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第1章
23 ラオスと女の子
しおりを挟むイラザのあの出来事からまた家を出なくなった僕は、また母さんに家を追い出された。
そして今日もまたザンガが僕の護衛をしてくれた。
「仕事忙しいのにごめんなさい」
「これも立派な仕事だ。シャウも見回りについてきてくれるんだろ?」
「はい、よろしくお願いします」
表通りをザンガと歩きながら見回る。
数人の警備隊員とすれ違いながら、ザンガは情報を交換していった。
表通りは人通りも多くて人の目が多い分、諍いは少ないようだった。
ザンガは一通り表通りを見回った後、一本裏道を見回ることにしたようだ。
ザンガについて裏道に入る。
「ラオスー」
どこからからラオスを呼ぶ声が聞こえてきた。
「ラオスってばー」
歩いて行く方からラオスを呼ぶ声が大きく聞こえてきた。
まだラオスと会う気がなかったシャウは鉢合わせしないために、ラオスを確認してから別の道へ行こうと慎重に足を進める。
「見てみてー」
その声が聞こえたとき、ちょうど角を曲がった先で、1人の女の子がラオスを呼び止めている姿が見えてシャウは立ち止まった。
「ラオス! 見てみて!」
「あ?」
「どう? 可愛いでしょう」
可愛いワンピースを着た女の子がラオスの腕を掴んで見上げている。
青い色のレースをふんだんに使ったワンピースはその女の子を可愛く見せていた。
ラオスの前で、スカートを広げて見せたり、くるりと回って見せたり、可愛くお辞儀して見せていた。
「ねえねえ、どう?」
無言で見ているラオスに、その女の子はまた近づいて腕を抱き寄せた。
「可愛い? 似合ってる?」
その女の子の質問にシャウは息を飲んで聞き耳を立てる。
なんて答えるんだろう。
僕のあの時と同じように言うのだろうか。
「ああ、可愛いな。似合ってるよ」
その言葉にツキンと胸が痛んだ。
「本当? 嬉しい!」
女の子が本当に嬉しそうに笑って喜んでいた。
シャウはそれ以上の言葉を聞きたくなくて、ザンガの腕を掴むとラオスがいる方と反対方向に歩き出す。
ザンガは僕に引っ張られるまま歩いてくれた。
ザンガを引っ張りながら、シャウはラオスのことを考えていた。
(あの子には可愛いって言うんだ……あの子には似合うねっ言うんだね)
確かに可愛いし、僕よりもスカートが似合ってるのは分かってるけどさ。
でもさ、僕のドレス姿だって可愛く出来てたはずなんだけどな。
母さんだって可愛いって言ってくれたのに、僕はそんなに似合ってなかったのかな?
あらためて突きつけられたその事実に胸が苦しくなる。
それともその女の子がラオスにとって特別なの?
だから、似合ってるって言うの?
ラオスもその子のことがやっぱり好きなのかな?
だから、僕には似合ってるって言ってくれないのかな?
──ラオスにとっても僕は幼馴染みなだけなんだね。
そうだよね。幼馴染みなんてそんなに特別なことじゃないんだよね。
──イラザにとってもラオスにとっても僕は幼馴染みなだけなんだ。
なぜか2人にとって僕は特別なんだって勘違いしてた。
というか無意識にそう思い込んでたみたいだ。
(やだな……恥ずかしいな…………)
自分の思い込みに気づいて落ち込んだ。
いつの間にか涙が滲んでいて足も止まっていた。
「シャウ? 大丈夫か?」
「…大丈夫!」
ザンガの心配そうな声に、慌てて涙を拭き取るとザンガに笑いかける。
「次はどこ行く? あっちの道へ見回りに行く?」
ザンガに赤くなった目を見られないように走った。
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