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17.5 人神の神殿
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「とりあえず、入ってみよう」
人神の神殿に入ろうとすると、入り口で門番に止められた。
「身分証を」
沢山の信者らしき者たちが、止められることなく入っていっている。
俺だけ止められるのは腑に落ちない。
「え? 他の人はみんな提示していないみたいだけど……」
そういうと、門番は俺を頭から足元までじっくり見る。
「人神さまの神殿に来るのは初めてかな?」
「はい」
「それでは説明しよう」
どうやら、素通りしているものたちは、首から人神の聖印を下げているらしい。
人神の聖印は星形に似ていて、どうやら人が大文字に手足を広げている姿を現しているようだ。
その聖印を貰うためには、神殿に寄進し、神官から祝福を受けなければならないらしい。
その聖印を首から下げていることが、信者の証であり、信者は神殿に自由に入ることができるとのことだ。
「信者以外の方には身分証の提示をお願いしてるんだよ」
「なるほど、そういうことだったのか」
信者ではない身許の定かではない者を自由に出入りさえたくないという気持ちはわかる。
俺は街の入り口で発行してもらった仮身分証を提示した。
「申し訳ないけどな。仮身分証では中に入れるわけにはいかないんだ、ルールだからな」
「……そうか。ちなみに寄進というのはどのくらいの額が必要なんだ?」
「もちろん、お気持ちで充分だが――」
「わふ」
急に吠えたフレキがやめろと目で言っている。
死神の使徒が、人神の信者になるなど、とんでもないということだろう。
「わかった。正式な身分証を手に入れてから来るよ」
「ああ、いつでも来なさい。あ、それと、入れるのは人族だけだからな」
門番はフレキを見てそう言った。
「なるほど。わかった」
人神の神殿なのだから、狼は入れないのも当然のことかも知れなかった。
俺は門番に頭を下げると、歩き出す。
そしてフレキと一緒に神殿の回りを一周した。
『フィル』
「わかってるって。寄進ってどのくらいなのかなって思っただけだよ」
『本当であろうな』
「でもさ。俺は人族だし、人神は俺のことも守護してくれるんじゃないの?」
『…………』
フレキがこいつは何言っているんだと、馬鹿を見る目で俺を見る。
「わかってるって。信者になる気はないさ、元々ね」
『教育が足りなかったと後悔しそうになったのじゃ』
「ごめんごめん。それはそうと、鎌の気配なんだけど……、やっぱり、神殿の中にありそう」
『それを確かめるために一周したのか?』
「もちろん」
理由はわからないが、死神の神具はどうやら人神の神殿の中にありそうだった。
人神の神殿に入ろうとすると、入り口で門番に止められた。
「身分証を」
沢山の信者らしき者たちが、止められることなく入っていっている。
俺だけ止められるのは腑に落ちない。
「え? 他の人はみんな提示していないみたいだけど……」
そういうと、門番は俺を頭から足元までじっくり見る。
「人神さまの神殿に来るのは初めてかな?」
「はい」
「それでは説明しよう」
どうやら、素通りしているものたちは、首から人神の聖印を下げているらしい。
人神の聖印は星形に似ていて、どうやら人が大文字に手足を広げている姿を現しているようだ。
その聖印を貰うためには、神殿に寄進し、神官から祝福を受けなければならないらしい。
その聖印を首から下げていることが、信者の証であり、信者は神殿に自由に入ることができるとのことだ。
「信者以外の方には身分証の提示をお願いしてるんだよ」
「なるほど、そういうことだったのか」
信者ではない身許の定かではない者を自由に出入りさえたくないという気持ちはわかる。
俺は街の入り口で発行してもらった仮身分証を提示した。
「申し訳ないけどな。仮身分証では中に入れるわけにはいかないんだ、ルールだからな」
「……そうか。ちなみに寄進というのはどのくらいの額が必要なんだ?」
「もちろん、お気持ちで充分だが――」
「わふ」
急に吠えたフレキがやめろと目で言っている。
死神の使徒が、人神の信者になるなど、とんでもないということだろう。
「わかった。正式な身分証を手に入れてから来るよ」
「ああ、いつでも来なさい。あ、それと、入れるのは人族だけだからな」
門番はフレキを見てそう言った。
「なるほど。わかった」
人神の神殿なのだから、狼は入れないのも当然のことかも知れなかった。
俺は門番に頭を下げると、歩き出す。
そしてフレキと一緒に神殿の回りを一周した。
『フィル』
「わかってるって。寄進ってどのくらいなのかなって思っただけだよ」
『本当であろうな』
「でもさ。俺は人族だし、人神は俺のことも守護してくれるんじゃないの?」
『…………』
フレキがこいつは何言っているんだと、馬鹿を見る目で俺を見る。
「わかってるって。信者になる気はないさ、元々ね」
『教育が足りなかったと後悔しそうになったのじゃ』
「ごめんごめん。それはそうと、鎌の気配なんだけど……、やっぱり、神殿の中にありそう」
『それを確かめるために一周したのか?』
「もちろん」
理由はわからないが、死神の神具はどうやら人神の神殿の中にありそうだった。
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