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女神になった少女
乙女のひ・み・つ
しおりを挟む取り敢えず、合格者の二人とティアム、ファントを含め話をすることに。
「申し訳ないけど、自己紹介してもらえますか? 私は、ミサキ。人族。
この執事がファント、メイドがティアム。 この二人は、私と契約している妖精族よ」
勝手にだけどねー。
「ご紹介預かりました。 ミサキ様と相互契約を結んでおりますファントでございます。
お二方とは、同等の立場となりますので呼び捨てで結構です」
ファントは、見惚れる程の綺麗な礼をして話す。
「同じくミサキ様と相互契約を結んでおりますメイドのティアムでございます。 私もファント同様良しなにお願いします」
ティアムは、スカートの端を持ち優雅に礼をした。
相互契約を誇張したよ。 した覚えないけど。
後、同等の立場って……。
いちいち誇張しなくてもいいんじゃないですかね?
二人をジト目で見ていると獣人二人から歓声が上がる。
「……す、すごいにゃ」
「……ほんとワン」
驚きに口をポカーンと開けてファントとティアムをキョロキョロと見比べている。
何だろう、この可愛い生物二人は。
双子とコラボさせたら……ヤバい、興奮する!
「「妖精族のキングとクイーン〈にゃ〉〈ワン〉」」
━━━ん? 聞きなれない言葉が。
「キングとクイーン? 誰が」
「「ファント様とティアム様〈にゃ〉〈ワン〉」」
「は?」
ティアムとファントを繰り返し見る。
「やはり、獣人には気付かれてしまいますか」
「当然と言えば当然ですね」
何を……。
私の顔を見たファントとティアムが黒い笑顔を浮かべた。
「おや、ミサキ様はレティシスから聞いてないのですか?」
「お二人が仰ったように妖精族のキングとクイーンでございます。 前の主が亡くなって次の主が現れるまでこのエフィル神国に住んでいただけです」
「お、お、そうなんだ。
でも、なんでこの二人はティアムとファントの事を知ってたの?」
「私達の前の主は、獣人の王でしたから」
「ファント様とティアム様の獣人救済の絵本は有名にゃ」
「獣人の街にはお二人の銅像が絶対に建ってるワン」
絵本に銅像!?
まるで、偉人じゃないのよ!?
「懐かしいですね」
「アシュタスト王国の建国を少し手伝っただけですよ」
ファントとティアムが微笑む。
「あっでも、なんでゲ……じゃなくてバルオンや他の人達は二人に気付かなかったんだろう?」
「姿は、時に連れ忘れ去られますが名は残ります」
言いたいことはわかった。
それよりも、なによりも、二人とも何歳!?
「今年で1042歳でございます」
「私も同じでございます」
おっう……。 後、キングとクイーンってことは……。
「「夫婦でございます」」
あれな、これからホウレンソウを大事にしよう。
「ホウレンソウでございますか?」
報告、連絡、相談ね。
「「かしこまりました。 ミサキ様」」
私達の会話を二人の獣人がポカーンと見ていた。 そうか、また心で会話してた。
気を付けなきゃ。
「ごめんね。 二人の自己紹介がまだだったわね」
私の言葉に白い猫の獣人が背筋を伸ばす。
ああ、無理しなくても……猫背で良いのに。
「わ、私はマッシューロ、獣人猫族、職業凶戦士、42歳、妻と子供と共にエフィル神国に住んでるにゃ」
42歳の子持ち!? しかも、妻ってことはオッサンデスカー!
どう見ても、可愛い猫なんですけど!
「私はエロスフィーナ、獣人犬族、職業踊り子剣士、14歳、主を求めてアシュタスト王国から出奔した身ですワン」
名前がエロチック。 だって、エロスフィーナですよ。 それに14歳って……そのお胸とフェロモンムンムンの雰囲気は何ですか! けしから羨ましいじゃないか!
