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第10話 風の約束
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王都への出張――それは、ユリスにとって初めての“公務の旅”だった。
目的は、共生都市ルーヴェンと王都の文化交流に関する会議。
文官としての務めではあるが、同時に、これまでの成果を示す大切な場でもある。
そして、その護衛に選ばれたのは、もちろんガルド・ルヴァーンだった。
「……落ち着かないなぁ」
王都行きの馬車の中で、ユリスは膝の上の書類をいじりながら呟いた。
隣では、ガルドがいつものように無表情で窓の外を見ている。
王都までの道のりは半日。森を抜け、丘を越え、やがて石造りの大門が見えてくる。
窓の外には、どこまでも続く青空が広がっている。
そんな中、ユリスの胸の内は少しだけそわそわしていた。
(王都なんて、何年ぶりだろう……でも、隣にガルドさんがいるだけで安心する)
こっそり視線を向けると、ガルドは相変わらずの姿勢で背筋を伸ばし、外を警戒していた。
それだけで、なんだか頼もしくて、ちょっと誇らしい。
心の中で「この人が僕の護衛です」と誰かに自慢したくなる。
そんな自分に気づいて、ユリスは小さく笑った。
「……何かあったか」
ガルドがこちらを見た。
「いえ、なんでも。ただ嬉しいなって」
「嬉しい?」
「こうして、一緒に旅してるのが嬉しいです」
「……俺もだ」
「え?」
「お前と旅をするのは、悪くない」
ガルドは窓の外へ視線を戻す。
その横顔が、光を受けてやわらかく見えた。
ユリスは自分の鼓動が激しくなるのを感じた。
◇
王都に着くころには、夕暮れが街を染めていた。
石畳の道に灯が入り、人々が行き交う喧噪が広がる。
ルーヴェンの穏やかさとは違い、王都はどこか落ち着かない華やかさがあった。
「……すごい人ですね」
「油断するな。人混みは、何より危険だ」
ガルドの声は低く落ち着いている。
その手が、無意識にユリスの腕を軽く支えていた。
混雑した道で、はぐれないように――というだけの動作なのに、心臓が跳ねる。
宿舎へ着くと、王都文官局から案内の人間が待っていた。
「部屋の手配は済んでいます。あいにく、満室で……」
と、少し申し訳なさそうに言う。
「――お部屋は、一つしかご用意できませんでした」
ユリスの動きが止まった。
ガルドもわずかに眉を動かす。
「一つ……?」
「はい。寝台は広めのものを用意してありますので、ご安心を」
(いや、安心できませんけど……!)
心の中で悲鳴を上げながら、ユリスは引きつった笑顔を浮かべた。
対するガルドは表情ひとつ変えず、淡々と礼を言う。
「問題ない。護衛任務上、合理的だ」
(ガルドさん、強すぎる……!)
◇
その夜、宿の部屋は落ち着いた装飾で、広いベッドが中央に一つ。
窓からは王都の灯が見え、カーテンの隙間から風がそっと入り込む。
「ガルドさん、どうぞ先に休んでください。僕は書類整理してから」
「お前も休め。明日は早い」
「でも……」
「俺が見ている」
その言葉に、ユリスの心臓が跳ねた。
“見ている”――その一言が、なぜか全身を温めてしまう。
頬が熱くなるのを隠しながら、書類をテーブルに置く。
「じゃあ、……休みます」
ベッドの端に腰を下ろす。
沈み込む柔らかさと、隣にいるガルドの気配に不思議と眠気が訪れて、ユリスはいつの間にかまぶたを閉じていた。
◇
――どのくらい眠ったのだろう。
目を覚ますと、部屋はすでに夜の静けさに包まれていた。
月の光がカーテン越しに差し込み、ベッドの脇ではガルドが椅子に座っている。
腕を組み、窓の外を警戒するようにしていた。
「ガルドさん……寝てないんですか」
「護衛任務中だ」
「……一晩中ですか?」
「そうだ」
そう言って、ガルドはほんの一瞬だけ笑った。
月明かりがその横顔を照らし、琥珀の瞳が静かに光る。
その優しさに、胸が締め付けられる。
ユリスは毛布を少し引き寄せながら、小さく言った。
「だったら、僕、寝ません」
「なぜだ」
「ガルドさんが休まないなら、僕も一緒に起きてます」
「……ダメだ、明日は大事な会議だろ。俺は寝なくても問題ない」
「……お願いです。ガルドさんも一緒に」
ユリスは少し甘えるようにじっとガルドを見つめた。
ガルドもわずかに口元を緩めた。
その微笑みが、あまりにも穏やかで、胸がきゅっと鳴る。
「……そんな顔をされると、困る」
「え?」
「“護衛”じゃなくなりそうだ」
ユリスの呼吸が止まった。
ガルドがゆっくりと立ち上がり、歩み寄ってくる。
足音は静かに、距離を詰めてくる。
ベッドのそばに立ち、彼はユリスを見下ろした。
