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第十八章 生徒の村田とイケメン教師
イケメン教師、校長に報告する
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「この部屋に隠しカメラがあります」
放課後、小坂は校長室で告げた。
「カメラはここには設置していないよ。不審者対策に設置した方がいいという意見もあるが。逆に不都合もあるじゃないか。ね、そうだろう? 小坂くん」
校長は、ハイバックのチェアにゆったりと身をゆだね、小坂の顔を見て意味深ににやりとした。
「いえ、何者かが、こっそり置いたのです」
「なんだって?」
校長は眉をひそめた。
「探しても、よろしいでしょうか」
「うむ」
校長が頷くと、小坂は、校長室のあちこちを探しはじめた。
カメラはすぐに見つかった。
動画のアングルから目星をつけていたのだ。
小坂は優勝杯のかげにあった小型カメラを校長に示した。
「これは」
校長は渋面を作った。
「動画撮影用ですね」
隠しカメラを手にとって小坂は確かめた。
「ほかにもしかけられているかもしれません」
小坂はテーブルの下からも盗撮カメラを発見した。
「どうしてカメラがあるとわかったんだ?」
校長は聞いた。
「校長室の様子が動画で流出していました」
小坂は答えた。
「ひょっとして、このことか?」
校長はPCのメーラーを開け、あるメールを示した。
件名には、『校長室で喘ぐイケメン教師!素人ゲイ動画!無料!』という派手な文字がおどっていた。
「え……」
まさかの卑猥なメール。
校長室で校長から、こんな文字を見せつけられることになるなんて。
小坂の頬は恥ずかしさに熱くなった。
「いけませんよ。こういう、あやしいメールをみだりに開封したら。セキュリティ上……」
小坂は気を取り直して真面目に注意しようとした。
「あっ、ダメですよ!」
だが校長は、小坂が制止するより早く、動画をクリックした。
動画の再生が始まった。
「あぁっ……校長……あぁぁっ」
青年が、乱されたワイシャツ姿で喘いでいた。
動きはカクカクしているし、画像も荒い。顔も局所もモザイクがかかっている。
だが、パソコン画面に映っている青年は、明らかに小坂だった。
下半身が露わにされ、モザイク箇所が画面にアップになる。
「よく撮れているじゃないか」
校長は嬉しそうに言った。
「喜んでいる場合ではありませんよ、校長! どうしてこんなあやしい動画をクリックしたんですか」
小坂は恥ずかしさと怒りで熱くなった。
「ん? 君はヤキモチを妬いているのか?」
校長が小坂を振り返った。
「私が、見知らぬどこかの『イケメン教師』のエロ動画に興味を持ったのを」
校長は、ニヤニヤした。
「いいじゃないか、結局、エロ動画の男優は君だったんだから」
「そういう問題じゃありません。僕はセキュリティのことを言っているんです!」
小坂は狼狽して言った。
「ははは」
校長は笑った。
「クリックしなかったら、君の動画だと確かめられなかったじゃないか」
「それはそうですけど」
そんなのは屁理屈だ。
「もう隠しカメラは停めたんだろう? だったらいいじゃないか」
校長は椅子から立ち上がった。
校長は、全く事の重大さを認識していないようだった。
「校長! このカメラを誰が置いたのか、メールを誰が送ってきたのか、調べなくていいんですか!」
小坂は息まいた。
「そんなのは簡単だ」
校長は、つまらないことだ、というように答えた。
「村田君がカメラを置いて、宮本君がメールを送ったのさ」
さも、簡単なことだというように、校長は小坂に告げた。
「え、宮本ですか?」
『校長室で喘ぐ淫乱教師!素人ゲイ動画!無料!』などという文字を打ちこんでいる宮本を、小坂は想像できなかった。
「そんなことを、彼がするとは思えません」
小坂は、校長が適当なことを言っているのに気づいて、言い返した。
小坂の進言を軽んじているのだ。それは、校長が、小坂の存在を軽く見ているというあらわれのように思えた。
「でなければ、生徒会長か風紀委員長だろう」
校長は、どうでもいいことだというように言った。
美しく成績優秀だが狡猾な生徒会長ならやりかねないと小坂も思った。
あるいは何を考えているのかわからない風紀委員長なら、ハッカーまがいのことでも、しでかしそうだった。
「そうかもしれませんね」
小坂は校長に同意して、うなずいた。
「村田がカメラを置いたことには異存はなさそうだな」
校長が聞いた。
「はい」
村田だったら、やりそうだ。現に動画を持ち出していたし。掃除時間にでも来て、さりげなく設置したに違いない。
村田は生徒会の諜報部だと生徒会長たちが言っていた。生徒会執行部周辺の誰かに指示されてやったのだろう。
