異世界に渡ったら獣人だった!

小猫田猫助

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はじまり

22話 事件

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 キキを収穫してから数日、また嫌な噂が耳に入った。獣人の可愛い女の子が2人居なくなったらしい。そういう訳もあってまだルシーナは外で遊ぶ事が出来ない。

「いらっしゃいませナート様。御用はございますか?」
「やぁリリー。ルシーナは居るかな?」
「畏まりました。」

「いらっしゃい、ナートくん!」
「こんにちは、ルシーナ。」
「今日はどうしたの?」
「今日はお小遣いが入ったから、アンカーを買おうと思って来たんだ。」
「そう言えば持ってなかったね。
 ここに置いてある物は基本的な機能は同じだよ。デザインがちょっと違うのとパパが変な機能付けたりしてるから、そういった部分の違いはあるかな。」
「(変な機能って不安だな…)因みにどんな機能を付けてるの?」
「うーん。この白いベルトは一瞬で可愛い格好に変身出来るの。
 黒いベルトはボタンを押すと録音出来て、この黄色いのは引っ掛けるのが付いた縄が出てくる、青いのは寂しく無い様にぬいぐるみが出てくるのよ!」

 基本的に海に潜るのにあまり必要無い機能ばかりだな…色もあんまりカラフルなのは嫌だし…

「じゃあ黒いベルトにしようかな。」
「そう?私的には白がお勧めだったんだけど…」
「それはトールに合うと思うよ。」
「それもそうね。じゃあ黒いベルトね。
 お買い上げありがとうございます。」
「そう言えば、シアさんとの特訓はどう?」
「根をあげたくなるけど楽しいわ!
 ママの特訓の後にトールと模擬戦をしてて、トールを叩きのめすと外に出れないイライラも多少晴れる気がするしね。」
「…。きっとルシーナの性格はお母さん似だね。」
「そう?嬉しいわ!ママは格好良いもの!」
……


 俺はルシーナと暫く話をして店を出た。うちに帰ってお店のオープンの支度をしていると、ガズがすごい勢いで店に入ってきた。

「大変だ!ルシーナが居なくなった!!」
「何だって?!さっきお店にアンカー買いに行った時は居たのに!外に出れないって言ってたから出てないはずだよ!」
「どうも店から連れ出されたみたいなんだ。」

ーバンッ!ー

 突然警備隊の格好をした男が2人、うちの店にやって来た。入って直ぐに眉間に皺を寄せ、ハンカチで口と鼻を覆った。極度の獣人嫌いか。

「いらっしゃいませ。まだオープンの時間ではありませんが、何かご用件でも?」
「ナート・テイルズは居るか?」
「僕です。」
「誘拐事件に関して話を聞く。警備隊の所に来い。」
「何でナートを連れてくんだよ!」
「煩い!お前は関係無いだろ!触るな獣人!!」

「おい!うちの店で何騒いでる?」
「デアドさん!ルシーナが居なくなったらしいんです!
 それでなんか警備隊の人が誘拐事件について話を聞くから警備隊の所に来いって。」
「未成年を親に一言の断りも無く連れて行くとはどういう事だ?お前達こそ誘拐犯だな。」
「獣人に未成年だとかは関係無い!」
「なぜ関係無いんだ?」

 デアドさんの空気が一瞬にして変わった。突然空気が重くなった。きっとデアドさんの殺気を受けているこの二人は重いどころの話じゃ無いだろう。

「話を聞くだけで、なんでナートは警備隊の所まで行かなければいけないんだ?答えろ!」
「ぐっ…それはルシーナ・オベーリャが…一人で店番を…してた時間…お店に入ったのを…何人かに…目撃された…のは…ナート・テイルズ…だけ…だからだ。」
「ナートを容疑者として疑ってるんだな?」

 ただお店に行っただけで、容疑者扱いなんて!しかも
俺以外あの時間にお店に入った目撃証言がないって言うだけで!

