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第1章
1-6 神々の会議 世界辞書の付与
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ヒロシとミサエさんがソタイン村に転生してきて既に7日が過ぎていた……
神々が住まう天界の山では、300年振りに『神々の会議』が開かれ、男神も女神も緊張をしていた。 神々は、創造神ゼウスを中心に妻神のヘーラーが女神たちをまとめていた。
オリンポスではそれぞれの地域に担当神を決めそこに暮らす人々の幸せを神は最も尊ばれるのであったが、会社の営業会議と同じような仕組みで年度計画に沿って民の幸福度の進捗状況が報告されていたのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
「では、これより第1回神々の会議を始める」
神々は、少々緊張しながら創造神ゼウスを中心に各々が所定の位置に座っていた。男神たちは女神からネクタルが注がれるのを楽しみに待っていた。ネクタルとは神々の飲み物で不老不死の薬酒とも言われていた。女神たちはネクタルを男神たちに注いで回っていたのだった。
「ゼウス様、提案があります」
イアペトスが発言を求めた。
「イアペトス、遠慮なく申すのじゃ」
「勇者、聖女の素質を持つ優秀な民に神の加護を2つ以上授けてはいかがでしょうか」
「それは神界の規約に違反するので却下である」
イアペトスがゼウスに進言したが、あっさりと却下されてしまった。
「ゼウス様、提案があります」
「コイオス、申すのじゃ」
「ゼウス様、勇者または聖女となる素質のある者たちをイポニア国47の全ての地域に増やすのはどうでしょうか?」
「そうじゃの、それは一考に値するやも知れぬ」
コイオスの進言は素直に受け入れられた。
「では、先行して召喚した4組の勇者、聖女の活動状況を報告してもらう」
「プリアーポス、勇者、聖女の育成状況を報告してみよ」
「はっ、先日召喚しましたヒロシ、ミサエ夫婦の現在のレベルは13であります」
「こちらの手違いで、何も無いソタイン村に転生をさせてしまったので本人たちはとても苦労をしています」
「バッカス、勇者、聖女の育成状況を報告してみよ」
「はっ、半月前に召喚しましたマリオ、リカコ夫婦の現在のレベルは13であります」
「こちらは、生活が便利なように商都ナニサカ市に転生させましたが、乗り合い馬車しか移動手段が無く大変苦労をしております」
「アポロン、勇者、聖女の育成状況を報告してみよ」
「はっ、先々月召喚しましたハチロー、コマコ夫婦の現在のレベルは20で完全にストップしてしまいました」
「本人たちは、魔物討伐よりもスイーツ店の経営が忙しいようです」
「ポセイドン、勇者、聖女の育成状況を報告してみよ」
「はっ、先々月召喚しましたハヤト、サクラ夫婦のレベルは20でストップしております」
「原因は、勇者、聖女がサラマンダーの討伐に失敗したことです。勇者聖女のパーティは全員が解散して現在はハカトン市の臨時職員としてハヤト、サクラ夫婦は再雇用され働いております」
「ゼウス様、提案があります」
「プリアーポス、申すのじゃ」
「ゼウス様、現状では勇者、聖女の育成が大幅に遅れておりますので召喚した勇者、聖女にスキルとして『世界辞書』を付与するのはいかがでしょうか?」
「プリアーポス、詳しく申してみよ」
「はい、勇者、聖女の転生時の記憶を覗き見すると、勇者と聖女がいた世界ではタブレットまたはスマートフォンなる魔道具を使い日々の生活において必需品で有ることが解ってきたのです」
「老若男女も含めて全員がタブレットまたはスマートフォンで日常生活における困りごとを調べて生活に役立てていたのです」
「現在の状態では勇者、聖女がレベル20まで自力で育つのにはかなりの時間を要しており、従来の剣だけでの戦い方では高位の魔物と遭遇した場合は全く刃が立たないのです」
