聖女召喚で呼ばれた私は女神(仮)でした

ミツ

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女神になった少女

ミサキ・アイザワ……

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 港に到着すると待っていたのは、大勢の騎士と民衆であった。 彼等は、ゲイリーさんとステラさんを出迎えに来た人達である。
 オープンカーのような馬車に座り、まるで凱旋パレードのように豪快に手を振るゲイリーさん。
 対象的にステラさんは、優雅に手を振っていた。 ……私も見惚れる。

 が……解せん。

 何故、私がオープン馬車の上で更にゲイリーさんとステラさんの間に座らされてるんだ。
 皆から「あれは誰?」とか物凄い勢いで指を指されている。

「あの……物凄く気まずいんですけど……」
「はっはは、家に来たらこの程度じゃすまんぞ」
「そうよ、今のうちになれとかなきゃ」
 ゲイリーさんとステラさんは、表情を崩さず手を振りながらそう私に言い聞かせた。


 ━━何故、こんなことになったのか。 ミサキが船を作り替え、ステラさんに説教された直後のこと。



「動いているから問題ないな! 凄いなーミサキは」
 ゲイリーさんが、船の甲板を槍で叩きながらそう言うとステラさんが「あなた……」と、低音ボイスで呼び掛けるすると「うむ……」と一言呟き静かになった。
 長旅で気づいた。 これは、船を壊したことを反省しなさいの威圧によりゲイリーさんは大人しくなったのだ。

「さて、ミサキの事を話し合わないといけないわね……ファント」
「先程、声かけ致しましたのですぐ来るかと」
「…………?」
 ファントさんは、ずっとここにいた筈。

「はぁ、はぁ、はぁ、お待たせしたな。 ステラ
 すぐに小太りの男性が走ってきた。 彼の名前は、ヒョッケイ。 エフィル神国の官僚らしいです。
「で、首尾は?」
「本国でも、許可が下りました…………はぁ、はぁ」
 ……どんだけ走ったんだ。 ずっと、はぁ、はぁ言ってるけど。

「あなたから伝えて」
 ステラさんが、大人しくしていたゲイリーさんに話を振る。 ゲイリーさんは、出番かとばかりに身体を伸ばした。
「任せろ! ミサキよ、今日からミサキ・アイザワ・ミケラーノとする。 後、家の娘になった! はっははは! 目出度いのぉ!」
「は?」

 何を言ってるんだこの人。家の娘になった?って、何を……。
 ステラさんを見ると、何故かハンカチで涙を拭っているし、ヒョッケイさんは未だに「はぁ、はぁ」言ってるし……。
 最後の頼みは……ファントさ、ん……ニコッと私に笑顔を向けて。

「どうなさいましたか? ミサキお嬢様・・・
「いや、さっきまでミサキさん・・だったよね?」
 ファントさんは、ずっと私をさん付けで呼んでいた。 最初は『様』付けで呼んでたけど……なんと言うか、拒否反応が大きくてね。
『様』なんて、病院でしか言われたことないし。

「ファントさん、説明……して貰えるかな?」
「畏まりました。 ミサキお嬢様……後、私の事はファントと呼び捨てにしてくださいませ」
「ムリ! 意味がわからない」
「簡潔に御伝えしますと、ミサキお嬢様は、ゲイリー様とステラ様の養子となられたのです」
 何を……いや、てか、私の意思を無視して?

「ミサキ、勝手にこんなことをして悪いとは思ったけどミサキの為なのよ」
 ステラさんが、涙を拭いながらにそう話した。 その横では未だにヒョッケイの「はぁ、はぁ」と言うこ息切れが聞こえる。
「私のため?」
「ええ、ミサキの魔法は規格外よ。 もし他国にバレたら誘拐された上、奴隷にされ一生戦争の為の兵器として扱われてしまう可能性があるの。 だから、私達が盾となるのよ」

 奴隷……兵器……。 恐すぎる。
「えっと、何でゲイリーさん達なの?」
 私の言葉に全員が苦笑する。 これには、常に胡散臭い笑顔のファントさんですら苦笑した。
「……あなた? 何も説明をしてないの? 3日前に話すって言ってたわよね?」
 ステラさんの声に食い気味に「すいません」と謝罪するゲイリーさん。

 ステラさんは、私に対して華麗な礼をする。
「私はエフィル神国の姫であり、ゲイリーはその夫であり次期教皇よ」
「教皇……」
 教皇ってあの、宗教とかの……あれなの?!  
「ミサキが考えてるようなモノでは無いわ。 要は、エフィル神国の王様って位置ね。 あくまでも象徴よ」
 そっか…………?

