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第五章 問題は尽きないようです

どんどん離れていく僕

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攫われた魔物の人達がいつまでも無事でいるとは思えないので、少しでも早く行動に移すため、会議は進む。
何よりベルンリグール迄遠いいのが一番のネックだ。

ヤシさんの奥さんや、スイの奥さんの親戚のドラゴンの方々に運んでもらうとしても、一度に運べる人数に限りがある。
ドラゴンの総数は少ないし、何度も飛んでもらうとしても、かなり無謀だ。

先発部隊だけ運んでもらい、残りは馬で……なんて話も出たが、現実的ではない。
…………これはやっぱり黙っておくべきではないか……。

「…あのー………」

僕がそっと手を挙げると、カイが気づいて「どうされました?」と聞いてくる。

「あのー…僕が運びます」
「は?」

おずおずと告げると、皆がクエスチョンマークを浮かべた顔でこちらを見る。

「えーと……何やらニヤ……妖精王達がバージョンアップしたようで、移転のゲートが開けるそうです」

『違うでしょ、とうちゃんがバージョンアップしたんでしょ』

『そうそう、とうちゃんがワタシ達の力をうんと引き出せるの。
ワタシ達の眠ってる力も全て引き出せるの。
とうちゃんが凄くなったの』

ニヤ達から突っ込みが入るけどスルーだ。
言葉が通じないことにありがとうと心の中で感謝して、ニヤ達の力だとしておく。

人間離れバレしない為にも……手遅れであっても、少しでも隠せるものは隠したい、一般ピーポーなんだよ!

「ちょっと待てよ、移転って行ったことある場所にしか行けないんじゃないの?
行ったことも見た事もない場所に行けるの?」
流石オタクな牧さん、突っ込みが鋭い。

そうだよね、行ったことなくても、せめて衛星からの詳細な地図…グーグ●アー●みたいなのがあれば、そこに座標合わせてとか出来るかもだけど、行った事も見たこともない、詳細な地図もない場所に行けるなんて、ありえないだろうけど、どうやって行くのか考えてたら、頭の中で俯瞰図が浮かんで来た。
その俯瞰と一緒に「行ける」と言う事も分かってしまった。

「なんで?」と言う思いと「出来ないわけがない」と言う矛盾が僕の中にあるけれど、出来るのが事実だ。
隠しておきたいけれど、緊急事態だし、攫われてる魔物の人達の為にも、出来ることを出し惜しみしている場合では無い。

「行ったことない場所でも、妖精王達の力で可能になるそうです」
但し言い逃れはする。

「おお、流石妖精王ですね」
賛辞の声が上がると、

『えー、とうちゃんが凄いのに』

とピヤは少し不機嫌だ。
ごめん、でも人間離れしてるって思われたくないんだって。
僕はあくまでも普通のおっさんのつもりなんだから。

『とうちゃん……流石に無理があると思うの』

そりゃあ妖精から祝福受けまくって、金眼で幼児で、寿命が長くて、透けてて浮いてて、しかもあの存在と会ってから、なぜか全ての妖精の潜在能力を最大に引き出せるようになっちゃったようで、出来ないことなんて、普通の人間の成長速度で生きること以外無いのでは?

な存在にならされてしまったけど、精神的には自分は普通だ。


……………………と思わせてよ…………。


ガチに凹んでいると、ピヤがポンっと肩を叩き、

『とうちゃんの思うように言っていいよ。
全部ボク達の仕業って言ってもいいよ』

と慰められてしまった。
ニヤもうんうんと頷いている。

ありがとう、二人とも。




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