「また、この国においては交通事情が未発達であり、勇者、聖女が地方への移動を速やかに行えるように考慮する必要があります」
「つきましては、勇者、聖女の宿泊施設を兼ねた自走式馬車を具現化で作らせるのが得策と思われます」
「プリアーポス、ソタイン村の勇者と聖女に世界辞書を与え、自走式馬車とタブレットの開発構想を直ぐに行わせるのじゃ」
「はっ、仰せのとおり」
「ゼウス様、ナニサカの勇者、聖女にも『世界辞書』を付与する機会を与えて下さい」
「よかろう」
「はっ、ありがとうございます」
「ゼウス様、サツポルの勇者、聖女にも『世界辞書』を付与する機会を与えて下さい」
「よかろう」
「はっ、ありがとうございます」
「ゼウス様、ハカトンの勇者、聖女にも『世界辞書』を付与する機会を与えて下さい」
「よかろう」
「はっ、ありがとうございます」
「ミーミル、ソフィア、そなたたちは地球の神と連絡をとり神界通信システムを直ぐに構築させるのじゃ」
「「はっ、仰せのとおり」」
ゼウスの妻神ヘーラーは知恵の神ミーミルとソフィアに命令をした。神界の旗艦システム・メガラシステムが正式に開発された日でもあった。後にメガラシステムは大改造されて全宇宙と繋がっていくのだが、その第一歩だった。
「では、結論を申す、民の幸福計画にかなりの遅れが生じており、今期の達成は困難となりつつある。そこで、神々が連合を組み、勇者または聖女を全国に47組の勇者、聖女を召喚する事を決定する」
「「「「「「異議なし」」」」」」
「今後、勇者と聖女が増えすぎるのは問題があるやもしれぬが、民の幸せを第一に皆が一致協力し実行するのじゃ」
「「「「「「はっ、仰せのとおり」」」」」」
「勇者、聖女のレベルは亜神のレベル999を最終目標とするが、早急にタブレットを下賜し、勇者と聖女が自助努力してレベルアップを図るのじゃ」
「「「「「「はっ、仰せのとおり」」」」」」
「勇者、聖女の自走式馬車とタブレットであるが、早急に開発し、勇者、聖女がレベル20に育った時点で下賜することを決定する」
「では、これにて解散じゃ」
こうして、神々の会議は無事に終了し、神様たちは思い思いに散らばっていった。
(話終わり)
神々が住まう天界の山では、300年振りに『神々の会議』が開かれ、男神も女神も緊張をしていた。 神々は、創造神ゼウスを中心に妻神のヘーラーが女神たちをまとめていた。
オリンポスではそれぞれの地域に担当神を決めそこに暮らす人々の幸せを神は最も尊ばれるのであったが、会社の営業会議と同じような仕組みで年度計画に沿って民の幸福度の進捗状況が報告されていたのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
「では、これより第1回神々の会議を始める」
神々は、少々緊張しながら創造神ゼウスを中心に各々が所定の位置に座っていた。男神たちは女神からネクタルが注がれるのを楽しみに待っていた。ネクタルとは神々の飲み物で不老不死の薬酒とも言われていた。女神たちはネクタルを男神たちに注いで回っていたのだった。
「ゼウス様、提案があります」
イアペトスが発言を求めた。
「イアペトス、遠慮なく申すのじゃ」
「勇者、聖女の素質を持つ優秀な民に神の加護を2つ以上授けてはいかがでしょうか」
「それは神界の規約に違反するので却下である」
イアペトスがゼウスに進言したが、あっさりと却下されてしまった。
「ゼウス様、提案があります」
「コイオス、申すのじゃ」
「ゼウス様、勇者または聖女となる素質のある者たちをイポニア国47の全ての地域に増やすのはどうでしょうか?」
「そうじゃの、それは一考に値するやも知れぬ」
コイオスの進言は素直に受け入れられた。
「では、先行して召喚した4組の勇者、聖女の活動状況を報告してもらう」
「プリアーポス、勇者、聖女の育成状況を報告してみよ」
「はっ、先日召喚しましたヒロシ、ミサエ夫婦の現在のレベルは13であります」
「こちらの手違いで、何も無いソタイン村に転生をさせてしまったので本人たちはとても苦労をしています」