「で、職業ってなに?」
私の質問にマッシューロとエロスフィーナが小首を傾げる。
女神の生まれ変わりと発表されたが異世界人とは公表されていない。 だから、世界の常識と言える私の質問に不思議に感じたのだろう。
━━━その仕草、可愛い。
「職業とは、その方に適した能力の呼称です。 例えば、剣と躍りが得意なエロスフィーナは踊り子剣士、魔法が上手い方は魔導師等、それは全て人によって変わってくるのです」
「ふーん。 じゃあ、マッシューロさんの凶戦士は何が得意なの?」
私の言葉にマッシューロさんが俯く。
聞いちゃいけなかったかなぁ。
「私が答えましょう」
ファントが答える。
「マッシューロは、己が理性を封じ込め生存本能のみで闘うことを得意としております。
それは、敵が殲滅するまで止まりません」
まるで、戦闘マシーン……この可愛いモフモフが。
「確か二つ名は『赤猫』でしたね」
赤猫。 よく見たら、マッシューロさんの眼って紅いな。
「違いますよ。 ミサキ様、敵の返り血を浴び全身を赤く染めるその様から『赤猫』と呼ばれてるのです」
想像したら、怖すぎるー!
「しかし『赤猫』と言えば、数多の魔獣を殲滅しゲイリーと並ぶ程の名声を持つアシュタスト王国の英雄では?」
「私が魔獣を倒して興奮して出てきた王様とそのお付きを半殺しにしちゃったにゃ……」
マッシューロさんは、猫背の伏目で言う。 姿と声と言い方は可愛いが、内容は全く可愛くなかった。
「マッシューロ、貴方の力量を図れず出てきた王様がバカなのです。
ミサキ様であればそうなることは無いですよ。 ゲイリーをゴミの如く虐殺されたミサキ様です、逆に貴方が半殺しにされるでしょう。
安心して仕えなさい」
おい、私がモフモフを半殺しにするわけないだろ。しかも、ゲイリーさんを本当に虐殺したと思ってるのか、マッシューロさんが、ガタガタ震えてるし!
「ゲイリーさん生きてるし!」
「そうでしたか? 虐殺の予定でしたね」
無いぞ!
そんな予定無いから!
あれだよ。 一応、養父だよ。
「一応なんですね」
ファントがそう言ってクスッと笑った。 気がする。
「ミサキ様は、ご自身の職業をしらないワン?」
エロスフィーナの的確な質問が入る。
「知らないわ」
「魔法が使えるので魔導師職は確定でしょう。 ティアム」
「準備完了です」
机の上には、剣、杖、ハンマー、盾、お盆が置かれた。 それらには、各色様々な小さな宝石が大量に填められていた。
「綺麗だね」
「これは、職業を特定するための道具でございます。
適応する能力に反応して輝くのです……試しに、エロスフィーナ、この剣を」
ティアムが、エロスフィーナに剣を渡すと一つの宝石が赤く光った。
「コレが、剣の適正でございます」
エロスフィーナが他の杖、ハンマー、盾の道具を持つも一切宝石は光らず。
最後のお盆を持つと再び、緑の宝石が光った。
「コレが、踊り子の適正でございます。 この二つを合わせて踊り子剣士と言う職業になるのです」
職業は、この適正の組み合わせで決まるわけだね。
「では、ミサキ様。 剣からどうぞ」
「うん」
私が剣を持つと全ての宝石が力強く光輝く。
おぉ、綺麗だなぁ。
暢気にそんなことを考えていると、ティアムが無言で私の剣を取り、杖、ハンマー、盾、お盆を次々と手渡していく。
全ての道具の宝石が同じ反応を示した。
「で、私の職業は?」
「「「「……………………」」」」
ティアムのみならず、ファント、マッシューロさん、エロスフィーナちゃんも無言で私の事を見つめる。
「おーい?」
「失礼しました。 ミサキ様の職業は、『不明』です」
ティアムが、道具を確認しながら説明する。
「不具合では、ないですね……」
「不明ってどんな職業なの?」
「職業ではなく、ミサキ様は全てに置いて適性が有るため特定が不可能なのです」
ああ、もしかしてアレかな。
私は、エフィルに言われたことを思い出していた。
『ありとあらゆる全ての職業スキルを使え…………』
「あー、思い出した。 私、全部の職業スキル? ってやつ使えるんだった」
「「「「………………」」」」
全員が無言で私の前に膝をつけ頭を深く下げた。
「えっ、なに」
ファントが口を開く。
「まさか、女神エフィル様御本人とは露知らず━━申し訳ありません」
