7 / 25
女神になった少女
私の騎士様
しおりを挟む取り敢えず、レティシス様とティアムの暴走は強行手段で止めてやりました。
まあ、レティシス様に「やめてください、お祖母ちゃん」と言っただけなんですよ。
こう、会話しているとステラさんと同じタイプでしたので……正直、チョロい。
ティアムに関しては、心の中で「君達クビにするよ?」って囁いたらすぐにやめてくれました。
何故か、ファントも焦って出てきましたけど……なんででしょうねぇ?
そんなおふざけをしている内に、お披露目式の時間となった。 私は、レティシス様と共に四階の教皇住居へ。
バルコニーには、ゲイリーさん、ステラさんの二人が待っていた。 セイクリッドとミルムとラムルに関しては、学校の為に参加不可となっていた。
そして、私はバルコニーの外側に向かう。
眼下には、エフィル神国の市民達が犇めきあっていた。
私がバルコニーから顔を出した瞬間に市民が静まり返った。
全員が同じ事を思っていた。
『あれ? なんか、ちっちゃくない?』
市民側から見るとバルコニーの塀からチョコンと頭が出ているだけだ。
横にいるゲイリーは腰近く、ステラとレティシスは胸の辺りまで身体が出ているためミサキは余計に目立った。
前日に新教皇様は、年齢16歳、魔獣の森を聖域に変えた女神の生まれ変わりと公表されていた。 その風貌までは、説明が無かったので全員の予想を裏切る形となったのだ。
━━━静かすぎる。
チラッと横を見ると、レティシス様がニヤニヤしながら「何か気の聞いた一言、言いなさい」と無茶振りとも言える檄が飛ぶ。
「えっと、宜しくね?」
私は、あまりに混乱しているためにこのような仕草をしてしまったのだが……。
『ウオォオオオオ! ミサキ様!』
『キャァァアア! ミサキ様!』
と、老若男女から謎の歓声を受けていた。
それもその筈、教皇の表情は王宮の上にスクリーンが表示されておりミサキの可愛らしい姿はエフィル神国の市民の知るところになったのだ。
ただ、本人は知らない。
━━━恋愛などの色恋では無く、悲しいかな。エフィル神国、国民の娘、妹ととして……。
私が、ちょこっと手を振ると歓声が起きる。
少し、少しだけだよ? 快感を覚えてしまいそうだよ。
そんな私を見て、ステラさん、レティシス様が微笑ましくしている。
ゲイリーさんは……ごめんなさい。 獣人ゴリラ族と言う謎の種族を思い付いてから『ウホッ、ウホッ』と笑ってる? そうしか見えない。
━━ホントにごめんなさい。
私のお披露目式も、思った以上にサクッと終わり今は王宮の二階にある教皇の間に来ていた。 一応、この場にいる限り教皇の王冠とローブは絶対着用と言うことだ。
そして、右手にはファント、左手にはティアムが待機している。
ファントは、いよいよ呼び捨てにしてやりましたよ! だって、腹黒ティアムと教皇相続? 問題の共犯者だったらしいです。
と、言うか発案者。
聞いたら、あっさり答えたけど。
そして、私の前には机と共に山となった経歴書が置かれていた。
再度、尋ねるよ? 私に護衛が必要?
「必要性はございません」
「必要では、無いですが必須ではあります」
ティアムが必須と答える。
私は、正直、意味がわからない。 必須なの?
「はい、あくまでも国としての体面を考えての措置であります」
体面って、見栄とかそう言うモノだよね?
ティアムは、続ける。
「左様でございます。 ミサキ様のお立場は、世界の中心国であるエフィル神国の教皇様。 即ち、代表でございます。
その為、如何に強かろう、不必要であろうとエフィル神国としての見栄を張らなくてはいけないのです」
要は、国のトップですよーって言うアピールな訳ね。
「左様でございます」
だったら、ファントとティアムが居れば充分じゃないかな? 妖精族が契約してるってかなりのレアなんでしょ?
「我々は、あくまでもミサキ様のメイドと執事と言う立場でございます。
後、果物を食べたいからと言って喋るのを放棄するのは如何でしょうか?
まるで、小動物のような食べ方ですし」
私は、お皿に盛られたフルーツ盛を食べるので精一杯だ。 ご飯、美味しくないから凄いお腹空いてるんだもん。
しかし、フルーツヤバい。
一口噛むと、恐ろしい程の果汁が溢れてくるんだよ? 『これは、フルーツのダムやぁー』 って、叫びたくなるぐらい。
後、食べ方は仕方ない。 私、口がちっちゃいから一気に食えないんだ。
━━━ちびで悪かったな!
