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女神になった少女
Legend Teacher 相沢さん 再び
しおりを挟む私が職員室を開くと、先生方全員の視線が向けられた。
それは好奇の目にも近いモノであった。
中に入るとすぐにステラさんが私の手を引き教頭先生であるバルクさんの隣に。
「えー、当校の生徒の中から〈空間属性〉の魔法を扱う生徒が現れました」
ざわつく教師陣。
「静かに」
バルク教頭の一声で静まる。 更にバルク教頭の話は続く。
「また、我々の指導に誤りがあったことを説明したい。
魔法の暴発を苦手な属性と判断していたが、実際はその属性の適性が高い為に魔力コントロール、操作が難しいと言うことだそうだ。
それらは、全てここにいる相沢先生によって証された事実である」
教師陣の表情に疑心が充ちる。
まあ、しょうがないと言えばしょうがない。
いきなりやって来た私が、一時間足らずで根本的な部分を覆す事態を起こしてるんだからね。
「では、早速相沢先生の実力を見て貰いましょう。 どうぞ」
バルク教頭は、私に前に出るように促す。 一歩前に出た私はステラさんに救いを求めた。
「ミーちゃん、特殊魔法の使い手と属性を言い当てれば良いんじゃないかしら?」
ステラさんは、そう言うが……教師の中に特殊魔法を使える人が居ないようで。
「えっと、教師の中ではゼロです」
私が、そう答えた瞬間ドッと笑いが起きた。
エルフェンの男性教師が口を開いた。
「残念だが、それは間違いだ。
純血のエルフェンは、特殊に位置する〈氷魔法〉を使えるのだよ!」
ドヤ顔で私を見るエルフェンの男性教師。
「……は? 氷魔法なんて風属性と水属性の適正があれば誰でも使えるでしょ」
未だ〈LTA〉発動中ですよ。
私の言葉にエルフェンの男性教師は発狂する。
私は、風魔法と水魔法の其々が得意な先生を呼び寄せる。
そして、魔法の概要を説明し発動させると目の前に氷が現れた。
「なっ……」
エルフェンの男性教師は、唖然としながら腰を抜かす。
「水魔法を風魔法で極限まで冷やせば氷魔法になるんですよ」
教師陣はおぉと感嘆の声を上げる。
バルク教頭が、パンパンと手を叩く。
「さあ、これから生徒達にも説明しますよ。
それと、相沢先生」
「はい、なんです?」
「他の生徒の適性も確認して教えて貰えませんか?」
「良いですよ」
この時、私は自分のアホさ加減に気付いてなかった。 まあ、すぐに気付いたんだけどね。
━━━錬武場の二階の踊り場に行き下を見るとワラワラと生徒達が並んでいた。
そう……「他の生徒達の適性も確認して教えて貰えませんか……」と言うバルク教頭の声が頭を駆け巡る。
「何人に居るんだ……これ」
パッと見で500人は余裕で越えている。
やっちゃったぁ。
調子乗って良いですよなんて軽はずみな事をぉ。
「相沢様、生徒数ですが総勢1021人。 ステラの教室の生徒を除いて残り997人です」
おお、四桁切ったぞぉ!!!
「相沢様、なにを急に」
「あー、そんくらいしないとこう、モチベーションがねぇ?」
私は、997人の適性を見るんだよ……。
「自業自得ですよ」
ティアムが冷たい……。
「そんなことよりも、始まる見たいですよ」
一階の壇上には、バルク教頭の姿が。
「早速ですが、皆さんに我々の過ちを謝罪しなくてはいけません。
今まで、属性魔法の暴発は苦手属性と教えていましたが、それは誤りでした。
得意が故に魔力の操作とコントロールが必要となることが本日確認されました。
申し訳なく思います」
バルク教頭が頭を下げて素直に謝罪する。
生徒達がざわつくも、責めるような言葉を投げ掛ける者は居ない。
「バルクは、その真面目で誠実な性格を見込まれて教頭に選ばれましたから。
その人徳たるや、素晴らしいの一言につきます」
ティアムが大絶賛だ。
「今更だけど、校長って誰なの?
会ったこともないんだけど」
こういう場は、普通は校長が出るんじゃないのか?
「まあ、自由な人ですから」
「へぇー、私が知ってる人?」
「エリカですよ。 設立してから、完全にバルクに投げっぱなしですけどね」
前聖女様でした。
確かに、功績から考えれば当然だけど……孤児院が忙しいから顔も出してないんだろうな。
「出してますよ」
「えっ、ホントに?」
「ええ、母親として」
「あれですか。 ケンが学校にいて、授業参観や三者面談に来るとか?」
「いえ、孤児院の子供全員のにちゃんと参加してますよ」
おお。
マジもんの聖女様じゃないですか。
あの胸には、優しさがいっぱい詰まってるのな。
「優しさは、胸ではなく心ですよ。
胸であった場合、相沢様は魔王クラスの……」
おい。 魔王クラスのなんだ。
「…………黙秘します」
私達が戯れている間もバルク教頭の説明は続いていた。
「この件により新たな事も確認できました。
体験で教師をなさっている、相沢先生が属性適性値を確認して教えを与えたことにより失われた魔法の一つである〈空間属性〉を生徒の一人が使用することが出来ました」
生徒達は、どよめき始める。
お伽噺の魔法であると考えられていた失われた魔法が存在するとバルク教頭が発表した。
もしかしたら、自分も適性があるかもと期待するものも多い。
「更に相沢先生のご厚意により、皆さんの相性の良い適性を教えてくれると同時に、血系魔法……いえ、特殊魔法の適性が確認できた場合、特別にアドバイスもして頂けると言うことです」
先生達から歓声が沸き起こる。
そして、謎の相沢コールが巻き起こる。
「ティアムよ。 私、アドバイスとか約束した?」
「ステラさんが安請け合いしたんです」
「なんで知ってる?」
「隣で聞いてましたから」
いや、止めてよ! 私のメイドでしょ?
