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シェリスタ・ハーディーは戸惑っている 2
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年も暮れてきて、相変わらずお付き合いは順調に続いている。まだ不安もあるから、もし何かあった時の心の支えとしてスワンプヴァインを育て始めた。
もしこの関係が駄目になったらもう人間との恋愛は諦めて、魔道具で性欲処理して、研究一筋に人類の発展のために生きていこう。それでいいじゃないか。
今日は同期で忘年会があるらしい。気乗りしなそうなライオットに、「同期と繋がっておくと後々研究を進めるために役立つことあるよ」と言ったはいいが、彼の同期であまり優秀な人が居なかったかもと思い出した。余計なこと言ってしまったような気もする。
しかし、私一人としかまともに付き合いが無い彼のことを、少し心配している自分もいる。彼には彼に合った世界があるかもしれないし、それに出会える可能性を先輩として潰していいのかという懸念もあった。
スワンプヴァインに水をあげると、スマフォンを念のため確認する。同期の飲み会なので危険は無いとは思うが、もし彼の魔力の動きが乱れるようなら、すぐに迎えに行こうと決めていた。
研究所の研究員は、魔力が高い人が多く、様々トラブルに巻き込まれることが多い。誘拐されて違法な研究を手伝わされたり、媚薬のようなものを飲まされて自爆テロのようなことをさせられたりと多くのトラブルが日々起きている。
研究員は身に危険が及んだ時にすぐに、魔力値の判定、分析、位置情報が分かるように、アプリに魔力を登録されている。上司と部下の関係にあたる場合は、バディ登録がされており、相手の身に何か危険が及んだ際に、一番初めに連絡が行く事になっている。
ホットレモネードを入れるとふーふーしながら、ソファーに座る。論文を読もうと手に取るが、集中できない。
以前付き合っていた人たちは私が論文や専門書を読むのを”小賢しい”と嫌がった。研究が立て込んだり、学会に発表する資料作成に追われて残業をしたり、休日も働いているのを見て、”女のクセに生意気”だとも言った。
私は普通に仕事をしているだけなのに、私の生活に口出しをしてくるお前は何様なんだと思うが、当時は何故か自分が悪いような気がして、恋人に合わせて行動したりしたが、段々付き合う理由が分からなくなった。
”小動物のような少女のような可憐な見た目なのに、セックスに貪欲で引く”とも言われたな。魔力量多いのは知っていたはずなのに、私のことを従順で可愛いただのオンナノコだと思っていたのだろうか。
いっそのこと、妖艶な美女に生まれていたらもっとマシだったのかなとも思うけれど、持って生まれたこの容姿はどうしようもない。勝手に夢見て、勝手に夢破れて、腹いせに言葉の暴力をふるって、頭が悪過ぎる。
過去に通り過ぎて行った男たちのことを考えていると、本当に落ち込んでくる。
ライオットと出会うまでは、普通に自分の思うままに生きていくことは、大変なことだから仕方ないと多くのことを諦めていた。彼に好きだと言われて、大事にされて、魔力量多いあるあるで笑って、こんなに自然に穏やかに過ごせる日々があるものなんだなと呆然とする。
「はあ、ライオット好き」
口に出すと、ぐるぐるとした思考が少しすっきりした気がした。早く帰ってこないかな。会いたいな。抱きしめてもらいたいな。少し浮上した気分で、レモネードを口につけると、スマフォンのアラームがけたたましく鳴った。
画面を見れば、「ライオット・ルセック 魔力量が危険水域まで急上昇」とアラートが表示されていた。
◇◇◇
私はスマフォンの位置情報に従って、移転の魔法陣を素早く展開する。着いたのは、三番街のオルックの店だった。ライオットが力なく座っていた。
「ライオット、魔力暴走しちゃった?」
