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第一章
公爵令嬢の秘密 1
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ブルーフィス公爵。チェスタバリス王国の筆頭公爵。王国の西側に広大な領地を有し、力ある一族を取りまとめる当主は、現国王の幼馴染でもある頭の切れる男である。そんな公爵には2人の子供が居た。次期公爵として、すでにその聡明さが知られている長男。そして、養女でありながら大切に育てられ、ほとんど外に出さないため深層の令嬢と言われている長女だ。
王都の中心部。王城にも近い一等地に存在するブルーフィス公爵のタウンハウスへ馬車で帰宅したその娘、デティ・ブルーフィスは御者の手を借りて馬車を降りる。玄関では自分の専属侍女と、その補佐をしているメイドたちが待っていた。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「ただいま、マリア」
幼い頃から側にいることが多かった侍女に挨拶を返し、共に屋敷に入る。自分が暮らす東棟に向かいながら、デティは今後の予定を考えた。
「マリア、お兄様は今日、夜会のご予定よね?」
「左様でございます」
ということは、今日の夕食は自分だけか。そう、思考を巡らせる。チェスタバリスの上位貴族の多くは家族で食事をすることが少ない。それぞれが付き合いで出歩くことが多いのもあるし、家族と言えど、ある程度大きくなれば親子兄弟一緒に過ごすことも珍しい。
しかし、ブルーフィスの兄妹は少し違った。主に、妹を溺愛する兄の意向で、家にいるときは兄妹で食事を取ることになっていた。ちなみに、父母は別で、何かしらの話や機会がない限りは共に過ごすことも少ない。そんな兄が今日は家にいない。つまりは、夕食はデティのみだ。
「なら、夕食を早めにしてもらえる? 今日は早く休みたいから」
デティの注文に、侍女は一度デティを伺い、そして頷いた。
「かしこまりした」
「お願いね」
この後の予定を決めたデティは、自室に戻ると制服を脱ぎ、室内用の動きやすいドレスに着替えた。軽く身支度を整えている間に、出来る侍女が制服を綺麗にクローゼットに片付けている。毎日のことながら、その隙のなさはさすがである。
人心地ついたデティが自室にある居間のソファに腰掛けると、侍女がすぐにティーセットを準備し始める。そすぐにいい香りのお茶を出してくれた。
「マリア、夕食までに学院の課題をしてしまうから、少しの間、一人にしてもらえるかしら?」
お茶に口をつけたデティが、そのティーカップをソーサーに置きながら、侍女に声をかけた。侍女は少し伺うようにデティを見つめたが、すぐに頭を下げた。
「かしこまりました。何かあればお呼びください」
「ありがとう」
すぐに出ていく侍女を見送り、その姿が見えなくなると、デティはそっと息をついた。そして、誰もいなくなった部屋で、先程馬車の中で受け取ったカードを取り出した。
《あら、それ、導師様から?》
その〝声〟は不意に降ってきた。デティはそれに驚くこともなく、ふっと宙を見上げた。
「今日も仕事ですって、グロリアス」
そう、答えたデティが見上げた宙に、不意に青白い光の玉が現れた。ふんわりと浮かぶそれは、ゆっくりと小さな人の形になる。その背には、羽が生えており、小さな人型のそれは青白い光を纏っていた。〝聖霊グロリアス〟ーーデティの〝仕事〟の相棒だった。
《忙しいわね、ディ。……でも、楽しそう》
「そうね。私、お嬢様やっているよりも、仕事の方が楽しいわ」
そう言って笑ったデティは、そのカードを宙に放ると小さく呪文唱える。すると、カードは舞い落ちるより早く青い炎をあげて燃え尽きる。それは、魔術の炎で、カードを出した相手にきちんと読んだことを伝えるものでもあった。
《確かに、ディには、大人しいお嬢様は似合わないわね》
小さな人型が可笑しそうに笑った。
「でもまさか、あんなに噂になるとは思わなかったわ」
《〝伝説の騎士様〟だったかしら? ディ、あなた有名人じゃない》
「やだ、グロリアも聞いてたの?」
そう、噂の〝12の騎士〟は他でもない、デティ本人のことである。
「大体、私だって、こんなことになるなんて思わなかったのよ」
そう言いながら、デティは、1ヶ月前に突然国王から下された命令を思い出す。それは〝12の騎士〟として、国を守ってくれ、という、とんでもないものだった。というのも、全てはデティの出生が深く関わるのだが、それでも、デティにとっては寝耳に水の命令だったのだ。