……
…………
………………
「無視ですか!?」
ティアムは、私の問い掛けに完全無視を決め込んでいた。
「相沢様、時間がありません。
一年生のクラスから参りましょう」
「……は? なんのこと」
ティアムが口を開いたと思えば訳のわからないことを言い出した。
そして、私はティアムに手を引かれながら廊下を歩く。
「ちょっ、どこ行くの?」
「先ほどバルクが言っていたではないですか。
各クラスにて相沢様が今日中に適性値を見ると」
えっ、今日中とか知らないんだけど。
「相沢様がひとりではしゃいでる間のお話でしたのでお聞きしてないのも無理はないかと」
ひとりではしゃいでるって……会話してたよね?
……
…………
………………
だから、無視は止めてって!
それから私は、一日を掛けて生徒達の適性を測ることに。
一年生と二年生は滞りなく進んだ。
約200人以上生徒を確認しても、特殊魔法の使い手となる生徒はゼロ。
キティナーと言う存在は、かなり希な存在だと再認識した。
そして、三年生の生徒の一人に特殊魔法の適性を持つ生徒がいた。
ナシュと言う少年。
彼の特殊魔法の属性は〈音属性〉と呼ばれるモノであった。
「そんな……」
明らかに顔が暗くなるナシュ。
それは〈音属性〉のせいだった失われた魔法の中でも〈音属性〉は外れとされていた。
それは、失われる前から言われ続けていることだ。
他の生徒達は、まるでバカにするようにニヤニヤと笑っていた。
私は、その態度に軽くキレた。
「ナシュをバカにしているようだけどこの有用性に気付かない人達の方がバカよ」
私の言葉にその場が凍り付く。
「ナシュ、いらっしゃい」
私は、ナシュに耳打ちをする。
「…………そんな事をしたら怒られるんじゃ?」
「大丈夫よ、責任は……校長が取る!」
責任転嫁です。
いや、ぶっちゃけ今からやろうとしていることはそこまで、悪いことではないよ。
「いきます……」
教室に静寂が広がる。
生徒達は、次々と笑い始める。
その笑いが大爆笑になったその時、教室のドアが勢いよく開いた。
「はぁ、はぁ、はぁ、エリカ校長は何処ですか……」
軽く呼吸困難に陥っているバルク教頭である。
「あー、バルク教頭。 嘘ですごめんなさい」
私とナシュの二人で頭を下げた。
「……どういうことですか?」
「このナシュの〈音属性〉の有用性を証明したんです。
職員室にいるバルク教頭の元に私の声で「エリカ校長が来校しております。 至急対応の程をお願いします」と、ナシュの〈音属性〉でバルク教頭の元に送ったのです」
生徒達は首を傾げるも、バルク教頭は感動にプルプルとうち震えていた。
「なんと……なんと言うことだ……革新的な魔法では無いですか!!」
「生徒の皆さんは、気付いてないと思いますがナシュは、世界の歴史に名を残すであろう事をバルク教頭に行ったのです」
再び、生徒達が首を傾げる。
「そうですね。
緊急時、あなた達はどうやって連絡をとりますか?
えっと、ヘイド、答えて」
ナシュを1番バカにしていた生徒に話を振る。 生徒の内の何名かは私の言いたいことを理解したのかキラキラと目を輝かせながらナシュを見ている。
「決まってる。 早馬や書簡、伝聞だろ……あっ」
どうやら、気づいたようだ。
ナシュの偉大さに。
「気付いたようね。 ナシュは、即座に情報を相手に伝えることが出来るのよ。
つまり、ナシュの〈音属性〉を解析することによって今までよりより効率良く伝達等が出来るようになるの」
この学校のもう一つの役割は、魔法解析をして生活に役立てる事。
コンロや冷蔵庫等も魔法を解析し、生活道具に付与することで国民の生活を向上させることを目的としている。
ナシュの有用性を解いた後、再び、各教室を回り続けた。
正直、9年生の教室では歓迎されなかった。
全然知らなかったけど彼等は、もうすぐ卒業式を控えているらしい。
そのタイミングでの私の登場と今まで習ってきた全てを否定する話。
受け入れろと言うのが難しい話である。
が、私は思う。
「たかが、9年よ。
あなた達は、もっと、もっと長く長く生きるのよ。
ここで受ける方が良いと思うわよ」
この言葉で、全員が黙って受け入れる。
そして、最後のクラスに。
中に入るとすぐに驚いた声が聞こえた。
「はぁ!? 相沢先生はミーちゃん!?」
声の方を向くとケンがいた。
「相沢先生と呼べケン」
私はビシッと指を指す。
ケンはバツの悪そうな顔を浮かべる。
生徒達を見ていくと一人だけ特殊魔法の使い手を発見した。
「ちっ……」
「先生が生徒に対して舌打ちかよ」
私が見つけた特殊魔法の使い手は、ケンだった。
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