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ガーリックは色々詳しいです

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「魔族の人って、住む場所なんかでゴブリンから進化するんだよね?
んじゃあーどんな所に住んだら猫になるの?
それとも……」
「そうだね、アイツは私達みたいな特殊種だね」
「特殊種?突然変異種と同じ事?」
確かカニスキがそんな感じだったと思うけど

「んー、基本は同じかな、言い方の違い?
要するにゴブリンからの進化ではなく、世界にたった一人の種……生き物の事かな」
ガーリックは詳しく話をしてくれた。

「特殊種は皆、何か使命を持っている。
例えば私は魔族の暴走抑えて、スライムは力自慢がのさばらない様コテンパンにする」

「ん?ちょっと待って、スライムも特殊種なの?
スライムって他にも居るんだよね?」

話の途中だけど、思わず聞いてしまった。

「ああ、普通のスライムはどこにでも居るけど、アンズは特殊種だよ。
他のスライムは本能だけで思考力もないし、会話も成り立たない様にできている。
そもそもスライムも元はアンズ一匹だけだった筈だよ。
その元になったアンズから剥がれ落ちたカケラから分裂して増えていったのが、あちらこちらに居るスライムだ」

「んんん?
スライムは一匹のスライム(アンズ)の子孫ってこと?」
ちょっとこんがらがって来た。

「いや、あくまでも廃棄物からの増殖かな。
魔族をコテンパンにするのに一匹では足りずに、本人の知らないうちに、剥がれ落ちた老廃物が新たなスライムになったって事」

んーーー、詳しく説明してくれてるけど、わからん!
とにかくアンズが強いだけでないって事だけわかってればいいかな。

ガーリックの話は続く。

「後はアラクネって草花の成長補助をする人や、虫が大量発生したら調整するアルラウネ、土を豊かにする大ミミズとかね。
一人っきりだし繁殖もしない、ずっと一人だけの種族……。
だから壊れる事有っても仕方ないよね?」

本当ガームに会えて良かった、と小さく呟いた言葉はなんだろう、たかだか18年しか生きてない俺には分からない響きが有った。

「でもまだ私みたいに人型なら良いけど、他の奴は皆そのままの姿…アンズも変わらないでしょ。
だからアラクネとアルラウネは同じ特殊種で寄り添う様にしたし、大ミミズは土中から出る事をしない。
スライムは……考える事を辞めたんだろうね、昔会った頃と軽く別人だよ」
なんだか聞いててちょっと苦しくなってきた。

「ん?でもあの人、猫と人型と変化したよね?」
「だから、だよ。
特殊種って雰囲気とでも言うのかな、お互いわかるんだけど、ワーキャットなんて見た事も聞いた事もない。
その上変体する特別種も聞いた事ないしね。
だから警戒している」

変体する変態か……。
成る程、だから色んな意味で怪しいと二人は警戒してたのか。

「なら僕も気をつけた方が良い?」
「そうだね、これから会うドラゴンの話を聞いてから判断する方が良いだろうけど、取り敢えず気をつけた方が良いかな」

得体の知れない人ならハッキリするまでは注意した方が良いと言うのは納得できるので頷く。

「しかもアイツ妙にコーに絡むしな」
……目を開けた時のあの衝撃を思い出してゾワッとした。

…思いたくないけど……狙われてる?
………………勘弁して下さい………


*****


筋肉痛を解すのにストレッチしたり、ガーリックと話したりしていると、日が傾く前に他の五人…四人と一匹?が合流した。
……合流したのは良いけど揉めている…。

「アタシが案内してんだから、アタシより前に行かないでって言ってるのに何で前に行こう前に行こうとすんのよ!」
『だからお前は道知ってるだろうけど、こっちは匂いでわかるんだから別にお前が居なくてもコーの所までたどり着けるんだよ!』
「そうだね。
別に案内など要らないね。
だからあなたが前に行く必要は感じないね」
『そうだそうだ!
新入りはしんがりで上等!
アルジのトコに一番に行くのは俺だよ!』
「…………お前仕切るの……筋違い……別行動で充分……」

ワーウルフならまだしも、サクラやアンズ、何よりホッティ、目付きが怖いよ。

どうやら別行動してるうちに一悶着あったみたい。

「この山はアタシの庭なの、初めて来たアンタ達の後ろをチンタラ歩けるわけ無いでしょ、アタシが一番!
先頭でアンタ達引っ張ってあげてるのに、タラタラ文句言わないでちょうだい!」
『チンタラ……このワーウルフに向かってチンタラ歩くだと?』
「ほほう、高々猫の分際で私より早く走れるとでも思っているのですか」
「あーら、猫の素早さ教えてあげる必要が有るのかしら」

腰に手を当てふふふんと鼻で笑う猫オネェに他の三人と一匹がカチーンと来たようだ。

「そこまで言うなら勝負しようではないか」
『おう、そうだ!
思い上がった性根をへし折ってやる!』
『そうだそうだ!皆頑張れ!』

サクラとワーウルフが勝負を持ちかけるのを、アンズが声援を送る。

あ、アンズちゃん走れないもんね。
ホッティは少し落ち着いたのか、定位置?の僕の後ろに来た。

「なんだか揉めたみたいだね。大体の事は聞いててわかったけど」
ホッティはコクリと頷く。

ガーリックは聞こえない様小さく馬鹿馬鹿しいと呟いたっきりそっぽを向いてしまう。

え?僕が収拾しなきゃいけないの?

視線で問うとガーリックに大きく頷かれた。
 
「えっと、一先ず落ち着いて、勝負するとしても明日にしようよ。
取り敢えず夕飯食べて休もう、夜危ないから全部夜が明けてから、ね」
三人の間に割って入ると、渋々ながら納得してくれた。

朝は筋肉痛で夜は人間(魔族)関係で心労です。
こう言う時はご飯食べてアンズ抱えて寝よう。





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