「……昨日の夜、言ったことは覚えているか?」
「っ……!」
途端に、顔が真っ赤になる。
まさかここで言われるとは思わなかった。
ユリスは慌てて視線を逸らす。
「い、いえっ、あれはその……」
「覚えていろと言っただろう」
「……ちゃ、ちゃんと覚えてますけど!」
「なら、もう一度聞かせろ。今の“素面”の言葉で」
ガルドの声は低く、まっすぐだった。
ユリスの胸が高鳴る。
夜風がカーテンを揺らし、部屋の灯がふわりと揺れる。
ユリスはゆっくり身体を起こした。
「……ガルドさん」
「……あぁ」
「好きです。……離れるのが嫌になるくらいに、好きなんです」
静かな、素直な告白にガルドの目が揺れた。
そして、次の言葉を紡ぐより先に――彼はそっとユリスを抱き寄せた。
温かい。
心に触れるような抱擁。
腕の力が優しく、いつもの”守る”とは違う心地よさ。
「……ユリス。俺もだ」
「え……?」
「お前を見てると、心が騒ぐ。守るだけじゃもう足りない。だが、狼族の本能は、強すぎる。お前を壊してしまいそうで――それが、怖い」
その声は、かすかに震えていた。
ユリスはその胸に手を当て、小さく首を振る。
「壊れたりしません。あなたに触れられても、何をされても平気です。だから、あなたが望むこと、僕は……してほしいです」
ガルドが息を呑む。
そして、ほんの一瞬の逡巡のあと、そっと顔を近づけた。
距離が、消える。
唇が触れた。
触れるだけの優しい口づけ。
ガルドが唇を離し、額をユリスの肩に寄せた。
その声は、いつもより弱い。
「……約束しよう」
「約束?」
「お前が望む限り、俺は傍にいる」
「……はい。僕も、ずっと傍にいます」
ユリスの瞳が潤み、微笑みが零れる。
その笑顔を見つめながら、ガルドは小さく囁いた。
「愛している、ユリス」
ガルドはユリスの手を取り、甲に口づけを落とした。
それはまるで、誓いのように。
ユリスは顔を真っ赤にしながら、ガルドの行動を見ていたが、次第に恥ずかしくなって目を伏せた。
「お前は本当に可愛いよ」
ガルドはユリスの頬を撫で、上を向かせ、そのまま口づけをした。
今度は少しだけ深く、自分の想いを伝えるような口づけを。
窓の外で、夜風が静かにカーテンを揺らした。
二人の髪を撫でて、淡い光を散らす。
王都の夜が静まり、灯りが遠くで瞬いていた。
ユリスはその胸の中で、心地よい眠りに落ちていく。
――この腕の中が、一番の安らぎなのだから。
目的は、共生都市ルーヴェンと王都の文化交流に関する会議。
文官としての務めではあるが、同時に、これまでの成果を示す大切な場でもある。
そして、その護衛に選ばれたのは、もちろんガルド・ルヴァーンだった。
「……落ち着かないなぁ」
王都行きの馬車の中で、ユリスは膝の上の書類をいじりながら呟いた。
隣では、ガルドがいつものように無表情で窓の外を見ている。
王都までの道のりは半日。森を抜け、丘を越え、やがて石造りの大門が見えてくる。
窓の外には、どこまでも続く青空が広がっている。
そんな中、ユリスの胸の内は少しだけそわそわしていた。
(王都なんて、何年ぶりだろう……でも、隣にガルドさんがいるだけで安心する)
こっそり視線を向けると、ガルドは相変わらずの姿勢で背筋を伸ばし、外を警戒していた。
それだけで、なんだか頼もしくて、ちょっと誇らしい。
心の中で「この人が僕の護衛です」と誰かに自慢したくなる。
そんな自分に気づいて、ユリスは小さく笑った。
「……何かあったか」
ガルドがこちらを見た。
「いえ、なんでも。ただ嬉しいなって」
「嬉しい?」
「こうして、一緒に旅してるのが嬉しいです」
「……俺もだ」
「え?」
「お前と旅をするのは、悪くない」
ガルドは窓の外へ視線を戻す。
その横顔が、光を受けてやわらかく見えた。
ユリスは自分の鼓動が激しくなるのを感じた。
◇
王都に着くころには、夕暮れが街を染めていた。
石畳の道に灯が入り、人々が行き交う喧噪が広がる。
ルーヴェンの穏やかさとは違い、王都はどこか落ち着かない華やかさがあった。
「……すごい人ですね」
「油断するな。人混みは、何より危険だ」
ガルドの声は低く落ち着いている。
その手が、無意識にユリスの腕を軽く支えていた。
混雑した道で、はぐれないように――というだけの動作なのに、心臓が跳ねる。
宿舎へ着くと、王都文官局から案内の人間が待っていた。
「部屋の手配は済んでいます。あいにく、満室で……」
と、少し申し訳なさそうに言う。
「――お部屋は、一つしかご用意できませんでした」
ユリスの動きが止まった。
ガルドもわずかに眉を動かす。
「一つ……?」
「はい。寝台は広めのものを用意してありますので、ご安心を」
(いや、安心できませんけど……!)