「もきゅ!」
久し振りの美味しい食事に、咀嚼でノリ突っ込みしてしまいました。
「果物の咀嚼できゅもきゅなるとは、流石ミサキ様でございます」
「流石でございます」
ファントとティアムが頭を下げる。
そこは、怒る所でしょ。 行儀が悪いって……この二人に甘やかされ過ぎてダメ人間になりそうな気がする……。
「さて、気を取り直しまして。 目の前にある書類に目を通されましたでしょうか?」
ざっとだけどね。
「では、これから一人ずつお呼びしますので審査のほど宜しくお願いします。
では、どうぞ」
ティアムがそう言うと、扉が開き金色の鎧を纏ったイケメンが私の目の前に向かってくる。
そして、優雅に礼をして、
「ご挨拶として、お手をお借りしても宜しいでしょうか? レディ」
と、言ってきた。
要は、あれだな。 セイクリッドみたいに人の手の甲にキスをしようとしてるわけだ。
「失格」
私の声にイケメンが「へ?」と間抜けな声と表情を浮かべた。
「何故ですか? レディ」
私に問い掛ける。
決まってるだろう。
先ず、礼儀だよ。
「ミサキ様、声に出してください」
「あっ」
慣れって怖い。 普通に心で話してた。
「先ず、礼儀がなっていない。 手、云々の前に自己紹介でしょ……えっと」
手元の書類を見て確認する。 政治家の息子か。
「ノヴェク・ステアーノ君……失格」
「僕を誰だかわかっているのかい! パパに言いつけてやる!」
私の元に駆け寄って来るノヴェク。 スゥッと、目の前に現れたのはティアムだった。
「どけっ! 女!」
「ティアム!?」
「問題ありません。 すぐにゴミを追い払い出しますので」
そう言ってティアムがノヴェクの首を掴む。
「ぐっ、ぐぅ……がが、は、なせ……」
「ほっ!」
ティアムが、教皇の間のバルコニーに向けてノヴェクを投げ捨てる。
手を叩きながら、
「さて、次の方どうぞ」
と、何事も無かったかのように進める。
「ちょっと、待った! 今、二階から投げ捨てたよね?」
「問題ありましたか?」
「大有りだよ! 怪我しちゃうよ?」
━━多分。 するよね?
いやさ。 ゲイリーさんと立ち会いとかしてるからさ、この世界の人達は頑丈なのかなぁ?って。
「問題ありません。 あの程度、教皇近衛騎士になろうと言う者ならば無傷であって然るべきです」
ティアムがドヤ顔で決める。
確かに、言われてみればそうだ。
「ごめん、次行こう」
そこから面接する面々が、初めに現れたノヴェクと大差無かった。
自己紹介なく人の手の甲にキスをするとか最も嫌いなタイプだわ。
「ミサキ様、それだとセイクリッドが……」
ファントが私に耳打ちする。
………………義理の弟だ。 多目に見よう。 うん。
「はぁ。 なんで、こうもマトモな人が居ないのよ。 しかも、女性いないし」
「恐らくミサキ様に取り入ろうとしているのでしょう。
ミサキ様は、見た目はアレですが、れっきとした16歳の淑女ですから。
王族と言うよりも女神の生まれ変わりと呼ばれる、ミサキ様との関係の構築を狙っているのでしょう」
ファントが、サラッと私をディスった。
「ファント、見た目はアレってどういう事?」
「勿論、お美しい? と言う意味でございますよ」
明らかに「お美しい?」って、疑問系だったよね?
「ミサキ様、これよりは人族以外の候補のお楽しみ時間でございます」
ティアムが話に割って入ってくる。
「マジで!!」
来るのかぁ、モフモフ、クールビューティー、マッチョな子供親父!
「では、先ずエルフです。 どうぞ」
入ってきたのは、耳がピンっと尖った小さな少年だった。 鎧が重いのかのっそりと歩いてくる。
「エルフ?」
「はい。 正確には、エルフェンと呼ばれる種族で五大国が一つギルデア王国に住まう一族でございます」
そうなんだ……。
「五大国ってさ、もしかして種族毎に別れてる?」
「正確には、ここエフィル神国を除く残りの五大国でございますが。
フェビカ王国が人族、ギルデア王国がエルフェン族、アシュタスト王国が獣人、ルーデン皇国がドワーフ族であります」
「ティアム達、妖精族は?」
「我々に故郷と言うものは存在しません。 主がいる場所が故郷なのです」
そっか、他の国はそれぞれの種族が統治してるんだね。
「エフィル神国の教皇は人族だよね?」
「特に決まりはございません。 実際、王族には他種族の血が流れておりますし、ステラに至っては偶然、ゲイリーと結ばれただけなのです。 ですので、セイクリッド、ミルム、ラムルがどの種族と結ばれるかは決まっておりません。
更に言えば、先程までミサキ様が面接した者達も少なからず他種族の血が流れております。
そして、今からご紹介するのは純血の他種族の方々なのです」
成る程、確かに少しだけ耳が尖ってたり、物凄く毛深い人が居たような気がするね。
「物凄く毛深い方は、純血の人族でございます」
━━━物凄く毛深い人。 ごめんなさい。
「って、のんびり話してる場合じゃなかったね」
エルフェンの少年を見ると、途中でハァハァと息切れを起こし床に膝をついていた。
「鎧って、原則つけなきゃいけないとか無いよね?」
「ございません。 魔導師の方に鎧は酷ですから」
「と、言うわけで……」
手元の書類には氏名ガンダ、種族エルフェン、職業重装盾戦士と記載されていた。
私は、そっと書類を置いた。
「ガンダ君、失格です。 ティアム、丁重に運んであげてください」
「畏まりました」
ティアムは、ガンダ君をお姫様抱っこしてバルコニーから投げ落とした。
ガシャーンと言う、痛ましい音が響く。
「投げ落とすのは決まりなの?」
「その方が、早いかと思いまして」
もし、歩けなくなったときは絶対にティアムには頼らない。
絶対に!
