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2章
8.ナオミ、オリジナル
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「まさか、私の切り札でニールの好感度が上がり過ぎてレベルアップした挙句、浄化魔法をマスターするとはね・・。やっぱり、ニールは隠れBLルートで、エッチなことするたびにレベルあがっちゃうってことでいいの?」
ナオミはまた、訳のわからないことを言った。
「暫く会わないうちに、そんなに進展してしまったのか?私は反対だと言っただろう!ニール!」
レオノーラはナオミには突っ込まず、ニールに突っ込んだ。
「二人とも・・姦しいなぁ・・。それを食べ終えたらお引き取り願いますよ。」
フレデリックはそう言いながらもナオミとレオノーラにお茶を入れた。
「このメープル味のクッキーも美味しいんだけどさ、気になるのはこの手紙なのよ。"親愛なるニール・ノーラン様。楓の木の樹液は順調に糖度を増し、家にも人が少しだけ戻って来ました。奨学生の試験にも合格し、春から、あなたと一緒に魔法学校で学ぶことが出来そうです。あの夜の続きを楽しみにしておいて。ファビアン"」
「な、ナオミ様!いつのまに手紙を?!」
ファビアンからメープルシロップを使ったお菓子を沢山送って貰ったので、ニールはフレデリックの研究室に差し入れとして持ってきたのだが、その中に入っていた手紙をナオミは目ざとく見つけて、勝手に読み上げてしまった。
「"あの夜の続きを楽しみにしておいて"って、何なのーっ?!ちょっとこれ、ファビアン×ニールの匂いがぷんぷんするんだけど!!」
「ナオミ様の経典によると、"レオンハルト×ファビアン"ではなかったのか?」
「そーなのよ。私の娘はレオンハルト×ファビアンしか勝たんっていってたから・・私も密かに楽しみにしてたんだけど、この萌えニールがっ!!くぅ!」
「ふーん。まあ私はレオンハルト×ニールは反対だから、ファビアン×ニールを歓迎する。」
「もうこの際レオンハルト×ニールでも、ファビアン×ニールでも良いんだけどさ、それより心配なのは入学式のイベントなのよ。」
「「「入学式のイベント?」」」
「そうよ!入り口に攻略対象者が集まって、誰と入学式の会場に行くか選ぶの。そこで選んだ人の好感度は爆上がりするのね。だいたいそれで、浄化魔法を覚えるのよ。ー昨日思い出したんだけど。」
「そんな大事なことを昨日?!」
「だって私、前世は五十超えてるんだから、何でも三歩歩いたら忘れちゃうの。
もうニールが浄化魔法はマスターしたから私は好感度を上げなくてもいいわけだけど、これからの事を考えればやっぱり魔法は覚えてはおきたいじゃない?でもさあ、萌えニールが次々と攻略対象者たちを落としてるから・・入学式の入り口で誰からも誘われないパターン十分あるよね?」
「あるある!」
レオノーラが力強く頷くとナオミはテーブルに突っ伏した。
「くぅーー!それはそれでしんどいわぁー!可哀想じゃない?!わたしっ!」
「まさかそんな・・。あの、私は聖女ナオミ様の側仕えですから、側におりますよ?」
ニールは突っ伏したナオミの背中をさすった。
「うん。でも私、不惑どころか天命を知る五十路だから・・大丈夫。策はあるわ・・。」
ニールは嫌な予感がした。先日も秘策といって、レオンハルトに"ニールが眼鏡をかけていないのはレオンハルトと、接吻するためだった"と告げ口されて、恥ずかしい思いをしたばかりだ。またナオミがおかしなことを言い出さないか心配になった。
「ナオミ様、レオノーラ様、そろそろお引き取りを。こちらも、最後の練習をそろそろ始めたいのです。」
