60 / 65
番外編・ホンモノ彼氏
ホンモノ彼氏・その5
しおりを挟む
「あ、あの」
「何」
「付き合い出したからって、無理に誉めなくていいんだからね?」
こんな私をかわいいなんて頭おかしいって思われるよ?
「え?かわいいよ?」
「今までそんな事言わなかったじゃない!むしろブス呼ばわり…」
「誰、そんなひどいこと言ったの」
お前だよ!
小林は笑って
「ずっとかわいいって思ってたけど、言ったらキモいって言うかなーと思って言わなかった」
といたずらっ子のように私の目を覗き込む。
「…キモい」
恥ずかしくなってその腕から逃れようとする。
「ホラ、そう言うじゃん」
と言いながら、「あ、なんか匂い嗅いでたら硬くなって来た」と少し下半身をずらした。
たしかにさっきから下で何か硬いものは認識してましたよ、えぇ。
「ご飯前にやる?」
「…」
今までの甘いムードはどこいった。
何で男の子はそっちに直結してんだろう。
私は手に持っていたみりんのペットボトルで叩いた。
「いてっ」
「ホラ、もうあっち行って。邪魔」
分かりやすく、ちぇーと口を尖らせる。
小林のこのよくするアヒル口、好き。かわいい。
「…」
私は背伸びして、その唇にチュッとキスをした。
「…」
小林が目を見開いた。
私からキスしたのは初めて。
エッチの最中、あんなに嫌がってたのが嘘みたいだ。
くる、と食材の方を向いてみりんと醤油を置いて「はい、あっちでお利口さんで待っててね」と言った。
「…何、今の!反則!」
顔を赤くした小林がガシ、と私の肩を掴む。グイッと小林の方を向かされた。
「ちょっと俺からもさせて。唇にキスするの嫌がるからずっと我慢してたのに!」
「えっ」
ゆっくり小林の顔が傾いてきて近づく。
私は固まったまま動けなかった。
唇が触れて軽く啄むようにちゅ、と音を立てたと思ったら、それはまるで始まりの合図のようで…。
一回離れたその後、もう一度触れた唇の中から、私の口をこじ開けるように舌が入ってきた。
ビクッとして反射的にのけぞるように後ろに頭を引きかけたら、もう片方の手が私の後頭部に添えられてそれ以上、下がれなくなってしまった。
されるがまま、私の口内を侵すように巧みに動く。
最初にされたのは貴典さんとの事を知った小林が怒って、私の部屋で無理矢理されたあの時がファーストキスで…こんなに優しくなく、私も気が動転してたのもあって正直覚えてない。
今考えると気持ちが伴ってない事故みたいなものだ。
だから優しく私の中で動くその舌にとても戸惑って、緊張して、息を止めていたので苦しくて心臓も止まりそうで…慌てて小林の腕を叩いた。
死ぬ!死ぬから!
グイ、とその胸を押し返し唇が離れてから、ぷはぁっと息を吸った。
「…長い!死ぬかと思ったじゃない!」
私がしたような、かわいい小鳥さんの啄みみたいなチュッくらいで終わるかと思いきや、長いし、なんかいろいろエロい!
「…もしかして息してなかった?」信じられないと言いたげな顔。
あんな舌でまさぐられたらどうやって息すんの。
「普通鼻で息するだろ」
「そんなのめっちゃ鼻息荒くなって恥ずかしいじゃない」
両手をぐっと握りしめる。
小林が目が点になった。
数秒黙って、その後口を押さえてぶぶっとこらえぎれずに笑った。
「…何それ。エッチは勉強してマスター称号級なのにキスは経験値ゼロってありえない」
「ちょっと」
それは褒めてるのかけなしてるのか、淫乱と言いたいのか。
「じゃあキスも勉強しよ」
目の前の瞳が楽しそうに細くなる。
いつもおちゃらけてる、うるさい小林じゃない。
その瞳に目を奪われていると、そのまま腕を引っ張られてソファーのとこまで連れて行かれた。
「勉強、好きでしょ?」
「カ、カツ丼…今から作るんだけど」
「もう後でいいよ」
ゆっくりと後ろのソファーに倒された。
「ようやくキス、していいんだ?」
上に覆い被さって跨って来た。
笑ったのでその前髪が揺れる。
「あんなに嫌がってたから、キスが嫌いなんだと思ってた」
「…だって、キス、はしたことなかったんだもん…」
恥ずかしくて、声が小さくなる。
私の言葉を聞いて、キスしようと顔を近づけていた小林が止まった。
「…はっ?」
「ファーストキス、はまだだったから…」
「…え?初体験はあのおっさんとしてんのに…?」
コクン、と頷く。
言葉が出ないらしく、しばらく経って小林は「…え?エッチしててキスはしてなかったって事?え?じゃあ、希望のファーストキスって…」と信じられないような表情で呟いた。
私は軽く睨んだ。
