不遇だった荷物持ちは国内最高峰探索者パーティーに拾われた

鎔ゆう

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Sid.14 重機関銃と正式メンバーに

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 朝食時に説明され翌日正式に契約を交わすことに。
 俺の装備もその時に渡すそうで。先に見せてくれたバックパックだが、スリーピースの大容量タイプで重量も相当増しそうな。以前の図多袋のような背嚢とは違う。機能性の高さと容量の多さ、用途別に分散できるのは便利そうだ。
 見た目はミリタリー系のバックパックだな。
 それとウエストバッグも用意したようで、背中と腰に重量物を提げることになるのか。
 重機関銃も、なんて言ってたけど、さすがに無理がありそうな気もする。

「全部持ったら無理かな?」
「試してみないと分からないです」
「でも、イグナーツって小柄なのに体格いいよね」

 デシリアより身長は高いけど、他の男性と比べると明らかに小さい。
 それでも身長は百七十はあったんだけど。周りが大きいから相対的に俺は小さく見える。男性陣は揃って百八十超えてそうだし。
 デシリアが腕を触って「鍛えられてる」とか言ってる。なんか恥ずかしいのと女子に触れられると緊張するんだよ。

「あ、何で顔赤くしてるの?」
「え、あの。触れられると」
「純情なのかなあ」

 女子と接点が元々無かったから弱いんだと思う。日本でも殆ど会話することも無かったし。
 気さくな人だな。

「じゃ、あとでね」

 そう言って部屋を出て行くデシリアだ。

 翌日、リビングで正式な契約書にサインして、シルヴェバーリのメンバーとなった。
 報酬は一日八千ルンド。重機関銃を運ぶとプラス千ルンド。戦闘に参加すればボーナスも支給されるようだ。一日の戦闘につき二千ルンド。びた一文支払わなかったクリストフとは大違いだ。

「荷物持ちではあるが、戦力としても大いに期待してるからな」

 リーダーがそう言って笑顔を見せる。

「それと住居や食費だけどな」

 住居費は全員で公平に負担することになっていて、借家と言うことでひとり一万五千ルンドになる。日本円で二万二千五百円。俺も含め六人だから家賃は十三万五千円だ。食費も公平に負担することで、ひとり月二万ルンド。三万円だな。装備に関しては各々使う額が異なることで、応分負担となっているそうだ。
 俺が使う弾薬一発の価格は二百ルンド。銃は初回と言うことで無料で支給するそうだが、以降は自費で購入することになる。

「自腹で購入できるだけの報酬を渡す」

 何から何まで支給していたら仲間とは言えない。自己判断で必要なものを買えるよう、充分な報酬を渡すのだそうだ。

「重機関銃の弾薬代は誰が支払うんですか?」
「パーティー全員分の共益費から出す」

 誰かが負担ではなく個人の財布とは別に、パーティーとしての財布もあるらしい。
 そこから重機関銃の弾薬代は出すそうで。

「イグナーツひとりの負担にしたら、額が尋常じゃなくなるだろ?」

 確かに。一度に百発とか放っていたら、幾ら報酬があっても足りない。
 ただ、重機関銃の弾薬は銃より安価だそうで。一発あたり五十ルンドだとか。七十五円。百発放つと七千五百円にもなるけど。代わりに敵集団を排除できるから、高額とは言い切れないようだ。
 銃や弾薬も渡され重機関銃も見せてくれた。

「これなんだが持って行けそうか?」

 パッと見ではコルトのM一八九五重機関銃に見える。初のガス圧を利用した機関銃だよな。ベルト給弾式で装弾システムは、リボルバーに近い回転式だったと思った。
 少し異なるのはバレルフィンがあることくらい。改良型かもしれない。連続使用で銃身だけに留まらず、薬室内も過熱しやすくコックオフ、つまり弾薬の自然発火もあったとか。それでもレバーアクションのカービンより、集団相手には効果的だろうけど。
 他には三脚もセットだ。足の長いタイプだから、腰を下ろして撃つスタイルだと思う。

