聖女召喚で呼ばれた私は女神(仮)でした

ミツ

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女神になった少女

DO・GE・ZA・IN・不思議ワールド

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「……なにこれ」
 不思議ワールドに到着してはや五分。 目の前の男女はひたすら「申し訳ありませんでした」と繰り返すばかり。
「……何に対して謝られているのかわかりませんけど」

 男女は、ガバッと顔を上げた。 
「実はですね……」
 男性の方が話始めた。 それにしても、この男性と女性って見たこと有るような……。 何処だっけ? 最近だよ、最近。 会った? いや、見たと言ったほうが正しいな。

 プラチナブロンドに、蒼い瞳……ん? あれ、私の姿にそっくりじゃん! 
「……と言うわけです」
 あっ……。
「ごめん、考え事してて聞いてなかった」
「えっ……あ、もう一回ですか。 私は、地球を管理する神でアースと申します。 これは、貴女が今いる世界、メシュアの女神エフィルです」

 おお、エフィル……!?
「おお!? 凄いタイミングだね。 エフィル神国の教会に会いに行こうと思ってたんですよ」
「えっ、そうなんですか………」
「あの、話を続けても?」
「あっ、どうぞ」

「まず、相沢美咲さん。 貴女は、地球で既に亡くなっているのです」
 衝撃的な発言に言葉を失う。 アースは、更に続ける。

「貴女は、学校の帰り過度な衰弱によって突然死に見舞われたのです。 更に言えば貴女は、私が選んだ次期神候補の1人だったのです。 その為、貴女の魂は自動的に神界と呼ばれる神の世界に行くはずでした……」

 でした……ね。

「不幸なことに、この世界の聖女召喚のタイミングと被ってしまったわけです。 それにより、貴女の魂は私の元ではなくエフィルの元に。
 そして、エフィルが下界に遊びに行くと言うふざけた目的のために作成した擬体に美咲さんの魂が定着してしまい、聖女召喚であの場に出てしまった訳です」

 なるほど、私と女神エフィルがそっくりな理由がわかった。
 つまりは、私の死ぬタイミングと聖女召喚のタイミングが噛み合って、女神エフィルが作った擬体に入ったと言うこと……つまり、元の世界に帰っても私は私じゃないってことか……。

「それと、もう1つ問題があります」
 アースが更に口を開く。
「エフィルの擬体は、自身の力を真似て作ったモノで全てに置いて規格外なのです」
 知ってる。 軽い風魔法で海割れたもん。

「規格外ってどれほど?」
 一応、もう自分の事だし聞いとかないと……。 答えたのは、製作者であるエフィルだった。
 勢いよく立ち上がり、土下座の反動でプルプル震えるながら、ドヤ顔で話始める。

「聞いて驚くのよぉー。 ありとあらゆる全ての職業スキルを使え、魔力は無尽蔵、疲れを知らず、更には! 新たに魔法を作り出す事が出来る! 最大のセールスポイントは、その容姿! 私の姿とお、な、じ? あれ? 色々とちっちゃくない?」
「ちょっ、本来の身長じゃないの?」
 待ってくれ。 地球の時の私の身長と同じくらいなんだけど。

「まさか……魂に刻まれるほど……」
「そうかも知れないわね」
 やたら真剣な表情を浮かべるアースとエフィル。 魂に刻まれるほどのレベルのちっちゃい身長って嫌だわ! 因みに、私の身長は140センチだ。

 ……

 …………

 ………………

 ━━━耐えきれない。 ごめんなさい、サバ読んだ。 139センチです。


「何とかして! 神様でしょ?」
「えー、無理でしょ」
「魂は、弄っても復元するし……万が一の場合存在自体も消えるよ?」
 エフィルは速攻で放棄。 アースに関しては、脅迫染みたことを。

「……成長は?」
「するよ。 あくまで、人の身体をベースに私がねっとりと作り上げたからね」
 エフィルの表現は気持ち悪いが、一応の希望はあるわけだ。

「……で、私はこれからどうすればいいの?」
 これが本題だ。 元の世界では、死んでるし。 
「んー、好きに生きればいいと思うよ。 好きな人を見つけて子供を作るもヨシ、世界を旅するのもヨシ、その絶対的な力を使って世界を征服するもヨシ」
 好きにか……。

「難しいな……。 今まで親には、美咲は医者になるために生まれたって言われ続けたからな……」
 まあ、後者は絶対に無いけど。
「てか、この世界の女神であるエフィルが世界征服とか奨めて良いの?」
「私の仕事は、あくまで世界の管理なの。 人が滅び、魔物が蔓延ろうと関係ないのよ。 アースと違ってね」

 エフィルがそう言うと、アースの頬が照れているのか赤く染まった。
「私は、人から神格化したからな。 人の可能性を信じてる」
「人から? エフィルは違うの?」
「私は、純正の神よ。 まあ、生まれ以外アースみたいな人からの神格化と変わらないわ。 あー、もう1つ言えば姿ね」
 そう言うとエフィルの姿が光に変わった。

『コレが、本来の姿よ。 まあ、人の姿の方が好みだけどね』
 そう言うと、再び人の姿に戻った。
「おお、神様っぽい」
 私の言葉にエフィルの表情がムッとした。

「私の事を何だと思ってたのよ」
「…………残念な神?」
「間違いではない」
 アースが断言した。 その横で、ワーワー騒ぐエフィル。

「取り敢えず、今日は、我々の不手際でこうなった事態になったことを君に謝罪を伝えたかったのだ」
 アースの言葉にエフィルが大人しくなった。 そして、再び、二人は頭を下げ謝罪する。