「さあて、今日はどういうことをしようかな?」
校長は、小坂の上腕をつかんで、にやりと笑った。
放課後、小坂は校長室で告げた。
「カメラはここには設置していないよ。不審者対策に設置した方がいいという意見もあるが。逆に不都合もあるじゃないか。ね、そうだろう? 小坂くん」
校長は、ハイバックのチェアにゆったりと身をゆだね、小坂の顔を見て意味深ににやりとした。
「いえ、何者かが、こっそり置いたのです」
「なんだって?」
校長は眉をひそめた。
「探しても、よろしいでしょうか」
「うむ」
校長が頷くと、小坂は、校長室のあちこちを探しはじめた。
カメラはすぐに見つかった。
動画のアングルから目星をつけていたのだ。
小坂は優勝杯のかげにあった小型カメラを校長に示した。
「これは」
校長は渋面を作った。
「動画撮影用ですね」
隠しカメラを手にとって小坂は確かめた。
「ほかにもしかけられているかもしれません」
小坂はテーブルの下からも盗撮カメラを発見した。
「どうしてカメラがあるとわかったんだ?」
校長は聞いた。
「校長室の様子が動画で流出していました」
小坂は答えた。
「ひょっとして、このことか?」
校長はPCのメーラーを開け、あるメールを示した。
件名には、『校長室で喘ぐイケメン教師!素人ゲイ動画!無料!』という派手な文字がおどっていた。
「え……」
まさかの卑猥なメール。
校長室で校長から、こんな文字を見せつけられることになるなんて。
小坂の頬は恥ずかしさに熱くなった。
「いけませんよ。こういう、あやしいメールをみだりに開封したら。セキュリティ上……」
小坂は気を取り直して真面目に注意しようとした。
「あっ、ダメですよ!」
だが校長は、小坂が制止するより早く、動画をクリックした。
動画の再生が始まった。
「あぁっ……校長……あぁぁっ」
青年が、乱されたワイシャツ姿で喘いでいた。
動きはカクカクしているし、画像も荒い。顔も局所もモザイクがかかっている。
だが、パソコン画面に映っている青年は、明らかに小坂だった。
下半身が露わにされ、モザイク箇所が画面にアップになる。
「よく撮れているじゃないか」
校長は嬉しそうに言った。
「喜んでいる場合ではありませんよ、校長! どうしてこんなあやしい動画をクリックしたんですか」
小坂は恥ずかしさと怒りで熱くなった。
「ん? 君はヤキモチを妬いているのか?」
校長が小坂を振り返った。
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校長は、ニヤニヤした。
「いいじゃないか、結局、エロ動画の男優は君だったんだから」
「そういう問題じゃありません。僕はセキュリティのことを言っているんです!」
小坂は狼狽して言った。
「ははは」
校長は笑った。
「クリックしなかったら、君の動画だと確かめられなかったじゃないか」
「それはそうですけど」
そんなのは屁理屈だ。
「もう隠しカメラは停めたんだろう? だったらいいじゃないか」
校長は椅子から立ち上がった。
校長は、全く事の重大さを認識していないようだった。
「校長! このカメラを誰が置いたのか、メールを誰が送ってきたのか、調べなくていいんですか!」
小坂は息まいた。
「そんなのは簡単だ」
校長は、つまらないことだ、というように答えた。
「村田君がカメラを置いて、宮本君がメールを送ったのさ」
さも、簡単なことだというように、校長は小坂に告げた。
「え、宮本ですか?」
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「そんなことを、彼がするとは思えません」
小坂は、校長が適当なことを言っているのに気づいて、言い返した。
小坂の進言を軽んじているのだ。それは、校長が、小坂の存在を軽く見ているというあらわれのように思えた。
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校長は、どうでもいいことだというように言った。
美しく成績優秀だが狡猾な生徒会長ならやりかねないと小坂も思った。
あるいは何を考えているのかわからない風紀委員長なら、ハッカーまがいのことでも、しでかしそうだった。
「そうかもしれませんね」
小坂は校長に同意して、うなずいた。
「村田がカメラを置いたことには異存はなさそうだな」
校長が聞いた。
「はい」
村田だったら、やりそうだ。現に動画を持ち出していたし。掃除時間にでも来て、さりげなく設置したに違いない。
村田は生徒会の諜報部だと生徒会長たちが言っていた。生徒会執行部周辺の誰かに指示されてやったのだろう。
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