職も住処もなくした私が訳ありアパートの管理人にスカウトされました。何やら事情があるようです。

ピヨピヨ

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葵は元カレと縁をきりたい~さしのみ 2

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「そうだ。葵、うちにきたら?」
「え? まさか! そんなことすれば水町さんに迷惑かけちゃいます! 住所特定されたらどうするんですか」

 亜子の申し出は嬉しいが、とんでもない迷惑をかけてしまう。

「住所特定、大丈夫! 問題ない。私社員寮だから、しょっちゅう引っ越ししてるし」

 葵は頭を傾げた。

「社員寮? しょっちゅう引っ越し? 何ですか、それ?」
 
 思うに亜子は酔っぱらっているのだろう。

「今、私、この近くの一軒家に住んでいるの」
「え? 一軒家? すごいじゃないですか!」
 ここはターミナル駅からたったの一駅、きっとすごい値段だろう。しかし、亜子は今社員寮と言っていた。やっぱり酔っ払い。

「ふふふ、事故物件よ」

 葵が目を見開いた。 

「嘘でしょ? それ絶対危ないやつじゃないですか!」

 ここら辺の一件やで豪邸で事故物件といったら……。

「問題ないよ。社長が家賃二万でいいって言いうし、その分呑めるじゃない! まあ、ネットググればすぐに一家惨殺って出て来る有名な家だけれどね!」

 そういえば、瀧崎が社員には霊感がないと言っていた。

「そんな……。なんともないんですか?」
「うーん、ときどき、夜中バタバタと人が走り回る音がしてドアがガチャガチャなるくらい?」
 
 霊感のない人が感じるとか、絶対無理なやつ! やばいやつ! ここまでくると亜子の体が心配になる。

「社長はお祓いしないんですか?」
「うーん、支障がないなら待つのも手だっていってた」

 社長あなたは鬼ですか……。

「それで、亜子さんは体調不良とかにならないんですか?」
「全然。毎日酒が美味しい。あははは」

と言って亜子が豪快に笑う。確かにいつも元気で彼女が具合が悪そうなところは見たことはない。

「そういえば、斎藤さんももしかして、そういうところにすんでいるんですか?」

 斎藤なレイワ不動産で最も若い正社員だ。

「ああ、斎藤はワンルーム専門。ほら、推しのアイドルに貢ぐのに金がかかるんだって。グッズやサイリュームも高いらしいよ」
「サイリューム?」
「コンサートの時に、あの光るライトよ。推しの色とメンバー全員の色を持っているのがスタンダードなんですって」
「はあ……」

 もう葵には何がなんだか分からないので、とりあえず飲みかけのチューハイをあおった。

「本当は会社でちゃんと家賃補助してくれるのよ。五万円くらい」
「え? そんなに?」

 葵は驚いて目を瞬いた。給料がいいうえに五万も補助してくれるとは驚きだ。

「そ、山本主任や勝田部長みたいな所帯持ちはだいたい十万くらい家賃補助してくれるよ。事故物件に住むのはあくまでも個人が希望したときのみだよ」

「社長、無茶苦茶いい人じゃないですか」
「あんた、何今頃? それに社長金持ちだし」

 確かに無一文での誰死ぬところを瀧崎に助けられた。


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