フレデリックはそう言って、二人を研究室から追い出した。でも「楽しくなりそうだなぁ」とフレデリックは笑った。
浄化魔法も無事に使えるようになり、ニールも入学式が楽しみになった。
当日、総代で挨拶をするレオンハルトは集合時間が早いため、朝早く出発してしまった。ニールはナオミと城の出口で待ち合わせて学校に向かうことになっていた。
ナオミは待ち合わせ場所で会うなり、いつもの調子で捲し立てた。
「ニール!私は決めたの。私は私だけの・・・運営もシナリオも完全無視の"ナオミ、オリジナルの未来"を目指すって!今日はその第一歩よ!!」
ナオミはまた胸を張った。ニールは少し、いやだいぶ不安になって尋ねた。
「・・・と言うと、今日はどうされるおつもりですか?」
「とりあえず、入学式はボイコットします!」
「えーー?!わ、私は行きたいです。せっかく魔法学校に入れたのだから・・。それに、殿下が・・。」
「殿下が何よ?」
「総代で挨拶をするんです。」
「カーーッ!じゃあニールだけ行きなさいよ!!私は行かない!」
「そ、そんな訳には・・!!」
ニールたちが城の出口で揉めていると、城の中から、何やら人が沢山走り出てきた。
「急げ!」
走ってきた人たちは皆、灰色のローブを纏っている。
(あのローブは宮廷魔術師・・?)
続いて兵士らしき男たちも、出口に向かって走ってきた。
「邪魔だどけっ!」
ニールたちが呆然と立ち尽くしていると、男たちは口々に叫んだ。
「魔法学校の入り口で魔物がでた!」
「急げ!複数いるらしい」
「怪我人も出たらしい!治癒魔術師も呼んでくれ!」
「なんだって・・?!魔物?!」
「まさかっ!そんなイベント、起こらなかったはずよ・・!」
「ナオミ様!!私達も向かいましょう!魔物でしたら、ナオミ様の神聖の魔力が効くと思います!」
ニールはナオミの手を引いて、走り出した。
同時に、ナオミの魔力を吸い取った。
ナオミは「結局、魔法学校の入学イベントからは逃げられないの?これはシナリオ?!」と呟いた。
ナオミはまた、訳のわからないことを言った。
「暫く会わないうちに、そんなに進展してしまったのか?私は反対だと言っただろう!ニール!」
レオノーラはナオミには突っ込まず、ニールに突っ込んだ。
「二人とも・・姦しいなぁ・・。それを食べ終えたらお引き取り願いますよ。」
フレデリックはそう言いながらもナオミとレオノーラにお茶を入れた。
「このメープル味のクッキーも美味しいんだけどさ、気になるのはこの手紙なのよ。"親愛なるニール・ノーラン様。楓の木の樹液は順調に糖度を増し、家にも人が少しだけ戻って来ました。奨学生の試験にも合格し、春から、あなたと一緒に魔法学校で学ぶことが出来そうです。あの夜の続きを楽しみにしておいて。ファビアン"」
「な、ナオミ様!いつのまに手紙を?!」
ファビアンからメープルシロップを使ったお菓子を沢山送って貰ったので、ニールはフレデリックの研究室に差し入れとして持ってきたのだが、その中に入っていた手紙をナオミは目ざとく見つけて、勝手に読み上げてしまった。
「"あの夜の続きを楽しみにしておいて"って、何なのーっ?!ちょっとこれ、ファビアン×ニールの匂いがぷんぷんするんだけど!!」
「ナオミ様の経典によると、"レオンハルト×ファビアン"ではなかったのか?」
「そーなのよ。私の娘はレオンハルト×ファビアンしか勝たんっていってたから・・私も密かに楽しみにしてたんだけど、この萌えニールがっ!!くぅ!」
「ふーん。まあ私はレオンハルト×ニールは反対だから、ファビアン×ニールを歓迎する。」
「もうこの際レオンハルト×ニールでも、ファビアン×ニールでも良いんだけどさ、それより心配なのは入学式のイベントなのよ。」