その眼はうつろで涙で濡れていた。何か飲まされたんだと直感したが、不謹慎にも無防備な泣き顔を見てきゅんとしてしまった。
「やだっ泣き顔?きゃわっ!」
「え?」
「こほん、何でもない。で、これはどう言う状況?」
心の声が漏れていたのをごまかすようにわざと真剣な顔を作る。
「ハーディー先輩、コレは違うんです!全然離れてくれなくて、彼女いるからって言ったんですけど」
その表情を何かと勘違いしたようで、隣にひっついてる女子について言い訳を始めるライオット。自分が大変な時だっていうのに、私が”彼が浮気をしている現場を見て怒っている”と誤解したのかな。
天井がぶち抜かれてて、涙で顔を濡らして絶望した顔をしたライオットを見てそんなこと思うわけないのにね、そういうとこだぞ。可愛いな、ほんと。
「ソレじゃなくて。何か飲まされたでしょ?魔力の動きがおかしいよ」
スマフォンで彼の魔力の動きを確認する。彼の首筋に手を当てて脈を図る。脈が速い。急がないと次の暴発が来そうだ。薬物を飲まされた証拠として、異空間収納スペースに常備している試験管を取り出し、吐瀉物を採取した。
「何よこのチビ女!私のライオット君に触らないで!」
すっかり存在を忘れていた突き飛ばされて尻餅ついたパンツ丸出し女が、いきなり叫びだした。それよりも早く救護を呼ばないと、一秒でも時間が惜しいけど、一言言わないと気が済まない。私のライに何してくれるんだよ。
「あなたこそ誰?私の彼に何したのよ。魔力量が多い人にそんなの飲ませたら、下手すると死ぬんだから」
はあ。ほんとにまじで頭悪い人と同じ空気を吸ってるだけで疲れる。まだ何かぎゃんぎゃん言っているけど、スマフォンですぐに救護要請をする。
「シェリスタ・ハーディーです。バディのライオット・ルセックが違法ドラッグ”Z”を飲まされ、魔力暴走を起こしてます。三番街のオルックの店まで救護要請します」
通信を切るとすぐに別の移転の魔法時が現れて、警官と看護師が到着した。仕事が早くて助かる。警官の一人にさっき採取した吐瀉物が入った試験管を渡す。
パンツ丸出し女がぎゃんぎゃん叫びながら連行されていく。看護師さんがライオットに解毒剤を飲ませる。ふう、良かった。これで少しは安心だ。私は彼の横に座ると、涙やら鼻水やら吐瀉物やらで汚れてしまった顔を拭いてあげた。
同期だけの飲み会でこんな目に合わされるなんて、不憫すぎる。彼は、私のそばにいた方がいい。少しづつ彼が付き合いたいという人を見つけて、人脈は広げて行けばいいのだ。
「ハーディーさん、ルセックさんどうします?娼館手配しますか。一応解毒剤は飲ませましたけど、強力なドラッグなので、48時間以内に何度か強い揺り返しが来ると思います」
看護師さんが不安そうに話しかけてきた。
「私が介抱しますので、大丈夫です。部長に事情を説明しておいていただけますか。三日位お休みしますともお願いします」
「分かりました。あなた程の魔力量があれば、大丈夫ですね。正直、ルセックさんの魔力量だと、解毒完了するまでこの町の娼館全て使い切ってしまうかもしれないと懸念してたんです」
「本当に助かりました」と看護師さんは両手で私の手を握るとぶんぶんと握手して、魔法陣で帰っていった。
私は所在なさげにこっちを見ているライオットに風魔法をかけて軽くして、一瞬肩に抱えるか悩んだが、お腹が苦しかったら可哀そうだと思い、お姫様抱っこをした。
そして「では、皆さん良い夜を」と”もう二度とライオットをお前らの飲み会なんかに参加させないからな”という暗黒の笑顔を浮かべて、移転の魔法陣で部屋に戻った。
◇◇◇
ライオットをソファーの上に下ろすと、とても悲しそうな顔をしたライオットを抱きしめた。何も悪くないのに。
ライオットが困っていても誰も助けない奴等、魔力暴走しても手伝おうともしない奴等。普通の人たちには魔力暴走は恐ろしい事なのかもしれないけれど、別に彼は怪物でも何でもない。魔力量が多いだけのただの人間だ。
