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1章
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「はぐれ精霊」とは、人間の守護精霊だった精霊のことであると言われている。
はぐれになってしまう精霊の特徴ははっきりとは解明されておらず、さまざまな説がある。
はぐれ精霊は学者たちが研究するも未だ謎な部分が多い精霊である。契約した精霊達に尋ねてみても精霊達すらもわからないらしく、曰く突然精霊界へ戻れなくなったものを指すらしいとか、守護していた人間が死を迎えてそのまま墓の側に居続けてただ帰らないからはぐれになったとか。
精霊界におらずこちらで人間と契約せずに暮らしている精霊を指しているとも言われている。定義がはっきりされておらず、昔の文献にもあまり記されていない。
ただ、精霊達は精霊召喚の儀で呼ばれない限りはこちらに来ることはできないらしいので人間の守護精霊だった精霊を指すことの方が多い。
話すことができる魔物は上位の魔物ならありうることらしいが、この目の前の大きめなネズミのような生き物が上位の魔物には見えない。
魔物図鑑でもネズミ型の魔物はいるがこのように大きくはないし、この風貌の魔物は図鑑で見たことがない。
第一この屋敷は魔物が入れないように結界を施しているとお父様から聞いたことがある。
それにしても精霊にしてはなんだか野性味があるというか、人間臭いというか……。
「あなた、本当に魔物ではないのね?」
「はい! どうか許してください!」
頭を押さえてブルブルと震えている様子を見ているとなんだかかわいそうになってきた。
ハンナに下ろすように言うと渋々ながらもはぐれ精霊に「逃げても無駄ですからね」と低い声で言って降ろした。
はぐれ精霊は土下座のような姿勢で未だ震えているもお腹がぐうぐうと鳴っている。
「お腹が空いているのね、でもこの花壇の花は大事に育てているものだからこれで勘弁してくれないかしら」
ポケットから紙に包んだアーモンドのクッキーを出して差し出すとバッと起き上がったはぐれ精霊は「私にですか……?」と信じられないものを見るような目で私を一瞬見るも差し出されたクッキーに釘付けになる。
「毒は入ってないわよ?私のおやつにする予定だったし」そう言ってクッキーを一枚齧って見せる。「ね?」と声を掛けると恐る恐る小さい前足?でクッキーを一枚手に取ってじっと見つめた後、思い切って口に入れた。びっくりしたような表情をした後サクサクと目にも止まらぬ速さで無言で食べ始めた。
前足で器用に食べながら髭はピクピク動いている。
よく見ると目はまんまるでこれは可愛い気もする……。
思わず撫でたい衝動を押さえながら食べている様子を見守っていると、はぐれ精霊はまんまるの黒目から涙がポロポロとこぼれ落ちていた。
口に合わなかったかと慌ててハンカチを取り出そうとすると、咀嚼音と交互に何やら耳に入ってくる。よく聞いてみると小さな声で
「美味しい、美味しい」
と何度も呟いていた。私はその様子を食べ終えるまで声を掛けずになんとなくだけど見ないようにしてずっと花壇の花を見つめていた。
「この御恩は一生かけてお返しします」
食べ終えたはぐれ精霊は先程よりもピシッとした様子で私にお礼を言った。少しだけ元気になった姿にホッとしながらも私は先程から気になっていることを聞いてみた。
「あなたはなぜこんなところへ? はぐれ精霊は人間の住むところではマナが少ないからいるはずがないと思っていたんだけど」
精霊は空腹をもともと感じない。空気中のマナを取り込むことで魔力を回復させていると言われている。
空気中に漂っているされるマナだが、もともと人間がいるところでは少なくて、自然のあるところが多いとされている。それは人間がマナを取り込んで魔法などを使っているからである。精霊は人間が保有している魔力を得ることで力が強くなると言われている。
はぐれ精霊なるものは契約している人間がいないため、魔力を得ることもできないためマナの多い森の中など人気のない場所にいるとさている。
「実は……ひっそりと暮らしてたのですが魔物にばれてしまい追いかけ回され住処を追われてしまったのです」
ここへどうやってきたのかと聞けば、魔物に執拗に追いかけ回されて体力がどんどん疲弊していった矢先にいつもは捕まらない野生鳥にくわえられてこの敷地に落とされてしまったらしい。運良く、植え込みに落ちて助かったもののマナを取り込めるほど体力もないところへ魔力を感じて辿ってみるとそこには私が植えた花があったので思わず食べてしまったとのことだった。
「だからといってお嬢様の育てていた花を食べるなんて……」
ハンナから絶対零度の視線を浴びせられてはぐれ精霊はまたもやブルブルと震え出す。
「まあまあ、ハンナ。お腹が空いていたのならしょうがないわ、それはともかく、魔力を感じてって言ってたけど花にも魔力ってあるのかしら?」
そう尋ねるとはぐれ精霊はおずおずと戸惑いながら答えてくれた。
「魔力自体は自然にあるものでしたら何にでも宿っているのですが……」
言葉をためらっているような様子に視線で先を促す。
「その……ここの花壇の花は特に強い魔力を感じて」
グレース様から言われた自分の魔力が濃いということを思い出す。お菓子のように手づから世話をしていたから私の濃い魔力が宿ったと言うことか。
先程からずっと考えていたことの突破口の糸口が見つかったような気がした。名案を思いついた私は口の端が自然に上がっているのが自分でもわかった。
