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第19章:新生の聖女と「能力の変化」
19-4:フィールドワークの「目」
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「『銀葉草(シルヴァリーフ)』の、群生地……!」
私の声が、興奮に、上ずる。
ギルバートと、マルクの協力があっても、あの薬草は、森の、ごく一部の、限られた場所でしか、採取できなかった。それが、枯渇(こかつ)しかけていたのだ。
だが、リリアは、このアトリエから、動かずに、その「在処(ありか)」を、見つけ出した。
「……すごいわ。……本当に、すごいじゃない、リリア!」
私は、思わず、彼女の、両肩を、掴んでいた。
薬師(わたし)としての、純粋な「歓喜」だった。
「そ、そんな……。私、ただ、見えただけで……」
リリアは、私の、その、剥(む)き出しの興奮に、戸惑いながらも、頬を染めた。
生まれて初めて、誰かに、手放しで、その「能力」そのものを、褒められたのだ。
「いいえ。ただ『見えた』だけ、ではないわ」
私は、彼女の肩を掴んだまま、この「奇跡」の、合理的な「分析(かいせつ)」を、始めた。
「あなたの『感知』は、ただ、そこにある、と、分かるだけではない。『銀色に、眩しく、光っている』と、あなたは、言ったわ」
「は、はい……。とても、綺麗で、冷たい、銀色の光です」
「私のインターフェイスによれば、『銀葉草(シルヴァリーフ)』は、土壌の、特定の『魔術的金属イオン』を、吸収・蓄積(きゅうしゅう・ちくせき)する、性質がある。……つまり、あなたの『目』は、その『金属イオン』の、魔力的な『発光(はっこう)』を、色として、識別(しきべつ)しているのよ!」
(……とんでもない、才能(ちから)だわ)
(これは、ただの「探索(ダウジング)」ではない。……遠隔(リモート)での、「成分分析(スペクトルぶんせき)」に、近い……!)
(これがあれば……!)
私の脳裏に、新たな、研究計画(プロジェクト)が、次々と、浮かび上がってくる。
『ブライト』の、無力化。
ヴォルフラムの、錬金術の、解析。
そして、その先にある、未知の、新薬(エリクサーLv.3)の、開発。
「……ソフィアさん? あの……顔が、近いです……」
リリアが、私の、ギラギラとした赤い瞳に、射抜かれ、真っ赤になって、俯(うつむ)いた。
「……あ。……失礼」
私は、慌てて、彼女から、手を離した。
(……いけない。研究対象(サンプル)を、前にすると、すぐに、我を、忘れてしまうわ)
私は、わざとらしく、咳払い(せきばらい)を、一つした。
「……リリア助手。……その、体力は、戻っているの?」
「は、はい! あの、ソフィアさんの、薬湯のおかげで、もう、熱も、ありませんし、足の傷も、痛みますけど、歩けます!」
彼女は、ベッドから、勢いよく立ち上がった。まだ、少し、ふらついたが、その瞳には、明確な「意志」が、宿っている。
「……そう。なら、決まりね」
私は、アトリエの壁にかけてあった、私(ソフィア)用の、フィールドワーク用の、革の、小さな背嚢(はいのう)を、掴むと、それを、リリアに、投げ渡した。
「えっ?」
「『初仕事』の、続きよ。……いえ、ここからが、本番だわ」
私は、自分用の、一回り大きな背嚢を背負い、腰に、愛用のナイフを、装着した。
「あなたが『見つけた』、その『銀色の光』を、この目で、確認(かくにん)する。……そして、『サンプル』を、採取するわよ」
「今から、ですか!?」
「当たり前でしょう? 研究は、鮮度が命なのよ」
私は、アトリEの扉に、手をかけた。
「……それに、あなたにも、覚えてもらわないと」
「え?」
「『フィールドワーカー』としての、基本を、ね。……私の、このアトリエ(けんきゅうしつ)で、働く、ということが、どういうことか。……王宮の、あの、生ぬるい『祈りの間』とは、訳が違う、ということを」
私は、ニヤリ、と、笑った。
それは、悪役令嬢(わたし)の、笑みではなく、後輩(あなた)を、地獄の研究室(ラボ)へと、引きずり込む、先輩(せんせい)の、笑みだった。
「……は、はいっ!」
リリアは、私の、その、挑戦的な笑みに、一瞬、怯(おび)えたが、すぐに、自分の、小さな背嚢を、ぎゅっと、背負い直した。
(……望む、ところだわ)
(もう、あの、何もできずに、泣いているだけの、私では、ないのだから)