心の中で悲鳴を上げながら、ユリスは引きつった笑顔を浮かべた。
対するガルドは表情ひとつ変えず、淡々と礼を言う。
「問題ない。護衛任務上、合理的だ」
(ガルドさん、強すぎる……!)
◇
その夜、宿の部屋は落ち着いた装飾で、広いベッドが中央に一つ。
窓からは王都の灯が見え、カーテンの隙間から風がそっと入り込む。
「ガルドさん、どうぞ先に休んでください。僕は書類整理してから」
「お前も休め。明日は早い」
「でも……」
「俺が見ている」
その言葉に、ユリスの心臓が跳ねた。
“見ている”――その一言が、なぜか全身を温めてしまう。
頬が熱くなるのを隠しながら、書類をテーブルに置く。
「じゃあ、……休みます」
ベッドの端に腰を下ろす。
沈み込む柔らかさと、隣にいるガルドの気配に不思議と眠気が訪れて、ユリスはいつの間にかまぶたを閉じていた。
◇
――どのくらい眠ったのだろう。
目を覚ますと、部屋はすでに夜の静けさに包まれていた。
月の光がカーテン越しに差し込み、ベッドの脇ではガルドが椅子に座っている。
腕を組み、窓の外を警戒するようにしていた。
「ガルドさん……寝てないんですか」
「護衛任務中だ」
「……一晩中ですか?」
「そうだ」
そう言って、ガルドはほんの一瞬だけ笑った。
月明かりがその横顔を照らし、琥珀の瞳が静かに光る。
その優しさに、胸が締め付けられる。
ユリスは毛布を少し引き寄せながら、小さく言った。
「だったら、僕、寝ません」
「なぜだ」
「ガルドさんが休まないなら、僕も一緒に起きてます」
「……ダメだ、明日は大事な会議だろ。俺は寝なくても問題ない」
「……お願いです。ガルドさんも一緒に」
ユリスは少し甘えるようにじっとガルドを見つめた。
ガルドもわずかに口元を緩めた。
その微笑みが、あまりにも穏やかで、胸がきゅっと鳴る。
「……そんな顔をされると、困る」
「え?」
「“護衛”じゃなくなりそうだ」
ユリスの呼吸が止まった。
ガルドがゆっくりと立ち上がり、歩み寄ってくる。
足音は静かに、距離を詰めてくる。
ベッドのそばに立ち、彼はユリスを見下ろした。
「……昨日の夜、言ったことは覚えているか?」
「っ……!」
途端に、顔が真っ赤になる。
まさかここで言われるとは思わなかった。
ユリスは慌てて視線を逸らす。
「い、いえっ、あれはその……」
「覚えていろと言っただろう」
「……ちゃ、ちゃんと覚えてますけど!」
「なら、もう一度聞かせろ。今の“素面”の言葉で」
ガルドの声は低く、まっすぐだった。
ユリスの胸が高鳴る。
夜風がカーテンを揺らし、部屋の灯がふわりと揺れる。
ユリスはゆっくり身体を起こした。
「……ガルドさん」
「……あぁ」
「好きです。……離れるのが嫌になるくらいに、好きなんです」
静かな、素直な告白にガルドの目が揺れた。
そして、次の言葉を紡ぐより先に――彼はそっとユリスを抱き寄せた。
温かい。
心に触れるような抱擁。
腕の力が優しく、いつもの”守る”とは違う心地よさ。
「……ユリス。俺もだ」
「え……?」
「お前を見てると、心が騒ぐ。守るだけじゃもう足りない。だが、狼族の本能は、強すぎる。お前を壊してしまいそうで――それが、怖い」
その声は、かすかに震えていた。
ユリスはその胸に手を当て、小さく首を振る。
「壊れたりしません。あなたに触れられても、何をされても平気です。だから、あなたが望むこと、僕は……してほしいです」
ガルドが息を呑む。
そして、ほんの一瞬の逡巡のあと、そっと顔を近づけた。
距離が、消える。
唇が触れた。
触れるだけの優しい口づけ。
ガルドが唇を離し、額をユリスの肩に寄せた。
その声は、いつもより弱い。
「……約束しよう」
「約束?」
「お前が望む限り、俺は傍にいる」
「……はい。僕も、ずっと傍にいます」
ユリスの瞳が潤み、微笑みが零れる。
その笑顔を見つめながら、ガルドは小さく囁いた。
「愛している、ユリス」
ガルドはユリスの手を取り、甲に口づけを落とした。
それはまるで、誓いのように。
ユリスは顔を真っ赤にしながら、ガルドの行動を見ていたが、次第に恥ずかしくなって目を伏せた。
「お前は本当に可愛いよ」
ガルドはユリスの頬を撫で、上を向かせ、そのまま口づけをした。
今度は少しだけ深く、自分の想いを伝えるような口づけを。
窓の外で、夜風が静かにカーテンを揺らした。
二人の髪を撫でて、淡い光を散らす。
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ユリスはその胸の中で、心地よい眠りに落ちていく。
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