「じゃなく! 私は、そんな凄い人の養子?」
「まあ、ミサキが、良いなら、一緒に、居て、欲しいなと……」
 顔を赤らめモジモジしているゲイリーさん。 私は、そんなゲイリーさんを見つめ声を掛けた。
「気持ち悪い……」
「ミサキ、同感だけど心の声が出てるわよ」
「はぁう!」
 ゲイリーさんは、ステラさんのトドメの一撃によって沈んだ。

「で、どうかしら? 一緒に居なくても、私達の後ろ楯はついたままよ」
 ステラさんが、優しく言ってくれた。 今さらだけど、元の世界に帰りたいのかな、私?
 ………あれ? 考えれば考えるほど、帰りたくないかも……。
 ゲイリーさんとステラさんは、家の両親より親らしいし……。

 熟考した私が出したのは、養子として一緒に住むと言う選択だった。
「……でも、ゲイリーさんとステラさんってお子さん居ないの?」
「いるぞ。 息子1人に双子の娘が2人だ。 娘は、ミサキと同じくらいだな」
 何がですか? 年齢ですか? 年の割には伸びなかった身長がですか?

「同じくらいって?」
「年齢だ。 息子が12歳、娘達が10歳だ」
 ………………。
 私の無表情に気づいたステラさんが、私に優しく聞いてくる。
「どうしたの?」
 と私は声を大にして言ってやったわ。


「私、16歳ですけど!!」


「「「「えっ!?!?」」」」
 その場にいたファントさんを除く全員のリアクションが一致した。ファントさんに関しては何故か私の誕生日迄も言い当てたのだ。

 どうやら、一年を通しての暦は地球と一緒らしい。 
定めたのは、過去の召喚聖女様。分かりやすくしてもらって感謝、感謝。

 ━━━いや、それよりも何よりもファントさん何で私の誕生日と年齢を知ってるの? 
「お嬢様にお仕えする執事ですので」
 ニコッと笑った。 


…………いや、お前、心読んだのか?



「読んでおりませんよ」
「………………」
 いや、なに恐すぎ。






 パレードで、ミサキは照れながらも手を振ることに成功した。 死ぬほど恥ずかしかったけど。
 パレードが終わると再び、馬車に乗り込む。
 馬車って、意外と快適なんだよ…………王族のだからかな。

「さて、ここからは列車の旅だ。 ミサキ、列車に乗ったことあるか?」
 ゲイリーさんが、ドヤ顔で聞いてくる。
「ありますよ。 飛行機も」
「ひこうき?」
 ゲイリーさんが、なんだそれと言う表情を浮かべる。 ステラさんは、この話に興味がありそうだ。

「えっと、空を飛んで移動する乗り物ですよ。 大きさも、列車の何倍もあると思います」
「そんなになの!」
「…………」
 ステラさんは純粋に驚き、ゲイリーさんは悔しそうに顔を歪めた。 

「でも、この世界の列車ってどうやって動いてるんですか?」
「それは……」
「俺が答えよう! 実は、未知のエネルギー体である電気を使っているのだ!」
「へぇ、電気ですか。 どうやって起こしてるんですか? 電気なんて」
 ゲイリーさんは、あまりにも薄い私のリアクションに声を失う。 いや、日本の電車は、電気で動いてるからね、特段リアクションを取る必要性は感じない訳で。

「知らん……」
 拗ねてるのか……ゲイリーさんの声が小さくなった。
「ゲイリーは、魔法に関して詳しくないから……やり方はこうよ」
 ステラさんの説明だと、土魔法に火魔法か風魔法か水魔法の合成で作るらしい。

「成る程、つまりは魔法で火力発電、水力発電、風力発電を起こっている訳だね」
 ステラさんが、意味を理解している私を見て驚いていた。
「……やり方は、わかるけど。 何故なのかは、わからないの……教えて貰えるかしら?」
「磁石はわかりますよね?」
「ええ、土魔法は磁石を発生させてるわ」
 やっぱりか。
「磁石を回転させることにより磁場を生み出し電気を作り出せるのです」
 ステラさんは、言っていることを理解しているようだ。 確か、磁場を発生させる魔法もあったような気がする。