「…アンタしかいないじゃない」
それを聞いた小林は片手で顔を覆って、無言でそのままソファーに顔を突っ伏した。
私の上に覆い被さるようにして、真横で顔を伏せたままの小林の方を見る。
「ちょっと重い。何してんの」
「…いや、猛烈に反省してるのと、猛烈に喜びを噛み締めてる」
「何それ」
ガバッと起き上がる。
「いやいやいや、エッチしてキスしてないってどんなシチュエーションなんだよ!そういうお店じゃないんだから!あのおっさんはクズか!いやいや、しないでいてくれて俺的には良かったけど!」
そういうお店ではキスしない事あるんだ。
エロ王子だから無駄にそういう知識だけはある。
「え…あの時は急いでたから、頼み込むの必死でキスどころじゃなくて…」
「いやいや、おかしいって!前から思ってたけど、希望の感覚、ちょっとその辺の女子のとズレてるからね!?普段真面目なのに振り幅がすごいっつーか」
「そ、そう…?」
「そう!大体好きなヤツいんのに同級生にエッチしよって頼むのおかしいからね」
それのおかげでこうなってるんだけど…。
「だって俺の事好きって言ってても、他のヤツとも出来るって事だよね…」
ジロと睨まれる。
「さすがに付き合ってる彼氏がいたらしないよ…」
「もう、ホントしないで。なんかやりたい事あったら俺に言って!何でも要望にこたえるから!」
何でこんなに必死に言ってるんだろう。
思わず笑う。
「笑い事じゃないから」
全然信用してない目。
「…じゃあ早速要望に応えてもらっていい?」
私は小林を見つめた。
「…キス、教えてくれる?」
「…」
それまでふてくされ気味だった小林が一瞬黙った。びっくりしていたけど、ため息をついて、ちょっと笑った。
「…了解」
「何」
「付き合い出したからって、無理に誉めなくていいんだからね?」
こんな私をかわいいなんて頭おかしいって思われるよ?
「え?かわいいよ?」
「今までそんな事言わなかったじゃない!むしろブス呼ばわり…」
「誰、そんなひどいこと言ったの」
お前だよ!
小林は笑って
「ずっとかわいいって思ってたけど、言ったらキモいって言うかなーと思って言わなかった」
といたずらっ子のように私の目を覗き込む。
「…キモい」
恥ずかしくなってその腕から逃れようとする。
「ホラ、そう言うじゃん」
と言いながら、「あ、なんか匂い嗅いでたら硬くなって来た」と少し下半身をずらした。
たしかにさっきから下で何か硬いものは認識してましたよ、えぇ。
「ご飯前にやる?」
「…」
今までの甘いムードはどこいった。
何で男の子はそっちに直結してんだろう。
私は手に持っていたみりんのペットボトルで叩いた。
「いてっ」
「ホラ、もうあっち行って。邪魔」
分かりやすく、ちぇーと口を尖らせる。
小林のこのよくするアヒル口、好き。かわいい。
「…」
私は背伸びして、その唇にチュッとキスをした。
「…」
小林が目を見開いた。
私からキスしたのは初めて。
エッチの最中、あんなに嫌がってたのが嘘みたいだ。
くる、と食材の方を向いてみりんと醤油を置いて「はい、あっちでお利口さんで待っててね」と言った。
「…何、今の!反則!」
顔を赤くした小林がガシ、と私の肩を掴む。グイッと小林の方を向かされた。
「ちょっと俺からもさせて。唇にキスするの嫌がるからずっと我慢してたのに!」
「えっ」
ゆっくり小林の顔が傾いてきて近づく。
私は固まったまま動けなかった。
唇が触れて軽く啄むようにちゅ、と音を立てたと思ったら、それはまるで始まりの合図のようで…。
一回離れたその後、もう一度触れた唇の中から、私の口をこじ開けるように舌が入ってきた。
ビクッとして反射的にのけぞるように後ろに頭を引きかけたら、もう片方の手が私の後頭部に添えられてそれ以上、下がれなくなってしまった。
されるがまま、私の口内を侵すように巧みに動く。
最初にされたのは貴典さんとの事を知った小林が怒って、私の部屋で無理矢理されたあの時がファーストキスで…こんなに優しくなく、私も気が動転してたのもあって正直覚えてない。
今考えると気持ちが伴ってない事故みたいなものだ。
だから優しく私の中で動くその舌にとても戸惑って、緊張して、息を止めていたので苦しくて心臓も止まりそうで…慌てて小林の腕を叩いた。
死ぬ!死ぬから!
グイ、とその胸を押し返し唇が離れてから、ぷはぁっと息を吸った。
「…長い!死ぬかと思ったじゃない!」
私がしたような、かわいい小鳥さんの啄みみたいなチュッくらいで終わるかと思いきや、長いし、なんかいろいろエロい!
