異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト

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七十六話 【首輪】

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「ん、お姉ちゃんおかえり」

 ベアデとの会話を終えたウルエはデヌ爺ちゃんやエデルの事を探したが、
 見当たらなかった為、諦めて仕方なく地下へ戻りベットの上でゴロゴロとしていた。
 すると、そこへ買い物を終えたフェルが帰ってきて、
 横になりながらお姉ちゃんを出迎える。

「ただいま、ウルエ。良い子にしてた?」

「うん!してたよ。昨日のジュース飲んでたらあっと言う間に時間が過ぎちゃったよ」

 決してベアデの事は話題には出さずにジュースだけを出し、
 特に誰とも接しずに大人しくお留守番してましたとアピールをする。
 それを聞いたフェルは一安心といった表情を浮かべた。
 
「ところで、何を買ってきたの?」

「え、えっと……欲しいものが売ってなかったから何も買ってないわ!」

 若干の沈黙があり、何だか怪しい感じのフェル。
 当然ウルエも怪しいと感じたのだが、問い詰めたりはしない。
 誰にだって一つや二つ隠したい事ぐらいあるものだ。
 そう、年頃の女の子なら尚更……と思い込みウルエは一人で納得しうんうんと頷いていた。
 
 その思い込みが後にひどい事になるのだが、
 この時のウルエは知る由も無かった。

・・・・

 ウルエの意識が完全に闇の中へ落ちている時に、ベットから抜け出すフェルの姿があり。
 起こさない様にとゆっくりと動き、空間の中から首輪を取り出した彼女。
 そしてその首輪を気持ちよさそうに寝ているウルエの首につける。
 しっかりと装着されている事を確認したフェルはニヤリと下品な笑みを浮かべて
 再びベットの中に潜り込み眠りについた。

 フェルがウルエに取り付けた首輪は勿論、今日買い物で買ったものだ。
 奴隷などに付ける首輪よりも遥かに高価なものでその能力もとんでもないものだ。
 奴隷の首輪同様に、主人の言う事に服従するのだが、
 この首輪は装着されている者の感情を残し、身体は指示通りに動くのだが、
 それ以外は自分の意思が残るのだ。

 その他にも、沢山の能力があるらしいのだが、
 それはウルエが嫌でも必ず発動してしまう為、説明する必要はないだろう。
 時は流れ、朝になり、ウルエはいつも通りの時間に勝手に目が覚める。

「ん……」

 目が覚めたウルエがまず先にやる事は思いっきり伸びる事だ。
 その後に暫くボケーとしてから朝の身支度を済ませる。
 顔を洗っている時にウルエは異変に気が付く

「ん、なんだろこれ」

 まだ朝と言う事もあり意識が完全に覚醒していないため、
 ウルエは首に何かが付いているという事は分かっても、
 それが首輪とは気が付かずに暫くさわさわと感触を確かめ――

「首輪!?」

 やっと自分の首に何が付いているのかを理解したウルエは、
 朝っぱらから大声で叫び声をあげていた。
 当然、その叫び声を聞いて何事かとフェルがウルエの下へ一瞬で駆けつける。

「どうしたの?」

「お、お姉ちゃん!なんか首輪が付いてるんだけど!?」

「ふふふふ、私が付けてあげたのよ」

「え、あ、そうなんだ……」

 てっきり何者かが寝室に忍び込みこの首輪を装着したのかと思ったのだが、
 思いのほか、犯人がとても身近でしかも冷静に考えれば、
 一番そういった事をやらかしそうな人物が居たのだ。
 そう考えると、不思議と危機感が無くなっていく。

「でも、何で首輪なんて付けたの?」

「そんなの決まってるじゃない、ウルエは私の物だと周りに認識させる為よ!」

 態々首輪を付けなくても良いのではないかと思うウルエだったが、
 今更フェルに言っても聞かないことを知っているため、
 大人しく、今は首輪に対して何も文句を言わずに、
 フェルがいなくなった後でこっそりと外そうと企む。
 だが、フェルはそのことを予測しており、

「言っておくけど、その首輪は外せないわよ」

「へ?な、なに言ってるの?」

「ん?その首輪は私が外さない限り絶対に取れないと言っているのよ?」

「あ、そうなんだ……」

 あっさりと企みが粉々にされてしまい、あからさまにガックシと肩を落とす。
 これから一生フェルの許可がないと首輪が外せないことを考えると、
 ウルエの眼から光が失われていく。

「ははは……」

「あら、そんなに嬉しいの?高いお金を払って買った甲斐があったわ!」

「う、うん……ありがと」

 値段もかなりの値がしたと言う事を聞き、今すぐ外してくれなど言えるはずも無く、
 これからこの首輪と共に過ごしていくことを覚悟したウルエであった。

(そのうち慣れるよね……うん、慣れたらきっと気にならないさ!!)

 自分にそう言いきかせてウルエも今日も今日とてフェルに振りまわながらも生きていく。
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