恋するシェアハウス~大河×唯編~

結衣可

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第1話 意識するのはいつも突然

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《登場人物》
  佐伯 大河(さえき たいが)
   年齢:22歳(大学4年)
   性格:明るく社交的。人懐っこく、誰とでもすぐ打ち解ける。
   外見:茶色がかった短髪、笑顔が爽やか。背は高め。
   特徴:からかうのが得意で、特に無口な唯をよくいじる。

  小早川 唯(こばやかわ ゆい)
   年齢:23歳(社会人2年目・デザイナー)
   性格:無口・マイペース。一見クールだが、内心はかなり情が深い。
   外見:黒髪で長めの前髪、細身、色白。物腰は静か。
   特徴:興味のあることには集中するタイプ。人との距離を上手く掴めないところがある。


 日曜の昼下がり、シェアハウスのリビングには穏やかな空気が漂っていた。
 ソファの端では、湊が陽向の髪をくしゃくしゃ撫でながら、映画を観ている。陽向は湊の肩に寄りかかり、まるでくっつくのが当たり前かのような距離感だ。
 その様子を横目に見ながら、大河は缶コーヒーを片手にテーブルへ腰を下ろす。
 「……ねぇ、唯さん」
 向かいに座って雑誌をめくっていた唯が、ゆっくり顔を上げた。
 「何」
 低く落ち着いた声。相変わらず感情をあまり表に出さない。
 大河はニヤリと笑って、あえて少し大きめの声で言った。
 「唯さんって、恋とかするんですか?」
 湊と陽向の耳にも届いたらしく、ソファから二人の視線が飛んでくる。
 「ちょ、大河……」と陽向が意外な質問に驚きつつも、気になるようだ。
 唯はページを閉じ、わずかに首を傾げた。
 「……しないように見える?」
 「いやー、見えますねぇ。だって、あまり人に興味なさそうな感じです」
 からかい混じりの声に、湊が呆れたように眉を上げる。
 「お前、人に向かってそういうこと言うなよ」
 ところが、唯は怒るでもなく、ほんの一瞬、口元をゆるめた。
 「……興味がないわけじゃないよ」
 柔らかい笑み。
 その変化に、大河は不意を突かれたように固まる。胸が、どくんと一拍大きく鳴った。
 (う、わ……唯さん、笑うとやばいかも)
 「なに?」と視線を向けられ、大河は慌てて缶コーヒーを口に運ぶ。
 「な、なんでもないす」
 そう答えたけれど、頭の中はさっきの笑顔でいっぱいだった。

 
 夕方になり、陽向と湊は連れ立って買い出しに出かけていった。
 リビングに残ったのは大河と唯だけ。
 静まり返った空間で、唯がふいに口を開いた。
 「……さっきの話だけど」
 「え?」
 「人には興味ないけど、大河は少し気になってる」
 さらっとそう言って、自室へ向かう唯の背中。
 大河はその言葉に、固まった。
 (……は?……ええぇえええええ!?)
 何気ない自分の問いかけがまさかこんな結果を生むと思わず、その場にしゃがみ込む。
 (……俺、唯さんに落ちそう)
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