「確かに僕はお店に行きました。ルシーナの所でアンカーのベルトを買うために。
 少し話をして30分くらいで出て来ました。
 特に店内にもルシーナ自身にも変わった様子は無かったです。僕が知ってるのはそれ位なので、お話出来るのもそれ位です。」
「それでお前らはただ店に入ったという目撃証言があっただけで、容疑者として未成年の子供を連れてくのか?」

 デアドさんの殺気が更に増して痛い程だ。

「クッ…わかった…今日は帰るっ…」

 警備隊の二人は逃げる様に店を後にした。俺は容疑者として疑われてるというショックで思考を停止していた。

「ナート?大丈夫か?
 俺はお前が関わってるなんて全く思ってないぜ!ルシーナの事も心配してたのも知ってる。
 俺達は友達だからな!!」

 そうだ、この世界で初めて出来た友達だ。
 その友達が一人居なくなったんだ!ショックを受けてる場合じゃない!ルシーナを早く探し出してあげないと!!

「デアドさん!ルシーナの家に行ってきて良いですか?ルシーナの事心配だから探したいんです!」
「勿論だ!俺も一緒に行く。ラウラ!」
「話は聞いたよ。今日は店を閉めよう。
皆んなでルシーナの家に行って少しでも力になろうじゃないか!」

……


ールシーナの家ー

「シアさん!ナートです!」
「ナート?!君がルシーナちゃんを隠したの?ねぇ?頼むからルシーナちゃんを返してよ!」
「トール!!お前ナートを疑ってんのか?!いくらルシーナが心配だからって友達を疑うなんて、最低だぞ!!」
「だって!目撃証言はナート以外出てこないし、友達って言ったって最近友達になったばかりじゃないか!
 それにここ流れ着いたんだろ?どこから来たかも分からない、信用出来ないのは当たり前だろ!!」

ーバチン!ー

「トール、頭を冷やしなさい。ただお店に買いに来た所を見られただけのナート君をそんな風に疑うなんて、可笑しいって分かってる筈だ。」
「…ごめんなさい。」

 俺はさっき以上にショックを受けた。友達だと思ってる奴から疑われるなんて。
 トールの気持ちも分からなくは無い、得体の知れない奴は信用出来ないのは当たり前だ…だけど悲しかった。

「トール、ルシーナを本当に思ってくれてありがとう。
でもナートは関わりないよ。ちゃんとさっき証明された。」

 そう言いながら奥から出て来たのはルシーナの両親だった。セバスチャンさんは腕にリリーを抱きかかえていた。

「あの、証明されたってどうやってですか?」
「リリーの目は映像を記録する様になってたんだよ。
 その映像にはナートくんがうちの店に来て買って帰った後、2人組の男女のカップルが入ってきてルシーナを大きな鞄入れて出て行った所が映っていたんだ…
 その二人が出て行く時にリリーを壊していって、映像の修復時間が掛かったんだ。
 ナートには迷惑掛けて申し訳なかったね。」

 俺は濡れ衣が晴れた事は確かに嬉しかったが、ルシーナが誘拐される映像を見たセバスチャンさん達はどんなに辛かっただろうと思うと全く喜べなかった。

「セバスチャンさん僕は全然大丈夫です。
 それよりその映像の犯人を僕達にも見せてください!」
……


 ルシーナが気絶させられ無理矢理鞄に詰め込まれる映像を見て、ここにいる誰もが怒りに震えていた。

「あっ!この女の人!!さっきナートを目撃したって証言してた人だよ!」
「この男の方はセギド・トラドルと一緒に居た奴だ!」
「トラドルか…これは警備隊の内部にも犯人と繋がってる可能性ありそうだな。その映像は警備隊にはまだ見せない方が良いかもしれない。
 俺は傭兵団の方に協力をお願いして情報を貰ってくる。」

「(なぁナート、俺達は俺達で探しに行かないか?
 ルシーナが酷い目に遭ってるかもしれないのに、ただ待ってるなんて出来ない!)」
「(ねぇ僕も連れてって。)」
「(トール…お前ちゃんとナートに謝ったか?)」
「(ナート…ごめん。僕ルシーナちゃんの事心配だからって本当に酷いこと言ってごめんね。)」
「(もういいよ。僕と友達でいてくれるか?)」
「(うっ…うん!)」
「(もう直ぐ夕方だ。夜になると探しづらくなる急ごう。)」

 俺達はそっと家を出て街でトラドルに関する情報を聞いて回ることにした。
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