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第九章
楔
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ああ、それをその通りにできるなら。その下には楔が、その下にはイバラが。罠なのだ。罠。突き落とされる。
俺の怒り。
この恐怖。
この悲しみ。
人を信じられないことほどの悲しみがあるか? 俺の奪われたものを返してくれ。
俺を牢獄から出してくれ。
声にならぬ声を聞いてくれ。
全世界に。
焼き尽くせ、全世界を。全世界を、俺とともに。俺の苦しみとともに。
そうでなければ、なくならないのだ、俺の苦しみは。
この苦しみはここにあるのか、それともないのか。それすら俺にはわからない。
ああ、でもここにないなどと言うな、ないならば、ここにあるのはいったい何だ。この苦しみは何だ。ないというのか。なくなることはあるのか? 教えてほしい。
涙をふりしぼることで、なくなるのなら、ふりしぼろう。それで減っていくのなら。でもこの苦しみに終わりはあるのか? 底はあるのか?
「俺はただ、悲しみに触れていないと、生きている気がしないだけなのだろうか」
「愛に、の間違いじゃない?」
俺の怒り。
この恐怖。
この悲しみ。
人を信じられないことほどの悲しみがあるか? 俺の奪われたものを返してくれ。
俺を牢獄から出してくれ。
声にならぬ声を聞いてくれ。
全世界に。
焼き尽くせ、全世界を。全世界を、俺とともに。俺の苦しみとともに。
そうでなければ、なくならないのだ、俺の苦しみは。
この苦しみはここにあるのか、それともないのか。それすら俺にはわからない。
ああ、でもここにないなどと言うな、ないならば、ここにあるのはいったい何だ。この苦しみは何だ。ないというのか。なくなることはあるのか? 教えてほしい。
涙をふりしぼることで、なくなるのなら、ふりしぼろう。それで減っていくのなら。でもこの苦しみに終わりはあるのか? 底はあるのか?
「俺はただ、悲しみに触れていないと、生きている気がしないだけなのだろうか」
「愛に、の間違いじゃない?」
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