HEAVEN B HELL【BL短編集】

野瀬 さと

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最終章 願わくば花の下にて恋死なむ

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知恵熱ってやつかな…
普段やりなれないことやったからかな。

「ちょっとそこで待っていなさい」

兼高教授は俺をソファに寝かせると、部屋を出ていった。

「……?」

なんだろ…

横になってみると、身体が鉛のように重くなっている事に気づいた。
膝の関節もなんだかミシミシいってる気がする。
ソファに吸い込まれるみたいに眠気が襲ってくる。

ああ…熱、ほんとにあるのかも…
動きたくないなあ…

なんて思ってたら、教授が戻ってきた。

「今日はもういいから帰りなさい」
「はい…」

起き上がろうとしたけど、上手く力が入らなかった。

「どうした…?キツイか?」
「いえ…大丈夫です」

勢いをつけて無理やり起き上がってみたら、頭がくらくらした。
ふと、兼高教授を見ると出かける準備をしている。

なにしてんだろ…

ぼんやりと見ていたら、教授室に青木くんと中島さんが入ってきた。

「失礼しまーす」
「ああ…悪いね。後、頼むよ」
「ええ…わかりました」
「遠ちゃん、大丈夫?」

青木くんが俺の顔を覗き込んだ。
中島さんは心配そうにソファの横でしゃがんで、俺の額に手を当てた。

「遠ちゃん…これ、熱あるよ?」
「まじ…?」
「よくこれでバイト来ようと思ったね…えらいえらい」

そう言って、俺の頭をナデナデした。
子供じゃないんだけど…
まあ年上のお兄さんだから許す。

「兼高教授が車で送ってくれるって。良かったな」
「うんうん。遠ちゃん、ゆっくり休めよ?」

青木くんが教授の方を見ながら言ったことにびっくりした。

「え…そんな…」

兼高教授が麻のジャケットを羽織った。

「研究室の片付けは、適当なところで切り上げてくれ。俺は今日は戻らないから」
「はい」

頭が上手く回らないうちに、教授に外に連れ出された。

「職員駐車場まで歩けるか?」
「え…その…」
「まだ、このあたりの病院とかわからないだろう?案内しがてら、連れて行くから」
「いえ…そんな…」
「いいから」

ぐいっと腕を引かれた。

「病人が遠慮するものじゃない」

そう言われたら、何も言えなかった。

兼高教授のセダンに乗せられて、病院に連れて行かれた。
受付で貰った体温計で熱を測ったら7度6分。
こんなにだるいのに、案外熱は出ていなかった。

順番が来て、診察を受けたら風邪だろうということだった。

処方箋を貰って病院を出ると、すぐに薬局に連れて行かれた。
薬ができるのを待って受け取っている間、教授は外で何か買い物をしていた。

家まで送ってもらうと、兼高教授は肩を貸して部屋まで送ってくれた。

「すいません…こんなにしてもらって…」
「いや、俺も今日は有給にしたから、気を使うな」
「はあ…」
「昼時だから、飯作ってやる」
「えっ…そんな!そこまで迷惑かけられませんから…」
「いいから…」

強引に教授は家の中まで入ってきた。

「なんだこれは…」

まだぐちゃぐちゃの部屋を見て、教授は呆然とした。

「すいません…昨日越してきて、まだ片付け終わってなくて…」
「そうだったのか。何で早く言わないんだ」
「いえ…バイトは休むつもりありませんでしたから…」
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