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第四巻
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悠人は応援室でホットコーヒーを飲んでいた。この寒い時期にホットコーヒーは体を温めることが出来て有難い。
伊集院拓哉が応接室に入って来た。
「やあ、お待たせしました」
「お久しぶりです」
「いや。」
しばらくして、女性社員がホットコーヒーを持って来た。拓哉のテーブルの前に置いた。
「ありがとう」
拓哉はホットコーヒーを美味しそうに飲み始めた。
「で?今日はどのような用件で?」
「はい。団体生命保険の更新の時期が近づいて来ましたので」
「そうですか、もうそんな時期になりますか」
「はい。」
「昨年は社員が病気で5人亡くなって、一人当たり5億円が会社に入金になりましたよ。財務部長が営業外収益で5億円、儲かった、と喜んでいましたよ」
「そうですか。それは良かったです。今回も国内社員3300人分の更新になります。
こちらの契約書に御社の実印を押印して下さい」
「分かりました。しばらくお待ち下さい」
そういうと伊集院は応接室を出た。
しばらくして、伊集院は契約書に実印を押印して応接室にやって来た。
「これでよろしいですか?」
悠人は契約書の社印の押印箇所を確認した。
「はい。これで結構です」
「そうですか。よろしくお願いします」
「しかし、この死亡保険金を当社が取り込み遺族には退職金規定の金額しか渡してないのになんだか、気が引けますなぁ」
伊集院はこの団体生命保険が近い将来、必ず金融監督庁により、制度の見直しがあると考えていた。本来なら社員に死亡保険金支払いの生命保険契約を締結する場合は、社員一人ひとりの承諾が必要だと思うのであるが、当時は、その必要はなかったのだ。この制度は筆者が実際に経験した実務である。
その数年後に制度の見直しがあり、全社員に公表するとともに、社員一人ひとりの承諾をもらう書類を作り、捺印して人事部宛に送付してもらうことになったのだ。
金額も一人当たり1億円から1500万円に変更となった。
この当時は、このようにおかしな制度がたくさんあった。私たち人事部にとっては非常にやりやすかったのである。業務は単純作業であり、ただ先方が持ってきた書類に実印を押すだけで事足りた。
しかし、制度の見直しがあってからは3300名の社員一人一人から承諾書を提出してもらい、それを確認した上で契約をすると言うことになったのである。その分人事部の業務が煩雑になったと言うことである。
この職域団体生命保険は、いわゆる生保レディーが休憩時間中に社内で社員と面談をする保険とは違う。その保険の名前は職域団体生命保険と言うのである。これについては会社は単に窓口となるだけであって、社員が生命保険を契約した場合は、その保険料を給与から天引きすると言うことになる。
そういった意味では、人事でも社員一人ひとりの給与から毎月生命保険料を天引きすると言うことになる。これらは人事部にとっては業務は手間であるが、社員としては福利厚生制度の一環として喜ばれたのであった。
以下は近年の団体保険等で筆者が人事部にいた時とは随分と制度の内容が変わっている。上記の話しは30年以上も前の話しである。
誤解の無いようにして頂きたい。
団体保険とは、会社や官公庁等の団体に所属する社員全体を保障する生命保険の一種である。団体と生命保険会社で直接契約を行い、単一の契約でその所属員が一括して保障されるようになっている。大量処理によって運営コストが節約できるため個人保険よりも安価に保障が得られることが多い。
団体定期保険は会社等で被用者の死亡保障を目的とした定期保険商品。保険期間は1年で、1年経過後には自動で更新される。
総合福祉団体定期保険は企業が弔慰金等の財源として加入する団体定期保険である。基本的に所属員全員が加入し、団体が保険料を負担する。
団体定期保険(Bグループ)は所属員が任意で加入できる定期保険で、企業の福利厚生として行われている。保険料は所属員が自分で負担する。個人保険に加入するよりも割安であることが多いが、退職等により団体から脱退すると保障は継続しない。
団体信用生命保険は融資を受け、返済途中に返済者が死亡あるいは高度障害状態になった場合、保険金でローンの残額が返済される仕組み。住宅ローンに付くものが典型的な形態だが、その他のローンに付保するものもある。保険料はローン開始時に一括支払いする方法や、ローン金利に上乗せする方法がある。最近では返済者がガンや心筋梗塞などになった場合も保険金の支払要件とする商品も現れている。