人は自分に無い価値観を受け入れるのは難しいのだ。それを無視して世界を理解した気になって、いっちょ前に人生語ったり人に説教したり、嫌がらせをしたり、許しがたい。嫌な思いをするのはいつもマイノリティだ。
「大変だったね。他人からもらった飲み物は飲まない方がいいね。最近、魔力量が少なくても、楽しくセックスできる違法ドラッグが流行ってるらしいから。私たちがそんなの飲んだら、大変なことになっちゃうよ」
「気を付けます…。また迷惑かけちゃって、すみません…」
「雨に濡れた犬みたいに可愛い…んんん、可哀そうになってるね」
何も悪い事してないのにと、いい子いい子してあげる。
「もうなんか自己嫌悪過ぎて。自分が性交は生理現象と思っていたことは否定しないし、今でも根本はそうだと思いますけど、相手も心があるわけですし、もっと相手のことを考えないといけなかったのかもしれませんね」
パンツ丸出し女は、中等部に付き合っていた元カノだった。そんな昔の話を根に持っていてあんなことしたとしたら、何て人生損してるんだろうと思う。けれどそういう恨みを糧に生きている人種は一定数存在しているのだ。
「そうかもだけど、結局合意のもとに致したわけだし仕方がない部分もあるよね。そういう話って、”魔力量多い人あるある”でもあるよね」
そうやって人は学んでいくものだしなあとぼんやりと思う。落ち込んでいるライオットが可愛くて、もっとくっつきたくなって太ももの上に座る。両手で顔の向きを変えると、私からキスをする。
頑張る真面目な可愛いライオットをずっと見ていたい。一緒に生きていきたい。
私の後頭部を手で支えて、彼が深いキスをくれる。大きく繊細な手が私の胸に恐る恐る触れる。それだけでもう声が出てしまう。私は、ライオットの下腹部を優しく触れる。太ももに座った時から分かっていたけれど、それは既に固く立ち上がっている。解毒剤が効いているとはいえ、まだまだつらいはずだ。
「やっぱりダメです。今日は本当に我慢できない。先輩のことめちゃくちゃにしてしまいそうです。自分の部屋に帰ります」
私を太ももの上からどかそうと両脇に手を入れて持ち上げようとするので、それをかわすと私は彼の耳元でささやく。
「好きに挿れても、いいよ」
「……っ…」
もしこの関係が駄目になったらもう人間との恋愛は諦めて、魔道具で性欲処理して、研究一筋に人類の発展のために生きていこう。それでいいじゃないか。
今日は同期で忘年会があるらしい。気乗りしなそうなライオットに、「同期と繋がっておくと後々研究を進めるために役立つことあるよ」と言ったはいいが、彼の同期であまり優秀な人が居なかったかもと思い出した。余計なこと言ってしまったような気もする。
しかし、私一人としかまともに付き合いが無い彼のことを、少し心配している自分もいる。彼には彼に合った世界があるかもしれないし、それに出会える可能性を先輩として潰していいのかという懸念もあった。
スワンプヴァインに水をあげると、スマフォンを念のため確認する。同期の飲み会なので危険は無いとは思うが、もし彼の魔力の動きが乱れるようなら、すぐに迎えに行こうと決めていた。
研究所の研究員は、魔力が高い人が多く、様々トラブルに巻き込まれることが多い。誘拐されて違法な研究を手伝わされたり、媚薬のようなものを飲まされて自爆テロのようなことをさせられたりと多くのトラブルが日々起きている。
研究員は身に危険が及んだ時にすぐに、魔力値の判定、分析、位置情報が分かるように、アプリに魔力を登録されている。上司と部下の関係にあたる場合は、バディ登録がされており、相手の身に何か危険が及んだ際に、一番初めに連絡が行く事になっている。
ホットレモネードを入れるとふーふーしながら、ソファーに座る。論文を読もうと手に取るが、集中できない。
以前付き合っていた人たちは私が論文や専門書を読むのを”小賢しい”と嫌がった。研究が立て込んだり、学会に発表する資料作成に追われて残業をしたり、休日も働いているのを見て、”女のクセに生意気”だとも言った。