「…もしかして息してなかった?」信じられないと言いたげな顔。
あんな舌でまさぐられたらどうやって息すんの。
「普通鼻で息するだろ」
「そんなのめっちゃ鼻息荒くなって恥ずかしいじゃない」
両手をぐっと握りしめる。
小林が目が点になった。
数秒黙って、その後口を押さえてぶぶっとこらえぎれずに笑った。
「…何それ。エッチは勉強してマスター称号級なのにキスは経験値ゼロってありえない」
「ちょっと」
それは褒めてるのかけなしてるのか、淫乱と言いたいのか。
「じゃあキスも勉強しよ」
目の前の瞳が楽しそうに細くなる。
いつもおちゃらけてる、うるさい小林じゃない。
その瞳に目を奪われていると、そのまま腕を引っ張られてソファーのとこまで連れて行かれた。
「勉強、好きでしょ?」
「カ、カツ丼…今から作るんだけど」
「もう後でいいよ」
ゆっくりと後ろのソファーに倒された。
「ようやくキス、していいんだ?」
上に覆い被さって跨って来た。
笑ったのでその前髪が揺れる。
「あんなに嫌がってたから、キスが嫌いなんだと思ってた」
「…だって、キス、はしたことなかったんだもん…」
恥ずかしくて、声が小さくなる。
私の言葉を聞いて、キスしようと顔を近づけていた小林が止まった。
「…はっ?」
「ファーストキス、はまだだったから…」
「…え?初体験はあのおっさんとしてんのに…?」
コクン、と頷く。
言葉が出ないらしく、しばらく経って小林は「…え?エッチしててキスはしてなかったって事?え?じゃあ、希望のファーストキスって…」と信じられないような表情で呟いた。
私は軽く睨んだ。
「…アンタしかいないじゃない」
それを聞いた小林は片手で顔を覆って、無言でそのままソファーに顔を突っ伏した。
私の上に覆い被さるようにして、真横で顔を伏せたままの小林の方を見る。
「ちょっと重い。何してんの」
「…いや、猛烈に反省してるのと、猛烈に喜びを噛み締めてる」
「何それ」
ガバッと起き上がる。
「いやいやいや、エッチしてキスしてないってどんなシチュエーションなんだよ!そういうお店じゃないんだから!あのおっさんはクズか!いやいや、しないでいてくれて俺的には良かったけど!」
そういうお店ではキスしない事あるんだ。
エロ王子だから無駄にそういう知識だけはある。
「え…あの時は急いでたから、頼み込むの必死でキスどころじゃなくて…」
「いやいや、おかしいって!前から思ってたけど、希望の感覚、ちょっとその辺の女子のとズレてるからね!?普段真面目なのに振り幅がすごいっつーか」
「そ、そう…?」
「そう!大体好きなヤツいんのに同級生にエッチしよって頼むのおかしいからね」
それのおかげでこうなってるんだけど…。
「だって俺の事好きって言ってても、他のヤツとも出来るって事だよね…」
ジロと睨まれる。
「さすがに付き合ってる彼氏がいたらしないよ…」
「もう、ホントしないで。なんかやりたい事あったら俺に言って!何でも要望にこたえるから!」
何でこんなに必死に言ってるんだろう。
思わず笑う。
「笑い事じゃないから」
全然信用してない目。
「…じゃあ早速要望に応えてもらっていい?」
私は小林を見つめた。
「…キス、教えてくれる?」
「…」
それまでふてくされ気味だった小林が一瞬黙った。びっくりしていたけど、ため息をついて、ちょっと笑った。
「…了解」
0
あなたにおすすめの小説
憧れのお姉さんは淫らな家庭教師
馬衣蜜柑
恋愛
友達の恋バナに胸を躍らせる教え子・萌音。そんな彼女を、美咲は優しく「大人の身体」へと作り替えていく。「ねえ萌音ちゃん、お友達よりも……気持ちよくしてあげる」眼鏡の家庭教師が教えるのは、教科書には載っていない「女同士」の極上の溶け合い方。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
友達婚~5年もあいつに片想い~
日下奈緒
恋愛
求人サイトの作成の仕事をしている梨衣は
同僚の大樹に5年も片想いしている
5年前にした
「お互い30歳になっても独身だったら結婚するか」
梨衣は今30歳
その約束を大樹は覚えているのか
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
ワケあって、お見合い相手のイケメン社長と山で一夜を過ごすことになりました。
紫月あみり
恋愛
※完結! 焚き火の向かい側に座っているのは、メディアでも話題になったイケメン会社経営者、藤原晃成。山奥の冷えた外気に、彼が言い放った。「抱き合って寝るしかない」そんなの無理。七時間前にお見合いしたばかりの相手なのに!? 応じない私を、彼が羽交い締めにして膝の上に乗せる。向き合うと、ぶつかり合う私と彼の視線。運が悪かっただけだった。こうなったのは――結婚相談所で彼が私にお見合いを申し込まなければ、妹から直筆の手紙を受け取らなければ、そもそも一ヶ月前に私がクマのマスコットを失くさなければ――こんなことにならなかった。彼の腕が、私を引き寄せる。私は彼の胸に顔を埋めた……
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる