イケメン教師陵辱調教

リリーブルー

文字の大きさ
301 / 475
第十九章 麓戸との再会

イケメン教師、旧部室棟で調教師と(1)

しおりを挟む
 小坂は麓戸を旧部室棟に案内した。
 旧部室棟の区域は立ち入り禁止になっている。建物が古いので危険箇所として黄色いテープが張られていた。
 テープは立ち入り禁止の表示のためでしかなく、簡単に跨げたし、脇を通って行くこともできた。
 小坂は以前から見回りを理由に、旧部室棟の区域に立ち入っていた。
 小坂の見回りの任務は、もう解かれていた。他の教諭たちが、当番で校内を見回って、放課後遅くまで残っている生徒たちに帰宅をうながしているようだ。他の教諭は小坂のように律儀に全ての敷地を見回ったりはしていない。

 麓戸を伴って、立ち入り禁止区域に立ち入っても、業者か役人の施設点検くらいにしか思われないだろう。

 小坂は、そう自分に言い聞かせた。
 麓戸と小坂が校内を歩いていると、礼儀正しい生徒の中には挨拶する者もいた。黙って黙礼する者もいた。友人との会話に夢中で気づかぬ者もいた。

「お、小坂だ」
と呼び捨てにし、級友に小突かれている生徒もいた。普段だったら、
「小坂ぁ、元気してる?」
などと親しく話しかけてくる昔の担任の生徒もいたし、
「小坂先生」
と明るく人懐っこく声をかけてくる教科を担任している生徒たちもいた。
 しかし、今は、来賓を伴っている小坂に遠慮してか、話しかけてくる者はいなかった。

 旧部室棟の周囲は丈の高い青草が繁茂していた。窓側は特に繁茂が激しい。しかし入り口辺りは土が踏み固められてあるのとコンクリートの段があるので草の茂りは繁くない。草が邪魔で入れないということはなかった。
 小坂は戸を開けた。
 キイっと古びた戸が、錆びついてきしんだ音を立てた。

「ここか」
中に入ると麓戸は室内を見回して言った。小さな空き部屋に麓戸の声が響く。
 室内には、使わない古い机などの備品が、無造作に重ねられて置かれている。

「ここは……昔の、ラグビー部の部室じゃないか」
麓戸が言った。

「はい……」
小坂は、答えながら魂が離れそうな心地がした。


「ここでよく、ラグビー部の部員に縄をかけて鞭をあててなぶってやったものさ」
麓戸が懐かしそうに言った。


「えっ? 麓戸さんの、高校時代の話ですか?」
小坂は初めて聞く話に驚いた。


 麓戸は過去の話を続けた。
「生徒会長なんかより、その方がよほど楽しかったからな。俺は、生徒会長になるのを断ったんだ」


 断った? 
 この高校で生徒会長になれば、将来の成功は約束されていると言われているのに。断るなんて。
「僕も、生徒会長には、なりませんでしたが……」


「え、愛出人が生徒会長? 野心とは無縁の性格に見えるが。さすがに高校生の頃は人並みに野心があったか。それとも推薦されたのか?」
麓戸が驚いたように聞いた。

「ええ。まあ、推薦されて」
小坂は曖昧に答えた。


「ふうん。愛出人はきれいな顔をしているから人気があったんだろうな。性格も真面目そうに見えるし。うってつけだと思われたんだろう。でも、いい人だけでは選挙に勝てない。強くなければ勝つことはできない」
麓戸は、麓戸の視線から逃れようとする小坂の顔を見ながら言った。


「僕は、選挙に出なかったんです」
小坂は視線の追及に負けて仕方なく打ち明けた。


「へえ、何があったんだ? 推薦されたが辞退?」
麓戸の問いに小坂は黙った。
「何か事件でも起こしたのか?」






アッ、アァァッ。

愛出人……いいよ……いってごらん。

あぁ……。




 小坂の脳裏に記憶が流れこむ。



 二年後期には、小坂を陵辱していた三年生たちも、受験で部活に来なくなった。
 小坂は生徒会長に推薦され、「学校を変えたい」と思った。
 こんな、酷いことが許される学校を変えたい。自分のような、つらい目にあう人間を、増やしたくない。
 こんなつらい目に合うのは、自分だけで十分だ。
 もう、誰も、こんな悲しい目に合ってほしくない。

 小坂は、選挙演説の原稿を書いた。

 涙ながらに原稿を読み上げた。
 立ち合い演説会の会場は、シンと静まりかえった。
 そして、万雷の拍手。

 そうなる、はずだった。なのに。





「いいえ、なにも」
小坂は無念の思いを振り払った。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

皇帝陛下の精子検査

雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。 しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。 このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。 焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

お兄ちゃん大好きな弟の日常

ミクリ21
BL
僕の朝は早い。 お兄ちゃんを愛するために、早起きは絶対だ。 睡眠時間?ナニソレ美味しいの?

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

処理中です...