さん、いい取材記事を書きますから。」
「さあさあ、みんな、今年も元気で明るく楽しく。いつも笑顔でね。今年も健康で頑張っていきましょう」
 女将の音頭でたん熊の新年が始まったのである。
 「おめでとう。乾杯!」 
 「お父さん、お母さん、おめでとうございます。」
 「おめでとう」
 「おめでとう」
 「お父さん、お母さん、おめでとう御座います」
 「おめでとう」
 「おめでとう」
 「お父さん、お母さん、おめでとう御座います。今年もよろしくお願いします」
 「おめでとう。実、頼むよ」
 「おめでとう。実、頑張ってね」
「さあ、仮面ライダー、呑んでよ」
女将は悠人の杯に御神酒おみきを並々と注いだ。
「女将さん、ありがとうございます」
悠人も女将も上機嫌である。

たん熊の〝おせち“は料亭だけあって豪勢である。

おせち料理は、お正月に年神様をお迎えし、一年の豊作と家族の安全を祈願する伝統的な料理です。もともとは季節の節目に神様にお供えする「御節供(おせちく)」が由来で、特に重要な正月料理を指すようになりました。
たん熊のおせち料理は、平安時代の宮中で行われていた「御節供」が起源とし、江戸時代に庶民に広まり、お正月に食べる料理として定着したものをそのままたん熊のおせちにしたのだ。
 たん熊の各料理に込めた食材には伝統的な意味がある。
とうぜん、おせち料理の各食材には、縁起の良い意味が込められている。
まず黒豆である。
「まめに働く」に通じ、家族の無病息災を願う。
次に数の子はニシンの卵であることから「二親にしんの子」とされ、子孫繁栄を願う。
次に田作りである。
 昔はイワシを畑の肥料にしたことから、五穀豊穣を願う。
次に紅白なますは水引に見立てられ、家内安全や魔除け、縁結びの意味がある。
次に伊達巻は巻物に似ていることから、知識や知恵が増えることを願う。
次に栗きんとんは黄金色から金運上昇を願い、「勝ち栗」として勝負運も願う。
次にれんこんは穴が開いていることから「将来を見通せる」という意味がある。

たん熊ではおせちの重箱の詰め方に特徴がある。
一般家庭はおせち料理は重箱に詰める。

たん熊の一の重は祝い肴(黒豆、数の子、田作りなど)と口取り(伊達巻、栗きんとんなど)を詰める。
次に二の重は焼き物(鯛、海老、鰤など)を詰める。
次に三の重は煮物(れんこん、里芋など)を詰める。
次に与の重は酢の物(紅白なます、菊花かぶなど)を詰める。
最後に五の重であるが「福を詰める」場所として空にしておくのが習わしである。

悠人は力蔵、実、すず、結衣と日本酒を右手に持ち酌をしながら挨拶をして回り、一緒に呑みながら談笑している。
この新春の元旦はどのご家庭もそうだと思うが遠方に就職して一年の内数回しか帰省出来ない息子や娘や孫や親戚縁者と会える喜びはひとしおである。
どうか、今年一年、健やかにまた、幸せにお暮らし下さい。と申し上げたい。



「新年、あけましておめでとうございます」

「神知りて 人の幸せ 祈るのみ

 神のつたへし日月神示 愛善あいぜんの道《光道》」

 歌人 蔵屋日唱くらやにっしょう

 令和八年元旦 
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