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第五章 問題は尽きないようです

姿無き方々との対話は続く

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それでまぁ、人間を滅ぼす事はやめになったけど、今回の反省と責任として、国民すべての意思を変える事、それが出来なければ、先ずはトップの人間が、そして変わらない国民が滅んでいく事になったそうだ。

国王…いや、皇帝だつたっけ?
まぁ呼び名はどちらでも良いか。
とにかくこの男が変わるだけではなく、国民が変わらなくても、その責任としてこの男も国民と共に滅されると。

結構厳しいとも思うけど、今までの責任を国の頭として取るのなら、致し方ない……のか?
まぁ、あの場に居た他の奴らは多分もう………だろうから、ワンチャン有るだけマシだと思って、国を変えて欲しいな。

正直、トップを滅ぼしたからと言って、その下にいた国民が、よその国の話を聞く耳持ってるとも思えないから、やっぱりトップがキチンとこれからどうするかの説明と方針を示すのが、一番後の波風が少ないだろうからね。
後はこの男に任せる事にしよう。

『いざとなれば切り取り線から大地を切り離してしまえば良い』

力強い女性の声、大地の人かな。

『そうだ。
こんな下らぬ人間のいる大地は捨てて、進化を遂げつつあるそなたらを乗せた大地を遠い地へ移すがよい』

切り取り線って?

『山と山に挟まれた川のことよ』

えー、大地を切り離して動かすなんて可能なの?
と言うより大地って動くの?

『問題ない、なんとかする』

でも、あなたも命を生み出して力を使い果たしたのですよね?
それなのに大丈夫なのですか?

『何も我が動かす訳ではないからな、案ずるな』

何か僕では考えつかない方法でもあるんだろう…という事にしておこう。

『小さいことを気に留めるな。
それより手っ取り早くこの男とこの男の治める国を地中に沈めてしまおうか』

いやいやいやいや、すべての国民が腐っている訳ではない……と思われるので、もう少し様子を見守っていてください。

『そうか?
いつでも大地に沈めてやるぞ』

最終手段としておいて下さい。
あなた方の生み出した生き物の生き様を、見守ってやってください。

『我が生み出したのではないがな、コイツの顔を立ててやろう』

『そうして欲しいな、折角ボクらをモデルにして作った生命なんだから』

『フン!我らをモデルとは片腹痛い!
こんな劣等種と同様だと思いたくもないわ』

『まぁ、失敗作だよね、ここまで進化もしないとは。
でも南の人間は概ね成功だと思うよ。
成功も失敗もあるのは仕方ないよね』

『我の生み出した四つ足に失敗作は無い』

『うーん……そういう事にしておくよ』

『フンッ!』

仲が良いんですね。

『そりゃあ当たり前だよ、たった5人の仲間なんだからね』

『同胞が仲が悪くてどうする。
ここの人間は増えすぎたからおかしくなったのであろう。
何事も過ぎたるは及ばざる如しだ、無闇矢鱈と増え過ぎないようにしておけ』

『うん、だから南の進化過程の人間は増え過ぎないようにしてるでしょ』

『まあな』

ふむ、寿命が長いから婚期が遅かったり、三つ子や四つ子どころか、双子もほぼ見かけないよな。
それに歪にも感じる運命の人って、人間が増え過ぎないようにする対策も兼ねているんだ、成る程。

『ほう、中々頭の良い男だな』

『凄いね、会話を聞いただけで察するとは、この世界の人間には無い能力だね』

いやいや、そんな事無いですよ、僕の周りの人達なら同じ考えに行き着くですよ。
さっきから持ち上げられて、思わずキョドッてしまう。

『うん、気に入った。
また時間があればいつでもここに来れば良い』

『そうね、こちらからは無理だけど、あなたならこの場所へはいつでも来られると思うから、また来てね』

『そうだね、水のももっと話したいって言ってたし』

『そろそろあちらに戻さないといけないから、今日はここまでね』

『先にこのゲスを送り返そう。
ホラ!いつまで寝ている!起きろクズ!』

気を失っていた男がビクッとして目を動かす。
地面に埋め込まれているから、顔も動かせない様だ。





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