「ねえ、あなたうちに来ない?」
その途端風が吹き抜けた。目の前のはぐれ精霊はぽかんとした表情で固まっていた。
はぐれになってしまう精霊の特徴ははっきりとは解明されておらず、さまざまな説がある。
はぐれ精霊は学者たちが研究するも未だ謎な部分が多い精霊である。契約した精霊達に尋ねてみても精霊達すらもわからないらしく、曰く突然精霊界へ戻れなくなったものを指すらしいとか、守護していた人間が死を迎えてそのまま墓の側に居続けてただ帰らないからはぐれになったとか。
精霊界におらずこちらで人間と契約せずに暮らしている精霊を指しているとも言われている。定義がはっきりされておらず、昔の文献にもあまり記されていない。
ただ、精霊達は精霊召喚の儀で呼ばれない限りはこちらに来ることはできないらしいので人間の守護精霊だった精霊を指すことの方が多い。
話すことができる魔物は上位の魔物ならありうることらしいが、この目の前の大きめなネズミのような生き物が上位の魔物には見えない。
魔物図鑑でもネズミ型の魔物はいるがこのように大きくはないし、この風貌の魔物は図鑑で見たことがない。
第一この屋敷は魔物が入れないように結界を施しているとお父様から聞いたことがある。
それにしても精霊にしてはなんだか野性味があるというか、人間臭いというか……。
「あなた、本当に魔物ではないのね?」
「はい! どうか許してください!」
頭を押さえてブルブルと震えている様子を見ているとなんだかかわいそうになってきた。
ハンナに下ろすように言うと渋々ながらもはぐれ精霊に「逃げても無駄ですからね」と低い声で言って降ろした。
はぐれ精霊は土下座のような姿勢で未だ震えているもお腹がぐうぐうと鳴っている。
「お腹が空いているのね、でもこの花壇の花は大事に育てているものだからこれで勘弁してくれないかしら」
ポケットから紙に包んだアーモンドのクッキーを出して差し出すとバッと起き上がったはぐれ精霊は「私にですか……?」と信じられないものを見るような目で私を一瞬見るも差し出されたクッキーに釘付けになる。
「毒は入ってないわよ?私のおやつにする予定だったし」そう言ってクッキーを一枚齧って見せる。「ね?」と声を掛けると恐る恐る小さい前足?でクッキーを一枚手に取ってじっと見つめた後、思い切って口に入れた。びっくりしたような表情をした後サクサクと目にも止まらぬ速さで無言で食べ始めた。
前足で器用に食べながら髭はピクピク動いている。
よく見ると目はまんまるでこれは可愛い気もする……。
思わず撫でたい衝動を押さえながら食べている様子を見守っていると、はぐれ精霊はまんまるの黒目から涙がポロポロとこぼれ落ちていた。
口に合わなかったかと慌ててハンカチを取り出そうとすると、咀嚼音と交互に何やら耳に入ってくる。よく聞いてみると小さな声で
「美味しい、美味しい」
と何度も呟いていた。私はその様子を食べ終えるまで声を掛けずになんとなくだけど見ないようにしてずっと花壇の花を見つめていた。
「この御恩は一生かけてお返しします」
食べ終えたはぐれ精霊は先程よりもピシッとした様子で私にお礼を言った。少しだけ元気になった姿にホッとしながらも私は先程から気になっていることを聞いてみた。
「あなたはなぜこんなところへ? はぐれ精霊は人間の住むところではマナが少ないからいるはずがないと思っていたんだけど」
精霊は空腹をもともと感じない。空気中のマナを取り込むことで魔力を回復させていると言われている。
空気中に漂っているされるマナだが、もともと人間がいるところでは少なくて、自然のあるところが多いとされている。それは人間がマナを取り込んで魔法などを使っているからである。精霊は人間が保有している魔力を得ることで力が強くなると言われている。
はぐれ精霊なるものは契約している人間がいないため、魔力を得ることもできないためマナの多い森の中など人気のない場所にいるとさている。
「実は……ひっそりと暮らしてたのですが魔物にばれてしまい追いかけ回され住処を追われてしまったのです」
ここへどうやってきたのかと聞けば、魔物に執拗に追いかけ回されて体力がどんどん疲弊していった矢先にいつもは捕まらない野生鳥にくわえられてこの敷地に落とされてしまったらしい。運良く、植え込みに落ちて助かったもののマナを取り込めるほど体力もないところへ魔力を感じて辿ってみるとそこには私が植えた花があったので思わず食べてしまったとのことだった。
「だからといってお嬢様の育てていた花を食べるなんて……」
ハンナから絶対零度の視線を浴びせられてはぐれ精霊はまたもやブルブルと震え出す。
「まあまあ、ハンナ。お腹が空いていたのならしょうがないわ、それはともかく、魔力を感じてって言ってたけど花にも魔力ってあるのかしら?」
そう尋ねるとはぐれ精霊はおずおずと戸惑いながら答えてくれた。
「魔力自体は自然にあるものでしたら何にでも宿っているのですが……」
言葉をためらっているような様子に視線で先を促す。
「その……ここの花壇の花は特に強い魔力を感じて」
グレース様から言われた自分の魔力が濃いということを思い出す。お菓子のように手づから世話をしていたから私の濃い魔力が宿ったと言うことか。
先程からずっと考えていたことの突破口の糸口が見つかったような気がした。名案を思いついた私は口の端が自然に上がっているのが自分でもわかった。
「ねえ、あなたうちに来ない?」
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