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第七章 秘伝と任されたもの
422 思わぬ過程
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果泉の生やした神木は、ぐんぐん伸びて淡い光を降らせながら成長し、かつての神木の映像と重なった。
《果泉ね! このまえ、ユウキおねえちゃんたちと、トト◯をみたの! あのもりのようせいさんすごかったの! おっきな木をねっ、こうやって生やしてねっ》
普通ではあり得ないことをした果泉は、ふんすふんすと鼻息荒く、興奮気味に胸を張っていた。
「そっか~。おんなじこと出来るとか、すごいなあ、果泉ちゃんは」
「すばらしい才能ですよ。疲れてはいませんか? あちらでジュースを用意しましょう」
虎徹や伊調が完全におじいちゃん化して甘やかそうとしている。
神木がいきなり生えて来た驚きとかはどうでもいいらしい。これぞお孫様マジック。『ウチの孫は凄い!』で終わる不思議現象だ。
《えへへ。ちょっとがんばった! けど、あと二本いるよね? それやったら、おじいちゃんたちとおちゃする~》
「なんとっ。働き者ですなあっ」
「おおっ。無理せんようになあ。助かるぞいっ」
《がんばるよー!》
「「「「「おお~」」」」」
まだ完全に暗くなっていないはずなのだが、深夜テンション並みに果泉を中心にして、おじいちゃん化、おばあちゃん化した者達が落ち着きなくなっている。
「……まあ……いいか」
特に問題はなさそうなので、放置することに決めた高耶だ。こちらは果泉に任せてしまっても良いだろう。終わってもおじいちゃんとおばあちゃんが相手をしてくれるはずだ。
高耶は清晶の洗濯技によって穢れが剥がれ、今やグッタリとして水に巻かれている土地神を確認しに向かう。
だが、そちらに近付くということは、鬼達に近付くということだ。神から通された穢れは、ほとんどかわ浄化されたが、惹きつけられるように鬼達が出てきた場所には残った穢れが集まっている。
鬼達が出て来たのも、その穢れが落ちた場所。そこに穢れが更に湧き出してきて、沼のようになった所から鬼が這い出してきたのだ。
そして、近付くことで感じたのは、不快な臭いだ。
「っ……なんだ? 何の臭い……っ、まさか……っ」
最終的に出て来た鬼達は全部で七体。子どもの姿ではなく、大きく少し醜くなった鬼の姿だ。そんな鬼達を、橘の一族の者達が結界で拘束し、倒すための場所を用意している所へと一体ずつ誘導していく。
これからいよいよ戦闘だ。そんな作業のように準備が進められる中、焔泉は不審に思っていた。
「こんなに居るとはなあ。しかし、暴れることがないのは奇妙な……」
「結界に囲われているからだろうぜ」
「そのような機能があるとは聞いておらんが?」
達喜が鋭い視線で警戒しながら移動して来た一体の鬼を見つめる。
戦う場所は、土地神から百メートル離れた場所。しかし、神木が立ったことで、戦闘に使える範囲は狭くなっているのは問題だ。
ゆったりとした速度で歩いて来るままに、結界の範囲を横移動させてきた。よって、他の六体のように結界に阻まれて前に進めず、体当たりされているようなことにもなっていない。
「目の色がな……俺が見たのと違う」
「目……」
「もっと血走ってたんだよ。大暴れしてた。何かに突き動かされてる感じの暴れ方だったぜ……」
「それが視えたのなら、これは妙だな……」
「ただ……あんな木は視てねえ」
達喜が目を向けた所には、三本目の神木が生えようとしていた。
「結界も破られるのがあった」
「ほお……」
「それを伝えてあるから、かなりギリギリまで修行したみたいだがな」
「うむ。未来は変えていくものだ」
「ああ。良い方に変わったのは、ここに来る前に少し確認はしてきた。完全に視えなかったがな」
「ほお」
「結末は確認した」
達喜が落ち着いていたのはそのせいだ。ギリギリまで待って、結末を確認したようだ。これ以上、未来が変わらないという周りの状況や状態を確定させてから視ないと意味がない。
「面白くない見方だのお」
「いや、俺。ドラマとかでも全部撮り溜めして最終回の最後だけ見てから始めから観るタイプだから」
「……変わっておるなあ……」
「一族の奴は結構それ派だぜ? こう~、過程が中々楽しめないのが多い。だから、初回と最終話だけしか観なかったりするとか」
「分からんでもないか……」
夢咲家の者達は、その精度こそ違うが、夢で未来を視る。未来とは不安定で不確定なもの。重要な事が決まるものならば、その未来を良いものに変えようと助言する。そうして、簡単に未来が変わるのを知ってしまうと、色々冷めてしまったりするらしい。
「まあ、高耶が居ると、過程も楽しめるんだけどな。んで、初見がやっぱおもろい」
「それが本音やな? まったく、この危機的状況で……不謹慎やわ~」
「はいはい。すんませんねえ。ほれ、暴れ出すぜ? 結界を……」
「待ってください!!」
結界を解き、今まさに戦闘準備にかかった一同は、高耶のその声に動きを止める。