 それにしても、なんで銃がこれだけ発展してるのに、剣だの魔法でモンスターの相手をしてるんだろう。剣とか戦斧や槍斧でなんて、リスクしかないと思う。わざわざ敵と至近距離で戦うんだから、反撃だって食らいやすいだろうし。
 あ。でもあれか、弾薬は無限じゃないから。会敵する回数が増えると弾薬なんてすぐ使い尽くす。その時点で詰む。射撃手が落ち着いて攻撃できるよう、前衛がモンスターを抑える役割なら納得できそうな。

 で、これを持てと?
 銃と三脚に弾薬までワンセットで三十キロ近いでしょ。予備の弾倉まで持ったら、場合によっては四十キロくらいになりそうだし。
 弾倉には二百五十発しか入ってない。秒間八発だったら三十秒程度で終わる。一回の戦闘で五秒間の掃射をしたら六回分だし。予備弾倉を幾つ持って行くか。それと。

「背負う荷物次第だと思います」
「予備の武装とイグナーツが使う弾薬」

 剣を四本。剣士が二人だから各々二本ずつの予備。大した重さじゃない。
 行きで総重量六十キロから七十キロくらいなら、帰りは軽くなってるはずだし。

「それなら持って行けると思います」
「じゃあ任せる」

 俺の水と食料は自分で持つ。あとは各自水と食料を持つことに。全員がバックパックを背負うようだ。

「少し動きづらいが已むを得まい」

 幾つか絶対に守って欲しいことがあると言う。

「射線上に人が居ないことを必ず確認してくれ」

 撃つ態勢が取れたら必ず声を掛けること。射撃手にはモンスターを近寄らせない。前衛が退避できたら掃射して欲しいそうだ。
 そうしないとフレンドリーファイアー、だよな。味方諸共とかあり得ない。

「さて、改めて全員の紹介をしようか」

 そう言えば自己紹介なんてされてなかった。正式にメンバーになったからだろう。
 デシリアだけは先に知ったけど。
 早速リーダーから順に自己紹介が始まった。

「シルヴェバーリ、リーダーのモルテンだ」

 ジョブは魔法剣士だそうで。剣に魔法を纏わせて戦うらしい。使う剣はブロードソード。アタッカーとして常に前に出るそうだ。

「アルヴィン。カットラスの二刀流だ」

 カットラスってのは湾曲した剣だな。海賊が使うような。それの二刀流ってことか。少し小柄な体型は俊敏な動きを可能にするそうで。主に遊撃なのだとか。技能に補助魔法がある。

「射撃手のヴェイセル。今後、銃のことで不明なことがあれば遠慮は要らない」

 銃の扱い方を教えてくれた師匠だ。これからも世話になりそうだな。射撃の技能持ちで元は剣士だったとか。銃が扱いやすいものになって、ジョブチェンジをしたそうで。
 そして胸元を強調した服装を纏う妖艶な感じの女性だが。ちょっと目の毒だ。

「ヘンリケ。君の治療をしたの」

 加療士であり聖法術の技能持ちだそうで。聖法術は大自然の力を行使できるとか。
 最後にデシリアが自分を指さし、にこにこしながら「あたしも改めて自己紹介」と言うと、ヘンリケに「ベッドですればいいでしょ」なんて言われてるし。

「だから違うからね」
「そんなんだから、いつまでも生娘なの」
「き、生娘違うもん」
「初めての男で照れてるんだろうけどね」

 初めて違う、とか言って暫しヘンリケと揉めていた。
 そうか。俺も経験はないな。凄くいい人だとは思うけど、本気で俺に入れ込むわけもないから、妙な期待はしないに限る。
 周りの人は笑みを浮かべて見てるだけ。
 デシリアとは年齢的に近いからかな。だから揶揄われるのかもしれない。
 あ、でもデシリアの年齢知らない。

「あの。聞いていいのか分からないんですけど、デシリアさんって歳は?」

 教えてないのか、とヘンリケに問われ「二十一歳」と判明した。
 俺より年上だ。まあそんな気はしていたけど。

 紹介が終わるとリーダーのモルテンから、明日以降手始めにラビリントの浅い場所で、パーティーとの連携を取るべく行動するとなった。
 ひとりで十六階層から戻りはしたが、連携となると話は別。
 これまでパーティーに居ても、荷物持ちだったことで、仲間との連携は不慣れだろう、と言うことらしい。

「何度か繰り返して問題がなければ、より深い階層へ向かう」
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