「成る程……」
「ステラさんは、理解が早いですね」
「私の師匠は、先代の聖女様だったの。 だから、カガクは習っていたわ。 魔法にも応用できるから」
 確かに、言われてみれば魔法は科学と似ている。 
 ……先代の聖女様か。

「えっと、聖女召喚について聞いても?」
 聖女召喚について聞いたのは、初めて会った時だけだった。 それ以降は、この世界の事を知るために精一杯だったから。
「そうね、聖女召喚は30年周期で世界の五大国で順番に行われるの」
「五大国?」
「ええ、フェビカ王国、ルーデン皇国、アシュタスト王国、ギルデア王国、エフィル神国の順番で召喚よ」

 この並びで考えると。
「エフィル神国には、聖女がいる?」
「ええ、いるわ。 紹介するわね……それと、私達の事はお父様、お母様って呼んで?」
 ムリです。 ハードルが高過ぎます。 そんな期待に満ちた目で私を見ないで下さい。
「……流石にムリです!」
 私の言葉に肩を落とすステラさん。 しかしながら、ゲイリーさんは別であった。

「ステラよ。 あって間もない俺達を親と思うのは無理がある。 ゆっくり、家族になればいいさ。 なっ? 俺はパパと呼んで欲しい」
「パパは絶対呼びませんけど、ありがとうございます」
 私は頭を下げお礼を言った。 いつか、呼べたらいいな……。

 そんな話をしていると列車の元へと馬車が着いた。 目の前には、客車が10台付いた列車の姿があった。
 ……なんか、学校の遠足で見た昔の電車の形してる。 もしかして、この世界と地球の30年てリンクしてるのかもしれない。

 すると、ファントが私の横に来て「いつか、呼べるといいですね」と声を掛けてきた。
 怖い、怖すぎる。
 お前、二台前の馬車に乗ってただろうが……声が聞こえるわけがない。
「…………はい」
 が、恐怖に負けて返事をしてしまった。

 ステラさんに呼ばれ、列車の中に入るとソコは家だった。 これは、エフィル神国の王族専用列車だそうだ。
 因みに、通常の列車もなかなかに豪華らしい。

「私、ここに住める」
「私は、子供達・・・と一時期住んでたわよ」
 ステラさんは、そう言って笑っていたがゲイリーさんの表情が曇った。 あっ、成る程……子供達とってことは、恐らくゲイリーさんが何かしらをやらかしてステラさんの家出したって感じだな。

「そう言えば、魔物とか居ないんですか?」
「居るわよ」
「一回も見てないですけど」
「接触前に護衛が倒しちゃうからね」
 確かに、馬車の外にいる護衛の人達はちょくちょく姿が見えなくなっていたね。
「魔物に興味があるのかしら?」
「ありますね。 私の世界には居ませんから」
 やっぱり、興味はあるよ。 1人では出会いたくないけど。

「やっぱりそうなのね。 師匠である聖女様も同じ事を言ってたわ。 たまに、冒険者に混じって討伐も参加してたわね……面倒だったわ」
「ああ、そうだったな……やりたい放題だったな」
 どうやら、聖女との狩りで何かがあったようだ。 聞くのを止めとこう、長くなりそうだし……私は眠い。

「ミサキお嬢様、寝室の準備が出来ました」
 ……有能なの? それとも、心を読んでるの?
「読んでおりませんよ」
 ふっ、と笑顔を作るファントさん。 警戒しながら寝室へと送って貰った。

 この世界、いいな。 日本食も久しぶりに食べたいけど……。 言ったら、食材とか使わせてくれるかな。

 そんなことを考えつつ、深い眠りへと付いた。



「おっ、漸く繋がった」
「ホントに!? 良かったぁ……」
「いや、本番はこれからだって」

 私の、近くて騒ぐ男女の声。 いや、私寝てるはずたよな。
 だって、目を開けて身体を起こすと真っ白な空間に置かれた私のベッドの横に土下座する男女の姿があったの……。

「……はぁ、なにこれ」
 また、不思議ワールドかぁ。


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