そして、高耶は思わぬ者に援軍を求めた。
「『おいでください妖精女王! 妖精王!』」
扉が現れた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
《果泉ね! このまえ、ユウキおねえちゃんたちと、トト◯をみたの! あのもりのようせいさんすごかったの! おっきな木をねっ、こうやって生やしてねっ》
普通ではあり得ないことをした果泉は、ふんすふんすと鼻息荒く、興奮気味に胸を張っていた。
「そっか~。おんなじこと出来るとか、すごいなあ、果泉ちゃんは」
「すばらしい才能ですよ。疲れてはいませんか? あちらでジュースを用意しましょう」
虎徹や伊調が完全におじいちゃん化して甘やかそうとしている。
神木がいきなり生えて来た驚きとかはどうでもいいらしい。これぞお孫様マジック。『ウチの孫は凄い!』で終わる不思議現象だ。
《えへへ。ちょっとがんばった! けど、あと二本いるよね? それやったら、おじいちゃんたちとおちゃする~》
「なんとっ。働き者ですなあっ」
「おおっ。無理せんようになあ。助かるぞいっ」
《がんばるよー!》
「「「「「おお~」」」」」
まだ完全に暗くなっていないはずなのだが、深夜テンション並みに果泉を中心にして、おじいちゃん化、おばあちゃん化した者達が落ち着きなくなっている。
「……まあ……いいか」
特に問題はなさそうなので、放置することに決めた高耶だ。こちらは果泉に任せてしまっても良いだろう。終わってもおじいちゃんとおばあちゃんが相手をしてくれるはずだ。
高耶は清晶の洗濯技によって穢れが剥がれ、今やグッタリとして水に巻かれている土地神を確認しに向かう。
だが、そちらに近付くということは、鬼達に近付くということだ。神から通された穢れは、ほとんどかわ浄化されたが、惹きつけられるように鬼達が出てきた場所には残った穢れが集まっている。
鬼達が出て来たのも、その穢れが落ちた場所。そこに穢れが更に湧き出してきて、沼のようになった所から鬼が這い出してきたのだ。
そして、近付くことで感じたのは、不快な臭いだ。
「っ……なんだ? 何の臭い……っ、まさか……っ」
最終的に出て来た鬼達は全部で七体。子どもの姿ではなく、大きく少し醜くなった鬼の姿だ。そんな鬼達を、橘の一族の者達が結界で拘束し、倒すための場所を用意している所へと一体ずつ誘導していく。
これからいよいよ戦闘だ。そんな作業のように準備が進められる中、焔泉は不審に思っていた。
「こんなに居るとはなあ。しかし、暴れることがないのは奇妙な……」
「結界に囲われているからだろうぜ」
「そのような機能があるとは聞いておらんが?」
達喜が鋭い視線で警戒しながら移動して来た一体の鬼を見つめる。
戦う場所は、土地神から百メートル離れた場所。しかし、神木が立ったことで、戦闘に使える範囲は狭くなっているのは問題だ。
ゆったりとした速度で歩いて来るままに、結界の範囲を横移動させてきた。よって、他の六体のように結界に阻まれて前に進めず、体当たりされているようなことにもなっていない。
「目の色がな……俺が見たのと違う」
「目……」
「もっと血走ってたんだよ。大暴れしてた。何かに突き動かされてる感じの暴れ方だったぜ……」
「それが視えたのなら、これは妙だな……」
「ただ……あんな木は視てねえ」
達喜が目を向けた所には、三本目の神木が生えようとしていた。
「結界も破られるのがあった」
「ほお……」
「それを伝えてあるから、かなりギリギリまで修行したみたいだがな」
「うむ。未来は変えていくものだ」
「ああ。良い方に変わったのは、ここに来る前に少し確認はしてきた。完全に視えなかったがな」
「ほお」
「結末は確認した」
達喜が落ち着いていたのはそのせいだ。ギリギリまで待って、結末を確認したようだ。これ以上、未来が変わらないという周りの状況や状態を確定させてから視ないと意味がない。
「面白くない見方だのお」
「いや、俺。ドラマとかでも全部撮り溜めして最終回の最後だけ見てから始めから観るタイプだから」
「……変わっておるなあ……」
「一族の奴は結構それ派だぜ? こう~、過程が中々楽しめないのが多い。だから、初回と最終話だけしか観なかったりするとか」
「分からんでもないか……」
夢咲家の者達は、その精度こそ違うが、夢で未来を視る。未来とは不安定で不確定なもの。重要な事が決まるものならば、その未来を良いものに変えようと助言する。そうして、簡単に未来が変わるのを知ってしまうと、色々冷めてしまったりするらしい。
「まあ、高耶が居ると、過程も楽しめるんだけどな。んで、初見がやっぱおもろい」
「それが本音やな? まったく、この危機的状況で……不謹慎やわ~」
「はいはい。すんませんねえ。ほれ、暴れ出すぜ? 結界を……」
「待ってください!!」
結界を解き、今まさに戦闘準備にかかった一同は、高耶のその声に動きを止める。
そして、高耶は思わぬ者に援軍を求めた。
「『おいでください妖精女王! 妖精王!』」
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