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第三章 異世界の馬車窓から

気の合う二人プラス1

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「ハーイジョージ、待ってたよ」

その夜、また2人で会う事が出来たのだけれど…早まったかな。

「お久しぶりね~(はいはいはい)あなたに会うなんて~」
…………絶対に早まった……。

「病んでるボーイマッキーです」
「麻痺ってるボーイアッキーだ」
「2人合わせてやんま……」
「ストーップ!それ以上はなんだかマズイと思う!」

思わず僕が止めると2人…牧さんと、何故ここに居る?な秋彦さんは見つめ合い、嬉しそうにハイタッチした。

「イエ~~イ!突っ込みが有るってイイね!」
牧さんがサムズアップする。

「いや~~、通じるって素晴らしいね」
腕組みした秋彦さんが深く頷く。

「何故秋彦さんがいらっしゃるのですか?」
聞きたくは無いけど、無視するわけにもいかない。

「マッキーから連絡貰ってね」
パチーンとウインクする秋彦さん……。

「ん?牧さんの妖精って、絵の子と記録の子じゃないんですか?」
「あれ?言ってなかったっけ?
ビデオとプリンターとスマホが有るって」
記録の子と絵の子と遠話の子か…偏ってるなぁ。

「近い時代から来たんだし、仲良くしようじゃないか」

仲良く…ねぇ……。
したく無いわけじゃないけど、疲れるんだよね。
一人でも疲れるのに二人とは…。

「まぁ、まずは呑もう!」
コップに酒を注ぎだす秋彦さん。

「あ、すみません、僕お酒はちょっと……」
「おっ?俺の酌じゃあ呑めないって言うのかい?」
時代劇っぽい口調で秋彦さんが言うけど、秋彦さんの時代には、アルハラなんて言葉無かったようだ。

「この幼児体形にアルコールはあまり良く無いと思うし……」
「アッキーアッキー、この子の死因ってアル中だって言うから、辞めといてあげなよ」
牧さんがフォロー入れてくれるけど……何だかその言い方、ニュアンスが違って伝わる様な……。

ちょっと凹んだ僕を置いて、酒盛りは始まった。


*****


「お二人はよくこうして呑んでいるんですか?」
酒の代わりに果実ジュースを飲みながら聞いてみる。
まあ返事はわかってるけど、話の取っ掛かり的な?

「まあね、やっぱ近い時代から来てるから」
「あるあるネタとかで盛り上がれるしね。
微妙なジェネレーションギャップも面白いし」
20年以上の差が有っても、近い時代になるのか。

「いや、俺は普通に話してるつもりなんだけどね」
「だってさ、自分が2018年から来たって言ったら、この人いきなり聞いて来たことが……」

「アンゴルモアの大王は来たのか?」

「だよ?イミフだったし」
アンゴルモア……何だっけ、ノストラダムスだったか?
確か小学校の頃流行ってたよな。
読んで無いけど、うちにも一冊有って、親が「世紀末だー!世界が滅びるー!」って騒いでたし。

「そこで世界終わってたら自分ここに来てないし。
一番気になるのがソレって笑えるわ」
「大ベストセラーだったんだよ、世紀末間近だったんだよ?
そりゃあ気になるって」

ぽんぽん言い合二人は本当に気が合ってるって言うのが伝わってくる。

「本当に仲が良いんですね」
「まぁね~、やっぱり知らない世界にたった一人で放り出されたら、ヤバかったと思うよ。
同じ日本人が居たから良かったと思ったけどさ、岸さんって随分後の時代の人だし、生真面目過ぎてどうも……ね。
でもアッキーに会ったらほぼ同じ時期だし、気があうしで、モヤモヤしてたの吹っ飛んだね」
呑みながら、しみじみと言う。

「浦島太郎状態だったのが、俺の居た時代を知ってる奴が来たって言うから会ってみたらコイツだろ?
マンルモスラッピーってやつだね」
……ん?
「あれ?牧さん喋り方……」
あのよくわからないネットスラングが無い。

「あ~、別に自分だって普通に喋れるよ。
無意識に出る事はあるけど、だいたいわざと使ってる。
……だって忘れたく無いからね、元の世界を」
「俺はロクデナシだったし、親にも勘当されてたからまだマシだけど、コイツ普通に仲の良い親きょうだいが居たみたいだからね」
「親からしたらどのみち死んでんだけど、自分はこっちの世界で生きてんだし、やっぱ忘れたく無いじゃん?
だからつい意地になって使ってるってのもあるかもね」

しんみりとした空気が流れているのに、やっぱりそのままではいられないのがこの二人なのか、話が急展開する。

「それより!それより何より、俺はは君に言いたい!
何故だ?何故君の周りは男だらけなんだよ!」
「あーそれな、自分も思ったよ。
折角の異世界、折角の召喚者、折角の英雄、何故女の子に目を向けない!
ある意味歪だよ、今の状況って!
こんな男だらけなんて需要は腐った女性にしか無いよ!」

「いや、そんな事言われても…」
好きで周りを男で囲んでるわけでないし。

「ラノベなら傭兵や兵士や護衛やなんかまで女性で囲むのは当たり前だろ?」
「いや、小説の世界じゃ無いんだから。
普通なら荒事は男性の仕事だろ?」
言い返したけど、二人の口は止まらない。

「なっちゃいないね、荒事じゃ無くても、従者とかお世話係がナイスバディのお姉さんで、ラッキースケベが有るのは鉄板だろ?」
「そう!ましてや君は今幼児体形、豊満なパイオツに顔を埋めても、うっかり見上げるとメイドさんのスカートの中とか、いくらでもやりたい放題ではないか!
男のロマンを追求しないとは、神への冒涜だ!」


…………この二人置いて部屋に戻って良いかな……。





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