《昼は公爵令嬢、夜は救国の騎士。ディは忙しいわね》
「仕方がないわ、それが私の役目だというなら」
そう、断るなんて選択肢はそもそもないのだ。そういう運命の元に生まれている。
「〝この力〟が国の役に立つのなら、それ以上のことはないもの」
----
早めの夕食を済ませ、もう寝るからと寝支度を整えてもらったデティは、寝室から侍女を下がらせるとすぐに行動を始めた。
まずは、着替えから。着せてもらった寝巻きを脱ぎ、ベッド横につけられた隠し戸棚から動きやすい騎士服のような形の服を取り出す。これは、特注で作ってもらった聖十二騎士の制服で、黒いハイネックのシャツに、黒いパンツをはき、その上から着る丈の長い上着はワンピースのように膝の下までを覆う。腰を軽く紐で締め、さらにフード付きのマントを羽織れば、女性的なお嬢様の姿は消えて若い女騎士のような少女が現れる。最後に長い黒髪を後ろで一つに結えると、一緒にしまってあった細身の剣を腰に差す。銀色の剣の鍔の中央には親指の爪ほどの青い輝石が嵌め込まれている。これは、グロリアスの宿る聖霊石だ。握りの部分は握りやすいように加工されていて、すでに手に馴染んでいる。
そこまで準備を終えると、デティは一つ大きく深呼吸をした。そして、そっと宙に目を向けたまま、魔力を自分の両手に集める。その両手を大きく叩いた。
パンッという乾いた音共に、自分の魔力が部屋に広がるのを確認する。これは、結界の一種で人避けの魔術だ。こうすることで、デティの寝室には人が近付かなくなるのである。
「よし、それじゃ行きますか」
そう小さく口にすれば、ふわりと青い光がデティの目の前で揺れる。
《導師様も待ってるわ》
そう言うグロリアスに頷いて、デティは寝室のバルコニーに足を向けた。バルコニーはこの家の中庭に向けて作られている。ちなみに、デティの部屋は2階。普通はそこから抜け出すお嬢様なんていない。ただ、デティはまったくもって普通じゃなかった。
慣れたようにバルコニーの手すりを乗り越えたデティは、そのまま外に身を躍らせる。そして、難なく庭の地面に着地した。
《本当にディは身軽よね……》
「まぁね」
感心したようなグロリアスの声に、小さいながら自慢げに答えるデティ。実際、こうして抜け出すのは今に始まった事ではない。この仕事を命じられる以前から、こうして度々、部屋を抜け出していた。その度に侍女に怒られるのだが、夜ならば見つかることもない。そのまま、慣れた様子でデティは使用人の使う裏門に回る。夜間は施錠されているものの、鍵は持っているので問題はない。こうして、デティは夜の街へと足を踏み出した。
王都の中心部。王城にも近い一等地に存在するブルーフィス公爵のタウンハウスへ馬車で帰宅したその娘、デティ・ブルーフィスは御者の手を借りて馬車を降りる。玄関では自分の専属侍女と、その補佐をしているメイドたちが待っていた。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「ただいま、マリア」
幼い頃から側にいることが多かった侍女に挨拶を返し、共に屋敷に入る。自分が暮らす東棟に向かいながら、デティは今後の予定を考えた。
「マリア、お兄様は今日、夜会のご予定よね?」
「左様でございます」
ということは、今日の夕食は自分だけか。そう、思考を巡らせる。チェスタバリスの上位貴族の多くは家族で食事をすることが少ない。それぞれが付き合いで出歩くことが多いのもあるし、家族と言えど、ある程度大きくなれば親子兄弟一緒に過ごすことも珍しい。
しかし、ブルーフィスの兄妹は少し違った。主に、妹を溺愛する兄の意向で、家にいるときは兄妹で食事を取ることになっていた。ちなみに、父母は別で、何かしらの話や機会がない限りは共に過ごすことも少ない。そんな兄が今日は家にいない。つまりは、夕食はデティのみだ。
「なら、夕食を早めにしてもらえる? 今日は早く休みたいから」
デティの注文に、侍女は一度デティを伺い、そして頷いた。
「かしこまりした」
「お願いね」
この後の予定を決めたデティは、自室に戻ると制服を脱ぎ、室内用の動きやすいドレスに着替えた。軽く身支度を整えている間に、出来る侍女が制服を綺麗にクローゼットに片付けている。毎日のことながら、その隙のなさはさすがである。
人心地ついたデティが自室にある居間のソファに腰掛けると、侍女がすぐにティーセットを準備し始める。そすぐにいい香りのお茶を出してくれた。
「マリア、夕食までに学院の課題をしてしまうから、少しの間、一人にしてもらえるかしら?」
お茶に口をつけたデティが、そのティーカップをソーサーに置きながら、侍女に声をかけた。侍女は少し伺うようにデティを見つめたが、すぐに頭を下げた。