私は普通に仕事をしているだけなのに、私の生活に口出しをしてくるお前は何様なんだと思うが、当時は何故か自分が悪いような気がして、恋人に合わせて行動したりしたが、段々付き合う理由が分からなくなった。
”小動物のような少女のような可憐な見た目なのに、セックスに貪欲で引く”とも言われたな。魔力量多いのは知っていたはずなのに、私のことを従順で可愛いただのオンナノコだと思っていたのだろうか。
いっそのこと、妖艶な美女に生まれていたらもっとマシだったのかなとも思うけれど、持って生まれたこの容姿はどうしようもない。勝手に夢見て、勝手に夢破れて、腹いせに言葉の暴力をふるって、頭が悪過ぎる。
過去に通り過ぎて行った男たちのことを考えていると、本当に落ち込んでくる。
ライオットと出会うまでは、普通に自分の思うままに生きていくことは、大変なことだから仕方ないと多くのことを諦めていた。彼に好きだと言われて、大事にされて、魔力量多いあるあるで笑って、こんなに自然に穏やかに過ごせる日々があるものなんだなと呆然とする。
「はあ、ライオット好き」
口に出すと、ぐるぐるとした思考が少しすっきりした気がした。早く帰ってこないかな。会いたいな。抱きしめてもらいたいな。少し浮上した気分で、レモネードを口につけると、スマフォンのアラームがけたたましく鳴った。
画面を見れば、「ライオット・ルセック 魔力量が危険水域まで急上昇」とアラートが表示されていた。
◇◇◇
私はスマフォンの位置情報に従って、移転の魔法陣を素早く展開する。着いたのは、三番街のオルックの店だった。ライオットが力なく座っていた。
「ライオット、魔力暴走しちゃった?」
その眼はうつろで涙で濡れていた。何か飲まされたんだと直感したが、不謹慎にも無防備な泣き顔を見てきゅんとしてしまった。
「やだっ泣き顔?きゃわっ!」
「え?」
「こほん、何でもない。で、これはどう言う状況?」
心の声が漏れていたのをごまかすようにわざと真剣な顔を作る。
「ハーディー先輩、コレは違うんです!全然離れてくれなくて、彼女いるからって言ったんですけど」
その表情を何かと勘違いしたようで、隣にひっついてる女子について言い訳を始めるライオット。自分が大変な時だっていうのに、私が”彼が浮気をしている現場を見て怒っている”と誤解したのかな。
天井がぶち抜かれてて、涙で顔を濡らして絶望した顔をしたライオットを見てそんなこと思うわけないのにね、そういうとこだぞ。可愛いな、ほんと。
「ソレじゃなくて。何か飲まされたでしょ?魔力の動きがおかしいよ」
スマフォンで彼の魔力の動きを確認する。彼の首筋に手を当てて脈を図る。脈が速い。急がないと次の暴発が来そうだ。薬物を飲まされた証拠として、異空間収納スペースに常備している試験管を取り出し、吐瀉物を採取した。
「何よこのチビ女!私のライオット君に触らないで!」
すっかり存在を忘れていた突き飛ばされて尻餅ついたパンツ丸出し女が、いきなり叫びだした。それよりも早く救護を呼ばないと、一秒でも時間が惜しいけど、一言言わないと気が済まない。私のライに何してくれるんだよ。
「あなたこそ誰?私の彼に何したのよ。魔力量が多い人にそんなの飲ませたら、下手すると死ぬんだから」
はあ。ほんとにまじで頭悪い人と同じ空気を吸ってるだけで疲れる。まだ何かぎゃんぎゃん言っているけど、スマフォンですぐに救護要請をする。
「シェリスタ・ハーディーです。バディのライオット・ルセックが違法ドラッグ”Z”を飲まされ、魔力暴走を起こしてます。三番街のオルックの店まで救護要請します」
通信を切るとすぐに別の移転の魔法時が現れて、警官と看護師が到着した。仕事が早くて助かる。警官の一人にさっき採取した吐瀉物が入った試験管を渡す。
パンツ丸出し女がぎゃんぎゃん叫びながら連行されていく。看護師さんがライオットに解毒剤を飲ませる。ふう、良かった。これで少しは安心だ。私は彼の横に座ると、涙やら鼻水やら吐瀉物やらで汚れてしまった顔を拭いてあげた。