「「「申し訳ありません〈にゃ〉〈ワン〉」」」
「ファント……女神エフィルの根拠は?」
「はい、職業というのは女神エフィル様が人々に力を分け与えた物と伝えられております。
その為、全ての職業スキルを使えるのは女神エフィル様以外、存在しえないのです」
なんてこった……。 エフィルよ。 色々、説明を省きすぎだろ。
「あー、取り敢えず立とうか。 色々、説明するよ。
先ず、私はエフィルじゃない」
私は、相沢美咲、地球、聖女召喚等、これまでの事情を四人に話した。
「と、言うわけ」
「つまり、ミサキ様のお身体は女神エフィル様が特注で作られたものであるということですね」
「そう言うこと」
流石にエフィルが遊びにいくためのモノって説明はダメよね。
だから、聖女召喚の前にエフィルからこの身体を貰ったと言うことにしたの。
それに、どういうわけかエフィル関連は、ファントとティアムに読まれ無いから誤魔化しが効くんだよね。
「それに、コレが本当の私の姿」
私は、日本人、相沢美咲の姿に変わった。
「なるほど」
「お話は、わかったのですが……何故、初めからその姿に戻らなかったのですか?」
ティアムが鋭い。
そうつまりは、エフィルから身体を貰った後、すぐにこの姿に戻ればフェビカ王国に聖女として残れた可能性を示唆された訳だ。
「それは、もう既に聖女『五十嵐玲香』が居たからなの」
私は、巻き込まれたのよ的な感じで話を進めていこう。
「ミサキ様は、今回の聖女をご存知で?」
ええ、同級生だったからね。
理由はわからないんだけど物凄く、嫌われてたよね。
「ミサキ様の敵ですか」
「なるほど」
ファントとティアムが不穏な空気を纏う。
私は、すぐさま訂正する。
「違う! 違う! 一方的に嫌われてただけ」
……訂正したけどなんか違う。
「取り敢えず、私はどうとも思ってないから!」
「「かしこまりました」」
頭を下げたファントとティアムに一抹の不安を感じるのは何故だろうか。
「取り敢えず、私は、運良くエフィルから身体を貰った一般市民だから。
後、この事は内緒ね」
「「「「わかりました〈にゃ〉〈ワン〉」」」」
四人は、ちゃんと了承してくれたようだ。
ピンポーン
玄関のチャイムの音が鳴り響く。
……異世界ですよね?
〈訪問者セイクリッド・ミケラーノ。 訪問内容、教皇への謁見。
許可しますか?〉
ステラさんがこの部屋に入るときに聞こえた声が室内に響く。
「基本的に、この部屋に入るためにはミサキ様の許可が必要なのです。
「許可」もしくは「却下」と口に出して下されば結構です」
かなり、便利だね。 私は、相沢美咲の姿から、ミサキ・アイザワ・ミケラーノの姿に戻る。
「却下」
〈確認。 セイクリッド・ミケラーノの謁見を却下します〉
「ミサキ様……」
「冗談、冗談。 セイクリッドの謁見を許可する」
〈セイクリッド・ミケラーノの謁見許可確認。 扉を開きます〉
さっきまで、許可なく入ってきてたよね。
「あれは、扉を限定解放していたからです」
特別処置ってわけね。
「失礼します。 ミサキ様…」
「セイクリッド。 様は、入らないわ。 姉弟でしょ?」
セイクリッドの顔がパァッと明るくなる。
「では、ミサキ姉さん。 教皇室のバルコニー側に大量の怪我人が転がっているんですが。
また、政治家や有力な者達の子息も多く見受けられましたが ……何故にあのような惨劇が?」
━━怪我人が出てるじゃん!
ティアムを見ると、我関せずとばかり感情の失せた表情をしていた。
「あの、それがね。 教皇近衛騎士の選考でね。 ティアムがポンポン捨てるものだから」
「なるほど、それでは致し方ないですね。 教皇近衛騎士たる者、あの程度で怪我など話になりません」
ティアムの発言は共通認識だったのか……。
「それだけか? セイクリッド」
声を掛けたのはファント。
「いえ、ミサキ姉さんが言っていた食材が揃いましたの呼んでこいと料理長が」
セイクリッド……君、王子様だよね? 明らかにしたっぱのお仕事をしてるよね?
「基本的に王族以外の者はここに気軽には来れませんから」
なるほど。
「よし、私の料理の腕前を見せるか」
私は、意気揚々と教皇の間から外にでる。
━━━厨房って何処だ?
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