「バッカス、勇者、聖女の育成状況を報告してみよ」
「はっ、半月前に召喚しましたマリオ、リカコ夫婦の現在のレベルは13であります」
「こちらは、生活が便利なように商都ナニサカ市に転生させましたが、乗り合い馬車しか移動手段が無く大変苦労をしております」
「アポロン、勇者、聖女の育成状況を報告してみよ」
「はっ、先々月召喚しましたハチロー、コマコ夫婦の現在のレベルは20で完全にストップしてしまいました」
「本人たちは、魔物討伐よりもスイーツ店の経営が忙しいようです」
「ポセイドン、勇者、聖女の育成状況を報告してみよ」
「はっ、先々月召喚しましたハヤト、サクラ夫婦のレベルは20でストップしております」
「原因は、勇者、聖女がサラマンダーの討伐に失敗したことです。勇者聖女のパーティは全員が解散して現在はハカトン市の臨時職員としてハヤト、サクラ夫婦は再雇用され働いております」
「ゼウス様、提案があります」
「プリアーポス、申すのじゃ」
「ゼウス様、現状では勇者、聖女の育成が大幅に遅れておりますので召喚した勇者、聖女にスキルとして『世界辞書』を付与するのはいかがでしょうか?」
「プリアーポス、詳しく申してみよ」
「はい、勇者、聖女の転生時の記憶を覗き見すると、勇者と聖女がいた世界ではタブレットまたはスマートフォンなる魔道具を使い日々の生活において必需品で有ることが解ってきたのです」
「老若男女も含めて全員がタブレットまたはスマートフォンで日常生活における困りごとを調べて生活に役立てていたのです」
「現在の状態では勇者、聖女がレベル20まで自力で育つのにはかなりの時間を要しており、従来の剣だけでの戦い方では高位の魔物と遭遇した場合は全く刃が立たないのです」
「また、この国においては交通事情が未発達であり、勇者、聖女が地方への移動を速やかに行えるように考慮する必要があります」
「つきましては、勇者、聖女の宿泊施設を兼ねた自走式馬車を具現化で作らせるのが得策と思われます」
「プリアーポス、ソタイン村の勇者と聖女に世界辞書を与え、自走式馬車とタブレットの開発構想を直ぐに行わせるのじゃ」
「はっ、仰せのとおり」
「ゼウス様、ナニサカの勇者、聖女にも『世界辞書』を付与する機会を与えて下さい」
「よかろう」
「はっ、ありがとうございます」
「ゼウス様、サツポルの勇者、聖女にも『世界辞書』を付与する機会を与えて下さい」
「よかろう」
「はっ、ありがとうございます」
「ゼウス様、ハカトンの勇者、聖女にも『世界辞書』を付与する機会を与えて下さい」
「よかろう」
「はっ、ありがとうございます」
「ミーミル、ソフィア、そなたたちは地球の神と連絡をとり神界通信システムを直ぐに構築させるのじゃ」
「「はっ、仰せのとおり」」
ゼウスの妻神ヘーラーは知恵の神ミーミルとソフィアに命令をした。神界の旗艦システム・メガラシステムが正式に開発された日でもあった。後にメガラシステムは大改造されて全宇宙と繋がっていくのだが、その第一歩だった。
「では、結論を申す、民の幸福計画にかなりの遅れが生じており、今期の達成は困難となりつつある。そこで、神々が連合を組み、勇者または聖女を全国に47組の勇者、聖女を召喚する事を決定する」
「「「「「「異議なし」」」」」」
「今後、勇者と聖女が増えすぎるのは問題があるやもしれぬが、民の幸せを第一に皆が一致協力し実行するのじゃ」
「「「「「「はっ、仰せのとおり」」」」」」
「勇者、聖女のレベルは亜神のレベル999を最終目標とするが、早急にタブレットを下賜し、勇者と聖女が自助努力してレベルアップを図るのじゃ」
「「「「「「はっ、仰せのとおり」」」」」」
「勇者、聖女の自走式馬車とタブレットであるが、早急に開発し、勇者、聖女がレベル20に育った時点で下賜することを決定する」
「では、これにて解散じゃ」
こうして、神々の会議は無事に終了し、神様たちは思い思いに散らばっていった。
(話終わり)
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