「かしこまりました。何かあればお呼びください」
「ありがとう」
すぐに出ていく侍女を見送り、その姿が見えなくなると、デティはそっと息をついた。そして、誰もいなくなった部屋で、先程馬車の中で受け取ったカードを取り出した。
《あら、それ、導師様から?》
その〝声〟は不意に降ってきた。デティはそれに驚くこともなく、ふっと宙を見上げた。
「今日も仕事ですって、グロリアス」
そう、答えたデティが見上げた宙に、不意に青白い光の玉が現れた。ふんわりと浮かぶそれは、ゆっくりと小さな人の形になる。その背には、羽が生えており、小さな人型のそれは青白い光を纏っていた。〝聖霊グロリアス〟ーーデティの〝仕事〟の相棒だった。
《忙しいわね、ディ。……でも、楽しそう》
「そうね。私、お嬢様やっているよりも、仕事の方が楽しいわ」
そう言って笑ったデティは、そのカードを宙に放ると小さく呪文唱える。すると、カードは舞い落ちるより早く青い炎をあげて燃え尽きる。それは、魔術の炎で、カードを出した相手にきちんと読んだことを伝えるものでもあった。
《確かに、ディには、大人しいお嬢様は似合わないわね》
小さな人型が可笑しそうに笑った。
「でもまさか、あんなに噂になるとは思わなかったわ」
《〝伝説の騎士様〟だったかしら? ディ、あなた有名人じゃない》
「やだ、グロリアも聞いてたの?」
そう、噂の〝12の騎士〟は他でもない、デティ本人のことである。
「大体、私だって、こんなことになるなんて思わなかったのよ」
そう言いながら、デティは、1ヶ月前に突然国王から下された命令を思い出す。それは〝12の騎士〟として、国を守ってくれ、という、とんでもないものだった。というのも、全てはデティの出生が深く関わるのだが、それでも、デティにとっては寝耳に水の命令だったのだ。
《昼は公爵令嬢、夜は救国の騎士。ディは忙しいわね》
「仕方がないわ、それが私の役目だというなら」
そう、断るなんて選択肢はそもそもないのだ。そういう運命の元に生まれている。
「〝この力〟が国の役に立つのなら、それ以上のことはないもの」
----
早めの夕食を済ませ、もう寝るからと寝支度を整えてもらったデティは、寝室から侍女を下がらせるとすぐに行動を始めた。
まずは、着替えから。着せてもらった寝巻きを脱ぎ、ベッド横につけられた隠し戸棚から動きやすい騎士服のような形の服を取り出す。これは、特注で作ってもらった聖十二騎士の制服で、黒いハイネックのシャツに、黒いパンツをはき、その上から着る丈の長い上着はワンピースのように膝の下までを覆う。腰を軽く紐で締め、さらにフード付きのマントを羽織れば、女性的なお嬢様の姿は消えて若い女騎士のような少女が現れる。最後に長い黒髪を後ろで一つに結えると、一緒にしまってあった細身の剣を腰に差す。銀色の剣の鍔の中央には親指の爪ほどの青い輝石が嵌め込まれている。これは、グロリアスの宿る聖霊石だ。握りの部分は握りやすいように加工されていて、すでに手に馴染んでいる。
そこまで準備を終えると、デティは一つ大きく深呼吸をした。そして、そっと宙に目を向けたまま、魔力を自分の両手に集める。その両手を大きく叩いた。
パンッという乾いた音共に、自分の魔力が部屋に広がるのを確認する。これは、結界の一種で人避けの魔術だ。こうすることで、デティの寝室には人が近付かなくなるのである。
「よし、それじゃ行きますか」
そう小さく口にすれば、ふわりと青い光がデティの目の前で揺れる。
《導師様も待ってるわ》
そう言うグロリアスに頷いて、デティは寝室のバルコニーに足を向けた。バルコニーはこの家の中庭に向けて作られている。ちなみに、デティの部屋は2階。普通はそこから抜け出すお嬢様なんていない。ただ、デティはまったくもって普通じゃなかった。
慣れたようにバルコニーの手すりを乗り越えたデティは、そのまま外に身を躍らせる。そして、難なく庭の地面に着地した。
《本当にディは身軽よね……》
「まぁね」
感心したようなグロリアスの声に、小さいながら自慢げに答えるデティ。実際、こうして抜け出すのは今に始まった事ではない。この仕事を命じられる以前から、こうして度々、部屋を抜け出していた。その度に侍女に怒られるのだが、夜ならば見つかることもない。そのまま、慣れた様子でデティは使用人の使う裏門に回る。夜間は施錠されているものの、鍵は持っているので問題はない。こうして、デティは夜の街へと足を踏み出した。
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