シャウには抗えない

神栖 蒼華

文字の大きさ
24 / 67
第1章

24 シャウのモヤモヤ

しおりを挟む

ラオスにもイラザにも会わなくなって一週間。
またも母さんに家から追い出された。

ただ、ザンガにはずっと恥ずかしい姿を見せてしまったから、護衛には違う人をってお願いしたらウルガが護衛についてくれた。
しかも、今日はウルガが休みの日だという。
休みの日に護衛してもらうのは申し訳ないと言ったら、独り身だから暇してるんだって、だからデートしようってウインクして言われた。
冗談ぽくいって僕が気にしないように言ってくれるウルガに、結局僕は甘えることにした。
母さんが怖いというのもあるんだけどね。

デートっていう名目上、ショッピングに出かけることになった。
といっても僕は服や装飾品に興味がなくて、お店を知らないのでウルガに任せることにした。

最初に行ったお店はフリルたっぷり使った服屋さんだった。
僕は店の前に来ただけで、ウルガに首を振った。
入ってみればいいのにと勧められたが丁重にお断りした。
そんなシャウにウルガはしょうがないなって笑っていた。

次のお店に向かったとき、アクセサリー店の前でラオスが立っているのが見えた。

僕は驚いて立ち止まると、後ろからウルガがぶつかった。
突然立ち止まったシャウに驚きながらも、視線の先を見て納得していた。

「おーい、ラ…」

ウルガがラオスに呼びかけるのを慌てて口を塞いで止めた。
そしておそるおそるラオスを見ると、ウルガの声に気づかなかったのか、アクセサリーを眺めたままだった。
それにほっとしていると、ウルガは何か感じ取ったのか一緒にラオスを観察し始めた。

「へー、珍しいな」

ラオスがアクセサリーを見ていることを言っているのだろう。
僕もラオスがアクセサリーを誰かに贈っているのは見たことなかった。

その割には凄く真剣にアクセサリーを眺めてて、誰かに贈るつもりなのかなと思えた。
手にしているアクセサリーはどれも青色系で、その青がこの前見た女の子のワンピースの色に似ているのに気づいた。

(あの女の子に贈る物を選んでいるのかな)

また胸がツキンと痛んだ。

「あらぁ、ラオス様ぁ」

そこにアーリュセリアが通りかかった。

「素敵なアクセサリーですねぇ」

そう言うと、ラオスの隣に並び手元を覗き込む。
隣で覗き込むアーリュセリアに構わずラオスは悩んでいるみたいだったが、唐突にアーリュセリアに話しかけた。

「アーリュセリアはどれがいい?」
「えっ」
「俺だとどれがいいかわかんないからさ」
「…えっとぉ、わたしはこれがいいと思いますぅ」

アーリュセリアが嬉しそうに笑っていた。

(なんだよ。そのアクセサリーはあの女の子に贈るためじゃなかったのかよ)

女の子だったら誰でもいいわけ?
本当に信じられない。
ラオスの女ったらし!

ムカムカする気持ちが湧き上がってきた。
ムカムカしたままラオスを睨みつけると、シャウはその店の前を離れた。

ムカムカしたまま歩き続けていると、ウルガが隣に並んで歩いていた。
隣にいるウルガを見て、ウルガがいたことを思い出した。

「ごめんなさい」
「いや、俺の店選びが良くなかったな」

シャウはそれに頭を振った。

「あっちにもいい店あるんだ。行くか?」
「うん」

モヤモヤした気持ちを抱えたままシャウはウルガと歩き出す。
そのままぶらぶらといろいろな店の前を歩いていると、アクセサリーを扱っている店が見えてきた。
ふと気になって目線を向けると、さっきラオスが手にしていたアクセサリーと似たものが店頭に並んでいた。
シャウがジッと見ていることに気づいたウルガはシャウに問いかけた。

「シャウ、俺が買ってやろうか?」

ウルガの言葉に僕は首を振った。
別にアクセサリーが欲しいわけではなかった。

ただ、ラオスに貰えるアクセサリーが欲しいと思ってしまっただけだった。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

処理中です...