同期だけの飲み会でこんな目に合わされるなんて、不憫すぎる。彼は、私のそばにいた方がいい。少しづつ彼が付き合いたいという人を見つけて、人脈は広げて行けばいいのだ。
「ハーディーさん、ルセックさんどうします?娼館手配しますか。一応解毒剤は飲ませましたけど、強力なドラッグなので、48時間以内に何度か強い揺り返しが来ると思います」
看護師さんが不安そうに話しかけてきた。
「私が介抱しますので、大丈夫です。部長に事情を説明しておいていただけますか。三日位お休みしますともお願いします」
「分かりました。あなた程の魔力量があれば、大丈夫ですね。正直、ルセックさんの魔力量だと、解毒完了するまでこの町の娼館全て使い切ってしまうかもしれないと懸念してたんです」
「本当に助かりました」と看護師さんは両手で私の手を握るとぶんぶんと握手して、魔法陣で帰っていった。
私は所在なさげにこっちを見ているライオットに風魔法をかけて軽くして、一瞬肩に抱えるか悩んだが、お腹が苦しかったら可哀そうだと思い、お姫様抱っこをした。
そして「では、皆さん良い夜を」と”もう二度とライオットをお前らの飲み会なんかに参加させないからな”という暗黒の笑顔を浮かべて、移転の魔法陣で部屋に戻った。
◇◇◇
ライオットをソファーの上に下ろすと、とても悲しそうな顔をしたライオットを抱きしめた。何も悪くないのに。
ライオットが困っていても誰も助けない奴等、魔力暴走しても手伝おうともしない奴等。普通の人たちには魔力暴走は恐ろしい事なのかもしれないけれど、別に彼は怪物でも何でもない。魔力量が多いだけのただの人間だ。
人は自分に無い価値観を受け入れるのは難しいのだ。それを無視して世界を理解した気になって、いっちょ前に人生語ったり人に説教したり、嫌がらせをしたり、許しがたい。嫌な思いをするのはいつもマイノリティだ。
「大変だったね。他人からもらった飲み物は飲まない方がいいね。最近、魔力量が少なくても、楽しくセックスできる違法ドラッグが流行ってるらしいから。私たちがそんなの飲んだら、大変なことになっちゃうよ」
「気を付けます…。また迷惑かけちゃって、すみません…」
「雨に濡れた犬みたいに可愛い…んんん、可哀そうになってるね」
何も悪い事してないのにと、いい子いい子してあげる。
「もうなんか自己嫌悪過ぎて。自分が性交は生理現象と思っていたことは否定しないし、今でも根本はそうだと思いますけど、相手も心があるわけですし、もっと相手のことを考えないといけなかったのかもしれませんね」
パンツ丸出し女は、中等部に付き合っていた元カノだった。そんな昔の話を根に持っていてあんなことしたとしたら、何て人生損してるんだろうと思う。けれどそういう恨みを糧に生きている人種は一定数存在しているのだ。
「そうかもだけど、結局合意のもとに致したわけだし仕方がない部分もあるよね。そういう話って、”魔力量多い人あるある”でもあるよね」
そうやって人は学んでいくものだしなあとぼんやりと思う。落ち込んでいるライオットが可愛くて、もっとくっつきたくなって太ももの上に座る。両手で顔の向きを変えると、私からキスをする。
頑張る真面目な可愛いライオットをずっと見ていたい。一緒に生きていきたい。
私の後頭部を手で支えて、彼が深いキスをくれる。大きく繊細な手が私の胸に恐る恐る触れる。それだけでもう声が出てしまう。私は、ライオットの下腹部を優しく触れる。太ももに座った時から分かっていたけれど、それは既に固く立ち上がっている。解毒剤が効いているとはいえ、まだまだつらいはずだ。
「やっぱりダメです。今日は本当に我慢できない。先輩のことめちゃくちゃにしてしまいそうです。自分の部屋に帰ります」
私を太ももの上からどかそうと両脇に手を入れて持ち上げようとするので、それをかわすと私は彼の耳元でささやく。
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