 考えてみれば、この事態がなければ私は死んだままだった。 神界に呼び寄せられたらしいけど。
「いいよ。 頭を上げて。 もう一度、違う世界とは言え生きることも出来るし……自由に思うがまま生きてみようと思う」
「そうか……良かった」
 アースは、安堵した表情を浮かべた。

「ミサキ、何かあったら私を呼びなさい」
 エフィルが、私の頭を撫でて笑顔で続ける。
「その時は、喜んで世界を滅ぼすわ」
「それは、結構です」
 何、女神エフィルだよね? 破壊神エフィルじゃないよね?
 いちいち、発言が怖すぎる。
「さて、時間だ。 たまに会いに来てもいいかな?」
 アースがそう言うとエフィルもその話に乗っかってきた。
 危険なことをしない事を条件にオッケーを出すとエフィルが不満そうながらも了承した。

 どんだけ世界を滅ぼしたいんだ。 破壊神め。






 §§§§§§§


 地球、相沢美咲が亡くなって既に丸1日。 
 彼女の遺体は親族に引き取られる事なく病院にあった。
 司法解剖の結果、死因は『栄養不足による衰弱死』と判断された。

 16歳にして彼女の身長は139センチ、28キロ。
 身体に虐待の後はないが、食事をロクに与えてないことが原因と考えられた。

 病院関係者、警察は、彼女の持っていた手帳に記載された両親、兄の番号に掛けるも繋がらない状態が続いていた。
 病院の関係者が、兄の電話に繋がるも「お前、俺が誰だかわかってんの? そんなイタズラに掛かるかよ」その一言で電話を切られてから繋がらなくなった。

 そして、警察の調べによって両親が発覚した。
 その報告に病院関係者は絶句した。
 父親、相沢洋二、母親、相沢咲子、兄、相沢正二。

 相沢美咲の遺体が保管されている『相沢総合病院』の院長の子供であり、この病院の医師であった。
 美咲の兄は院長の孫の為、あのような態度を取った。

 そして、その話は祖父である院長に伝わり美咲の両親と兄は直ぐ様院長室へと呼ばれた。
 三人は、何故呼ばれたかわからずゆっくりとソファーに腰掛けていた。

 まず、口を開いたのは祖父だった。
「…………昨日、美咲が亡くなった」
「は?」
「……えっ?」
「マジで? じいちゃんもグルな訳?」
 両親と違いふざけた態度を取った孫の正二を祖父は思いっきり殴り付けた。
 そこで、兄の正二、両親が本当だと悟った。

 両親は、美咲に会わせろと騒ぐが祖父がそれを止める。
「美咲を殺したお前らに会う権利などない。 これから、警察の取り調べもある」
 祖父は、1つの書類を渡した。
 それは、美咲の司法解剖の記録である。

 警察が学校から取り寄せた美咲の身長、体重の推移を見て約1年以上前からロクな食事を取って居ないと判断された。

「そんな筈はない! 私達は、毎月食費を家に置いているのに!」
 両親は、美咲と兄が住む実家ではなく病院に近いマンションに住んでるため、毎月多額の生活費と食費を置いていると説明した。

「あれ、生活費だったんだ?」
 兄の正二が、唖然とした表情でいい放つ。
 両親がマンションに移り住んでからずっと、生活費は兄が全部遊びに使っていたと発覚したのだ。
 つまり、美咲は両親と兄が居ない家で水と余っている食料で生きていたと言うことだ。 

「言ってくれればお金を渡したのに……」
「何でだ……美咲」
 両親はそう嘆いた。 そこに祖父の怒号が飛ぶ。

「美咲は、お前たち二人にお金を下さいと言ったが、断られたとなっている!」
 祖父は、一冊のノートと叩き付けた。
 それは、美咲がつけていた日記であった。


 そこには、お金もなく、食料も尽きたとき両親に連絡しお金を下さいと言うと「ダメだ。 もっと節約しなさい」「上げた分から考えて使いなさい」と両親共に拒否された。

「お金を貰ってない」と言っても「嘘をつくな」と言って取り合っては貰えなかった。
 更に祖父に助けを求めようと電話を病院にしたら父親が出て「祖父に迷惑をかけるな」と言われそれから取り合って貰えなくなった。 
 と書かれていた。

 そこから、学校で定められた回数である週2回の居酒屋のバイトの賄いとバイト代、ボランティア等の少しのお礼などで生きていることが書かれていた。

 更に読み進めるとその日記には、恨み言1つなく、その日あった出来事が眈々と綴られていた。

 それから、両親と兄は互いに責任を擦り付けあっていた。
 そして、相沢美咲の葬式の時に予期せぬ事が起きたのであった。

 それは、途切れることの無い長蛇の列。 老若男女が泣きながら訴える言葉は1つ「気付かなくてごめんね」と言うモノであった。

 そう両親や兄が絶対に言わなかった言葉、最初に言うべきで言葉でもあった。
 すると、両親と兄の正面にやってくる1人の青年は、ニコッと笑い。
「貴殿方のような自身の罪を認められないクズと別れられてミサキは幸せでしょうね」

 その一言だけを告げ出ていった青年の後ろ姿は、地球の神様であるアースにも女神エフィルにも似ていた。

 残された両親と兄は、その言葉に傷つきながらも互いに責任を押し付けるのをやめなかった。





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