二人の「研究者」が、アトリエの扉を開け、再び、秋の森へと、踏み出していった。
それは、この森の、歴史が、新しく、動き出した、瞬間だった。
私の声が、興奮に、上ずる。
ギルバートと、マルクの協力があっても、あの薬草は、森の、ごく一部の、限られた場所でしか、採取できなかった。それが、枯渇(こかつ)しかけていたのだ。
だが、リリアは、このアトリエから、動かずに、その「在処(ありか)」を、見つけ出した。
「……すごいわ。……本当に、すごいじゃない、リリア!」
私は、思わず、彼女の、両肩を、掴んでいた。
薬師(わたし)としての、純粋な「歓喜」だった。
「そ、そんな……。私、ただ、見えただけで……」
リリアは、私の、その、剥(む)き出しの興奮に、戸惑いながらも、頬を染めた。
生まれて初めて、誰かに、手放しで、その「能力」そのものを、褒められたのだ。
「いいえ。ただ『見えた』だけ、ではないわ」
私は、彼女の肩を掴んだまま、この「奇跡」の、合理的な「分析(かいせつ)」を、始めた。
「あなたの『感知』は、ただ、そこにある、と、分かるだけではない。『銀色に、眩しく、光っている』と、あなたは、言ったわ」
「は、はい……。とても、綺麗で、冷たい、銀色の光です」
「私のインターフェイスによれば、『銀葉草(シルヴァリーフ)』は、土壌の、特定の『魔術的金属イオン』を、吸収・蓄積(きゅうしゅう・ちくせき)する、性質がある。……つまり、あなたの『目』は、その『金属イオン』の、魔力的な『発光(はっこう)』を、色として、識別(しきべつ)しているのよ!」
(……とんでもない、才能(ちから)だわ)
(これは、ただの「探索(ダウジング)」ではない。……遠隔(リモート)での、「成分分析(スペクトルぶんせき)」に、近い……!)
(これがあれば……!)
私の脳裏に、新たな、研究計画(プロジェクト)が、次々と、浮かび上がってくる。
『ブライト』の、無力化。
ヴォルフラムの、錬金術の、解析。
そして、その先にある、未知の、新薬(エリクサーLv.3)の、開発。
「……ソフィアさん? あの……顔が、近いです……」
リリアが、私の、ギラギラとした赤い瞳に、射抜かれ、真っ赤になって、俯(うつむ)いた。
「……あ。……失礼」
私は、慌てて、彼女から、手を離した。
(……いけない。研究対象(サンプル)を、前にすると、すぐに、我を、忘れてしまうわ)
私は、わざとらしく、咳払い(せきばらい)を、一つした。
「……リリア助手。……その、体力は、戻っているの?」
「は、はい! あの、ソフィアさんの、薬湯のおかげで、もう、熱も、ありませんし、足の傷も、痛みますけど、歩けます!」
彼女は、ベッドから、勢いよく立ち上がった。まだ、少し、ふらついたが、その瞳には、明確な「意志」が、宿っている。
「……そう。なら、決まりね」
私は、アトリエの壁にかけてあった、私(ソフィア)用の、フィールドワーク用の、革の、小さな背嚢(はいのう)を、掴むと、それを、リリアに、投げ渡した。
「えっ?」
「『初仕事』の、続きよ。……いえ、ここからが、本番だわ」
私は、自分用の、一回り大きな背嚢を背負い、腰に、愛用のナイフを、装着した。
「あなたが『見つけた』、その『銀色の光』を、この目で、確認(かくにん)する。……そして、『サンプル』を、採取するわよ」
「今から、ですか!?」
「当たり前でしょう? 研究は、鮮度が命なのよ」
私は、アトリEの扉に、手をかけた。
「……それに、あなたにも、覚えてもらわないと」
「え?」
「『フィールドワーカー』としての、基本を、ね。……私の、このアトリエ(けんきゅうしつ)で、働く、ということが、どういうことか。……王宮の、あの、生ぬるい『祈りの間』とは、訳が違う、ということを」
私は、ニヤリ、と、笑った。
それは、悪役令嬢(わたし)の、笑みではなく、後輩(あなた)を、地獄の研究室(ラボ)へと、引きずり込む、先輩(せんせい)の、笑みだった。
「……は、はいっ!」
リリアは、私の、その、挑戦的な笑みに、一瞬、怯(おび)えたが、すぐに、自分の、小さな背嚢を、ぎゅっと、背負い直した。
(……望む、ところだわ)
(もう、あの、何もできずに、泣いているだけの、私では、ないのだから)
二人の「研究者」が、アトリエの扉を開け、再び、秋の森へと、踏み出していった。
それは、この森の、歴史が、新しく、動き出した、瞬間だった。
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