「「「入学式のイベント?」」」
「そうよ!入り口に攻略対象者が集まって、誰と入学式の会場に行くか選ぶの。そこで選んだ人の好感度は爆上がりするのね。だいたいそれで、浄化魔法を覚えるのよ。ー昨日思い出したんだけど。」
「そんな大事なことを昨日?!」
「だって私、前世は五十超えてるんだから、何でも三歩歩いたら忘れちゃうの。
もうニールが浄化魔法はマスターしたから私は好感度を上げなくてもいいわけだけど、これからの事を考えればやっぱり魔法は覚えてはおきたいじゃない?でもさあ、萌えニールが次々と攻略対象者たちを落としてるから・・入学式の入り口で誰からも誘われないパターン十分あるよね?」
「あるある!」
レオノーラが力強く頷くとナオミはテーブルに突っ伏した。
「くぅーー!それはそれでしんどいわぁー!可哀想じゃない?!わたしっ!」
「まさかそんな・・。あの、私は聖女ナオミ様の側仕えですから、側におりますよ?」
ニールは突っ伏したナオミの背中をさすった。
「うん。でも私、不惑どころか天命を知る五十路だから・・大丈夫。策はあるわ・・。」
ニールは嫌な予感がした。先日も秘策といって、レオンハルトに"ニールが眼鏡をかけていないのはレオンハルトと、接吻するためだった"と告げ口されて、恥ずかしい思いをしたばかりだ。またナオミがおかしなことを言い出さないか心配になった。
「ナオミ様、レオノーラ様、そろそろお引き取りを。こちらも、最後の練習をそろそろ始めたいのです。」
フレデリックはそう言って、二人を研究室から追い出した。でも「楽しくなりそうだなぁ」とフレデリックは笑った。
浄化魔法も無事に使えるようになり、ニールも入学式が楽しみになった。
当日、総代で挨拶をするレオンハルトは集合時間が早いため、朝早く出発してしまった。ニールはナオミと城の出口で待ち合わせて学校に向かうことになっていた。
ナオミは待ち合わせ場所で会うなり、いつもの調子で捲し立てた。
「ニール!私は決めたの。私は私だけの・・・運営もシナリオも完全無視の"ナオミ、オリジナルの未来"を目指すって!今日はその第一歩よ!!」
ナオミはまた胸を張った。ニールは少し、いやだいぶ不安になって尋ねた。
「・・・と言うと、今日はどうされるおつもりですか?」
「とりあえず、入学式はボイコットします!」
「えーー?!わ、私は行きたいです。せっかく魔法学校に入れたのだから・・。それに、殿下が・・。」
「殿下が何よ?」
「総代で挨拶をするんです。」
「カーーッ!じゃあニールだけ行きなさいよ!!私は行かない!」
「そ、そんな訳には・・!!」
ニールたちが城の出口で揉めていると、城の中から、何やら人が沢山走り出てきた。
「急げ!」
走ってきた人たちは皆、灰色のローブを纏っている。
(あのローブは宮廷魔術師・・?)
続いて兵士らしき男たちも、出口に向かって走ってきた。
「邪魔だどけっ!」
ニールたちが呆然と立ち尽くしていると、男たちは口々に叫んだ。
「魔法学校の入り口で魔物がでた!」
「急げ!複数いるらしい」
「怪我人も出たらしい!治癒魔術師も呼んでくれ!」
「なんだって・・?!魔物?!」
「まさかっ!そんなイベント、起こらなかったはずよ・・!」
「ナオミ様!!私達も向かいましょう!魔物でしたら、ナオミ様の神聖の魔力が効くと思います!」
ニールはナオミの手を引いて、走り出した。
同時に、ナオミの魔力を吸い取った。
ナオミは「結局、魔法学校の入学イベントからは逃げられないの?これはシナリオ?!」と呟いた。
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