団体年金保険は会社等で従業員に対して退職後の年金を支給するために加入する商品。保険料は全額企業負担のもの、一部従業員負担のもの、全額従業員負担のものがある。
伊集院拓哉が応接室に入って来た。
「やあ、お待たせしました」
「お久しぶりです」
「いや。」
しばらくして、女性社員がホットコーヒーを持って来た。拓哉のテーブルの前に置いた。
「ありがとう」
拓哉はホットコーヒーを美味しそうに飲み始めた。
「で?今日はどのような用件で?」
「はい。団体生命保険の更新の時期が近づいて来ましたので」
「そうですか、もうそんな時期になりますか」
「はい。」
「昨年は社員が病気で5人亡くなって、一人当たり5億円が会社に入金になりましたよ。財務部長が営業外収益で5億円、儲かった、と喜んでいましたよ」
「そうですか。それは良かったです。今回も国内社員3300人分の更新になります。
こちらの契約書に御社の実印を押印して下さい」
「分かりました。しばらくお待ち下さい」
そういうと伊集院は応接室を出た。
しばらくして、伊集院は契約書に実印を押印して応接室にやって来た。
「これでよろしいですか?」
悠人は契約書の社印の押印箇所を確認した。
「はい。これで結構です」
「そうですか。よろしくお願いします」
「しかし、この死亡保険金を当社が取り込み遺族には退職金規定の金額しか渡してないのになんだか、気が引けますなぁ」
伊集院はこの団体生命保険が近い将来、必ず金融監督庁により、制度の見直しがあると考えていた。本来なら社員に死亡保険金支払いの生命保険契約を締結する場合は、社員一人ひとりの承諾が必要だと思うのであるが、当時は、その必要はなかったのだ。この制度は筆者が実際に経験した実務である。
その数年後に制度の見直しがあり、全社員に公表するとともに、社員一人ひとりの承諾をもらう書類を作り、捺印して人事部宛に送付してもらうことになったのだ。
金額も一人当たり1億円から1500万円に変更となった。
この当時は、このようにおかしな制度がたくさんあった。私たち人事部にとっては非常にやりやすかったのである。業務は単純作業であり、ただ先方が持ってきた書類に実印を押すだけで事足りた。
しかし、制度の見直しがあってからは3300名の社員一人一人から承諾書を提出してもらい、それを確認した上で契約をすると言うことになったのである。その分人事部の業務が煩雑になったと言うことである。
この職域団体生命保険は、いわゆる生保レディーが休憩時間中に社内で社員と面談をする保険とは違う。その保険の名前は職域団体生命保険と言うのである。これについては会社は単に窓口となるだけであって、社員が生命保険を契約した場合は、その保険料を給与から天引きすると言うことになる。
そういった意味では、人事でも社員一人ひとりの給与から毎月生命保険料を天引きすると言うことになる。これらは人事部にとっては業務は手間であるが、社員としては福利厚生制度の一環として喜ばれたのであった。
以下は近年の団体保険等で筆者が人事部にいた時とは随分と制度の内容が変わっている。上記の話しは30年以上も前の話しである。
誤解の無いようにして頂きたい。
団体保険とは、会社や官公庁等の団体に所属する社員全体を保障する生命保険の一種である。団体と生命保険会社で直接契約を行い、単一の契約でその所属員が一括して保障されるようになっている。大量処理によって運営コストが節約できるため個人保険よりも安価に保障が得られることが多い。
団体定期保険は会社等で被用者の死亡保障を目的とした定期保険商品。保険期間は1年で、1年経過後には自動で更新される。
総合福祉団体定期保険は企業が弔慰金等の財源として加入する団体定期保険である。基本的に所属員全員が加入し、団体が保険料を負担する。
団体定期保険(Bグループ)は所属員が任意で加入できる定期保険で、企業の福利厚生として行われている。保険料は所属員が自分で負担する。個人保険に加入するよりも割安であることが多いが、退職等により団体から脱退すると保障は継続しない。
団体信用生命保険は融資を受け、返済途中に返済者が死亡あるいは高度障害状態になった場合、保険金でローンの残額が返済される仕組み。住宅ローンに付くものが典型的な形態だが、その他のローンに付保するものもある。保険料はローン開始時に一括支払いする方法や、ローン金利に上乗せする方法がある。最近では返済者がガンや心筋梗塞などになった場合も保険金の支払要件とする商品も現れている。
団体年金保険は会社等で従業員に対して退職後の年金を支給するために加入する商品。保険料は全額企業負担のもの、一部従業員負担のもの、全額従業員負担のものがある。
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