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第二十四章 校長の家で
イケメン教師、校長宅で落ち着かない
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話が違う。
「妻とは別居している」のではなかったか? なぜ奥さんが在宅しているのだ。神崎校長は一人だと言っていたのに。
小坂はリビングのソファに座らされて待ちながら思った。そわそわと落ち着かない。
携帯電話で校長に電話してみたり、メールを送ってみたが通じない。返事がない。
神崎の妻が飲み物など持ってきた。
「暑いわね」
奥さんの薄いドレスの裾がヒラヒラ揺れる。
年増の女性とはいえ、人の奥さんと二人きりで長時間、部屋にいるのは気まずい。よくないことだ。
「あの、神崎先生は、いつお戻りでしょうか」
小坂は尋ねた。
「そうねぇ。すぐのはずだけれど、電話してみるわ」
と奥さんが言った。
奥さんが電話すると通じたらしく少し離れたところで奥さんは何やら話している。
「なんだかトラブルがあったようで1時間くらいかかるかもと言っていたわ」
戻ってきた奥さんに告げられて、小坂は、
「えっ。そうなんですか。では私は、いったんお暇して、出直します」
と席を立とうとした。すると奥さんが、
「でも、早ければ30分くらいで帰れるかも、とも言っていたわ」
などと言う。
「そうですか。それでもお邪魔でしょうから、私はいったん帰ります」
小坂は、なんとかこの状況から逃れようとした。しかし、奥さんは言うのだ。
「それは困るわ。神崎は、小坂先生に待っていただくようにと言っていたのだもの。私が追い返したように思われて、叱られてしまうわ」
奥さんが神崎に叱られてしまうのも気の毒だ。仕方なく小坂は再び腰をおろし、神崎を待つことにした。
「どうぞ、おかまいなく」
と小坂は言ったが、奥さんは小坂の向かいに座って、何やかや話している。
「はあ、そうですか」
と小坂は適当に相槌を打つ。そわそわして落ち着かない。
瞼にべったり塗ったアイシャドウ。つけまつげなのか、バサバサいいそうなまつ毛が大きな目を縁取っている。目の縁にアイラインを太く入れている。
長い髪は美容院に行ってセットしてきたばかりのように栗色に染められ念入りにカールされている。
グロテスクな女だ。あさましい。年増なのに、こんな派手な格好をして。男を誘おうとしているのか。
そう軽蔑して冷静になろうと努力する。しかしうまくいかない。向かいに座った女の、胸やら太ももやら唇やらが目に入って落ち着かない。
「妻とは別居している」のではなかったか? なぜ奥さんが在宅しているのだ。神崎校長は一人だと言っていたのに。
小坂はリビングのソファに座らされて待ちながら思った。そわそわと落ち着かない。
携帯電話で校長に電話してみたり、メールを送ってみたが通じない。返事がない。
神崎の妻が飲み物など持ってきた。
「暑いわね」
奥さんの薄いドレスの裾がヒラヒラ揺れる。
年増の女性とはいえ、人の奥さんと二人きりで長時間、部屋にいるのは気まずい。よくないことだ。
「あの、神崎先生は、いつお戻りでしょうか」
小坂は尋ねた。
「そうねぇ。すぐのはずだけれど、電話してみるわ」
と奥さんが言った。
奥さんが電話すると通じたらしく少し離れたところで奥さんは何やら話している。
「なんだかトラブルがあったようで1時間くらいかかるかもと言っていたわ」
戻ってきた奥さんに告げられて、小坂は、
「えっ。そうなんですか。では私は、いったんお暇して、出直します」
と席を立とうとした。すると奥さんが、
「でも、早ければ30分くらいで帰れるかも、とも言っていたわ」
などと言う。
「そうですか。それでもお邪魔でしょうから、私はいったん帰ります」
小坂は、なんとかこの状況から逃れようとした。しかし、奥さんは言うのだ。
「それは困るわ。神崎は、小坂先生に待っていただくようにと言っていたのだもの。私が追い返したように思われて、叱られてしまうわ」
奥さんが神崎に叱られてしまうのも気の毒だ。仕方なく小坂は再び腰をおろし、神崎を待つことにした。
「どうぞ、おかまいなく」
と小坂は言ったが、奥さんは小坂の向かいに座って、何やかや話している。
「はあ、そうですか」
と小坂は適当に相槌を打つ。そわそわして落ち着かない。
瞼にべったり塗ったアイシャドウ。つけまつげなのか、バサバサいいそうなまつ毛が大きな目を縁取っている。目の縁にアイラインを太く入れている。
長い髪は美容院に行ってセットしてきたばかりのように栗色に染められ念入りにカールされている。
グロテスクな女だ。あさましい。年増なのに、こんな派手な格好をして。男を誘おうとしているのか。
そう軽蔑して冷静になろうと努力する。しかしうまくいかない。向かいに座った女の、胸やら太ももやら唇やらが目に入って落ち着かない。
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