冷徹社長と完璧秘書、二人きりの“業務報告”は蜜の味

どえろん

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第13話:荒野に築く城と、聖域での“補給”

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 俺の記者会見は、経済界に巨大な爆弾を投下した。
 テレビも、ネットニュースも、SNSも、全てが俺と雫の話題で持ちきりだった。
『若きカリスマ、橘 蓮、電撃辞任!』
『名門・橘家との断絶、背景に秘書との禁断愛か』
『新会社設立も、前途多難。四面楚歌の船出』

 予想通り、古賀会長と橘家は、持てる全ての力を使い、俺たちを社会的に抹殺しにかかってきた。
 銀行は手のひらを返し、取引先は次々と契約を打ち切る。T・I・Sに残った役員たちは、俺を裏切り者として糾弾する声明を発表した。
 世界中が、敵になった。

 そんな荒野の中で、俺たちの新しい城――新会社『ネオ・フロンティア』は、産声を上げた。
 城、とは名ばかりの、都心から少し離れた雑居ビルの一室。広さは、かつての社長室のウォークインクローゼットほどしかない。
 だが、そこには光があった。

「社長! いや……ボス! ついて来やしたぜ!」

 元T・I・Sのトップエンジニアだった田中が、数人の部下を引き連れて、狭いオフィスに現れた。
 彼らは、会社の派閥争いに嫌気がさしていた、俺直属の部隊だった。

「お前たち……」
「水臭えな、ボス。あんたの作る未来が見てえから、俺たちはあんたについてきたんすよ」
「蓮さんを一人にはさせません」

 田中の後ろから、営業部のエースだった佐藤も顔を出す。
 彼らの目には、不安よりも、新しい冒険に乗り出す高揚感が宿っていた。
 俺は、目頭が熱くなるのを必死で堪えた。

 そして、その中心には、常に雫がいた。
 彼女は俺の秘書としてだけでなく、経理、総務、人事、その全てを一人でこなし、この小さな城の土台を必死で支えていた。

 しかし、現実は甘くなかった。
 橘家と古賀会長による妨害工作は執拗を極め、設立から一週間、俺たちは一本の契約も取れずにいた。運転資金は、俺の個人資産を切り崩しているだけ。このままでは、ひと月ももたない。

 焦りと疲労が、オフィスに重く沈殿していた、その夜。
 終電もとうに過ぎたオフィスで、俺は一人、PCのモニターを睨みつけていた。カタカタ、とキーボードを打つ音だけが、虚しく響く。

「……蓮さん」

 背後から、優しい声がした。
 振り返ると、雫がマグカップを二つ持って立っていた。

「コーヒー、淹れました。少し、休憩しませんか」
「……ああ」

 俺は素直に頷き、彼女が差し出すマグカップを受け取った。
 コーヒーの温かさが、凍えた心に染み渡る。

「……すまない」

 ぽつり、と俺の口から言葉が漏れた。

「俺の我儘に、お前も、みんなも巻き込んでしまった」
「謝らないでください」

 雫は、俺のデスクの端にそっと腰掛けた。そして、俺の髪を、慈しむように優しく撫でる。

「わたくしたちは、あなたの“我儘”に夢を見ているんですよ。……ですが、兵士にも休息と“補給”は必要です」

 そう言うと、彼女は悪戯っぽく微笑んだ。

「蓮さん。このオフィスで、一番偉いのは誰ですか?」
「……俺、だが」
「では、その次に偉いのは?」
「……お前、だろうな」

 俺が答えると、彼女は満足そうに頷いた。

「では、社長命令です。……今から、わたくしを“補給”してください」

 その言葉の意味を、俺が理解しないはずがない。
 ここは戦場だ。欲望を満たす場所ではない。だが、彼女は分かっているのだ。俺たちが今、何よりも必要としているものが何かを。

 俺は黙って立ち上がると、オフィスのブラインドを全て下ろした。
 カシャン、カシャン、という音が、外界との境界線を引いていく。
 この狭いオフィスが、今だけは、世界で一番安全な、二人だけの聖域に変わる。

 俺は、俺が座っていたオフィスチェアを彼女に向けた。

「……座れ」

 それは、命令だった。
 雫は、少し頬を染めながらも、素直に椅子に腰を下ろす。
 俺はその前にひざまずくと、まるで騎士が忠誠を誓うように、彼女のパンプスの先にキスをした。

「ひゃっ……♡」

「お前は、俺の城の女王だ。そして俺は、お前に仕える、ただ一人の兵士。……女王陛下、どうかこの疲れ果てた兵士に、生きるための糧を、お与えください」

 俺は、芝居がかった口調で、しかし本心からそう告げた。
 雫は、くすりと笑うと、慈愛に満ちた表情で俺の頭を撫でた。

「許します、私の、勇敢な騎士様」

 俺は彼女のスカートの中に手を差し入れ、その一番奥にある、温かな泉を探り当てる。
 そこは、俺の唯一のオアシスだった。

「あっ……♡ だめ、こんな、みんなが働いている場所で……っ♡♡」
「今はいない。ここは、俺たちの城だ」

 俺は彼女を椅子ごと回転させ、デスクにその上半身を預けさせる。
 無防備に持ち上げられた腰。その下で、熱く濡れた秘裂が、俺を求めてひくひくと震えていた。

 俺は、その場で自分の全てを解き放ち、渇いた身体を潤すように、彼女の中に突き進んだ。

「あ“ぁああああーーーーーっっ♡♡♡」

 それは、今までで一番、貪欲な交わりだった。
 生きるために、明日を戦うために、互いの生命力を喰らい合う。
 椅子が軋む音と、二人の喘ぎ声だけが、小さなオフィスに響き渡る。
 壁に貼られた事業計画書も、積み上げられた書類の山も、全てが俺たちの愛の証人だった。

「蓮さん……っ♡ わたくしの全部で、あなたを満たしてあげる……っ♡♡」
「ああ……っ! お前がいれば、俺は……不死身だ……っ!」

 絶頂の瞬間、俺は彼女の奥深くで、新たなる戦いへの誓いを注ぎ込んだ。
 それは、どんな栄養ドリンクよりも、どんな休息よりも、俺の魂を奮い立たせる、最高の“補給”だった。

 ――その時、俺の携帯が静かに震えた。
 雫の腕の中で余韻に浸っていた俺は、ディスプレイを見て目を見開いた。
 メッセージの送り主は、アラン・リチャーズ。

『君たちの“城”の話を聞いた。面白いじゃないか。一つ、仕事を頼みたい』

 それは、暗闇の中に差し込んだ、一筋の光だった。

【続く】
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