異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト

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八十六話

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 フェルが既に必要な荷物などは全て収納してくれていた為
 特にやることはなくまったりと久しぶりの寮を満喫していた。
 フェルとの迷宮探索の事を色々と考えワクワクしたり不安になったりしているうちに
 日はすっかり暮れ、夕飯の時間になった。
 
 フェルが夕飯を作ってくれそれを美味しく頂く。
 どこもおかしくないいつも通りの光景だ。
 ご飯を食べ終わり暫くして風呂に入ろうと思い動き出したウルエは
 フェルに声を掛けてから着替えを用意して風呂場へと向かう。

「待ってたわウルエ!!」

「お、お姉ちゃん!?何で??」

 先ほどまでリビングに居たはずのフェル。
 確かにウルエは風呂に言って来るね。と告げその時まで彼女は椅子に座ってお茶を飲んでいたのだが、
 目の前にいるのは紛れも無くフェルだ。
 一体何がどうなっているんだ、と混乱するウルエだが、
 真実は物凄く単純で只々フェルが風呂場に転移しただけの話だ。

「さぁ、ウルエ。一緒にお風呂入りましょう」

 既に衣服など脱ぎ捨て全裸の状態のフェルはウルエに有無を言わせず
 かばっと襲い掛かり慣れた手つきで服を脱がして人攫いの如く風呂場へ連れ込む。
 その動きはフェルが魔王城で一カ月もの間脳内でイメージトレーニングした努力が現れている。
 
「ちょ、ちょっと!?」

「どうしたのウルエ?お姉ちゃんと風呂に入るの嫌なの?」

 慣れた手つきで洗い流されあっと言う間に綺麗になって行く――
 ウルエ自身、身体が子供の為精神が引っ張られる影響か、
 それとも本当に心を許しているからなのか、別にフェルと一緒に風呂に入る事に関して
 なんの抵抗も無ければ恥ずかしいと言った感情もなかった。

「嫌じゃないよ。ただいきなりだったからびっくりしたんだよ」

「そう、良かった!じゃあ隅々まで洗っちゃいましょうねぇ~」

 先ほどとは違い次はゆっくり丁寧に隅々まで現れて行く。文字通り隅々までだ。
 上から徐々に徐々に下へと降りてきてやがてフェルの手はウルエの下半身へ伸びて行くが、
 姉に欲情などしては行けないと心に刻み込んで心を無にして刺激に耐える。
 
「ん~まだ早いのかな?えいっ!」

「ひゃっ」

 全く反応を示さないため、まだ正常に機能していないのだと思い
 少し残念そうに指で弾くと予想外の攻撃にウルエは情けない声を出してビクリとしてしまった。
 
「ウルエ!?ごめんなさい私ったらそんなに痛いとは思ってなくて……
 ああ、ウルエになんてことをしてしまったのかしら、ごめんなさい。
 気が済むまでお姉ちゃんの事を殴っていいから許してくれる?」

 たかが大切な部分を軽く弾かれた位でそんなやり返したりはしない。
 それに痛かったわけではなく、驚いてしまっただけのなのだから、
 寧ろ勘違いさせて申し訳ない気持ちになるウルエだった。

「大丈夫だよ、お姉ちゃん。全然いたくなかった、ただびっくりしただけ」

「そう?本当に……なら良かったわ!」

 元気を取り戻したフェルは再びウルエの身体を丁寧に洗っていく――
 そんな光景を大浴場なみにデカい浴槽に浮かびながらすらいむさん(ナーガ)とす~が暖かい眼で見守っていた。
 
「ふぃ~」

 全体を洗い終わり二人で大きな浴槽に浸かる。
 広いのにも関わらずフェルはウルエにぴったりとくっついている。

「さ~て、ウルエ色々とお話しをしましょうか――ちっ」

「ん?」

 突然の舌打ちに何か悪い事をしてしまったかと少し不安になる。
 だが、実際はその舌打ちの原因はウルエではなく――

「あの尼本当に邪魔ばかりするのね……」

 フェルの言うあの尼を指す人物は一人しかいない。
 そう、アンアお姉ちゃんだ。
 どうやら夜中に寮に辿り着いたらしく今は部屋の目の前まで来ているらしい。

「来たんだ!じゃあお出迎えしなくちゃね!」

 ウルエはそういうとささっと風呂場から上がり急いで身体に付いた水をふきとり
 用意しておいた寝間着に着替えて玄関へと向かう。

「アンアお姉ちゃん!」

 久しぶりに会うのだから元気よく行こうと思ったウルエは
 飛び切りの笑顔を浮かべて玄関から入ってきたアンアを出迎える。

「あら、ウルエもう着いていたのですわね」

「うん、今日の着いたばかり……ってどうしたの!?」

 良くアンアの顔を見てみると頬に薄く傷跡の様なものが見え思わず声に出してしまう。
 薄さからして治りかけなのだろうが、それでも気になってしまうのだ。

「こ、この傷なら何でもないですわ!ちょっと引掻かれただけですから!」

 何やら何かを隠すように必死になっているアンアに不信感を抱く。
 ウルエの後にやってきたフェルは鋭い眼差しをアンアに向けて口を開く

「厄介ごとにウルエを巻き込むな。巻き込むなら私だけにしとけ糞尼」

「久しぶりですわね……や、厄介ごとだなんて、只引掻かれただけですわ」

「そう」

 二人のそんなやり取りを聞いて首を傾げるウルエ。
 フェルには一目で分かった事があるのだが、まだ幼いウルエには分からなことだ。
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