「次は、獣人でございます」
来ましたね……モフモフ枠。
入ってきたのは、恐ろしいほどふわりとした毛並みを持つ真っ白な大きい猫でした。
「お、お邪魔しますにゃ」
「合格! 絶対に合格! なにが、何でも合格!」
「あ、ありがとうございますにゃ!」
ファントとティアムがジト目で見てますけど……候補から選んでいいんですよね。
「結構ですよ。 では、次はドワーフ族の方です」
エルフェンが、可愛い系だったからなぁ……そうなると此方は……。
「ふんっ! ふんっ! ふんっ! ふんっ!」
気のせいでしょうか?
巨大なプレスを持った黒光りのマッチョなお姉さま? が「ふんっ!ふんっ!」って、いいながらジリジリ近づいて来るんだけど。
手元の書類を見ると、氏名サーニャ、種族筋肉族、職業ボディービルダーと記載されていた。
「ティアム、ファント……」
「ご安心ください。 筋肉族の中ではマトモな部類です」
「確かに、キツい方は常に「アイムゥ、マッソォォー!!」って叫んでますからね」
安心出来ません! ドワーフ怖すぎ。
「却下……」
私には無理です。 なんです、突っ込めばいいんですか? それとも、一緒にふんっ! ふんっ!ってやればいいんですか?
ハードルが高すぎます。
「お帰りください」
ティアムの誘導でバルコニーから飛び降りるドワーフのお姉さま。
「きゃぁぁ」って、可愛らしい声で叫んでおりましたね。
と言うか、バルコニーから出ていくのはルールなのかい?
「その方が、早いですから」
「おや、次も獣人でございますね……これは、これは。 どうぞお入りください」
次に入ってきたのは、ゲイリーさんだった。
これは、何だろう。
ゲイリーさんなりのユーモアなの?
「ミサキ様……」
ファントが私に書類を渡す。
氏名バルオン、種族獣人ゴリラ族、職業魔導師。
………
…………
………………
……………………
「バルオンさん……魔導師ですか?」
「ウホッ〈肯定〉」
「お言葉は……」
「ウホッウホッ〈我に言葉は不要〉」
「因みにご兄弟は?」
主にゲイリーさんとかゲイリーさん。
「ウホッ……ウホッウホッ〈兄弟……生き別れの兄がいる〉」
はい、これきたぁぁぁあ!
絶対だ。 絶対にゲイリーさんの生き別れの弟だよ。
「違います。 ゲイリーは、純粋な人族です」
「いや、わかんないよ。 拾われたのかもしれないし」
「ミサキ様は、ゲイリーをゴリラ族にしたいのですか?」
「ほら、生き写しじゃん」
私は、ゲイリーさんの姿に変身する。
「「ミサキ様!? お辞めください! そんな穢わらしい生物になるのは」」
ファントとティアムがハモった。
物凄く失礼な言い種だけどね。
「この顔に見覚えあります?」
「ウホッ、ウホッウホッ?〈いや、無いな人族だろ?〉」
「…………そうですか。 残念ながら不採用で」
「ウホッウホッ〈そうか無念〉」
バルオンは、バルコニーから飛び降りた。
私が元の姿に戻るとティアムとファントが泣いて喜んだ。 私の体にゲイリーさんの顔は気持ち悪かったようだ。
想像したら、少し吐き気を催したのは秘密だ。
「次で最後ですね……おや、また獣人です」
入ってきたのは、セクシーなゴールデンレトリバーのお姉様だった。
「合格!」
「ありがとワン」
再び、ジト目をするティアムとファント。
だって、これは私の教皇近衛騎士を決めるイベントでしょ?
「「違います……」」
ティアムとファントには、呆れられたがこれからの私のモフモフライフに置いては大収穫だった。
━━━満足、満足。
0
あなたにおすすめの小説
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました
山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。
生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる