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2章
2−27
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教会孤児院に着くとちょうどマリウス神父が入り口から出てきたところだった。こちらに気づいたようで軽く会釈をする。
マリウス神父は不思議そうな表情で私とハンナをみた。「確か今日出立では?」と聞かれて、もうしばらく滞在することになったことを伝えると「そうですか」と納得したようだった。
外で挨拶をしながら、子供達の遊んでいる姿が見当たらず不思議に思っているとマリウス神父は私の表情から察したのか微笑んだ。
「今日は午前中の教会での集会が早く終わったので早めに子供達の魔法の訓練をするところなんですよ」
マリウス神父を先頭に中庭の方へそのまま案内される。この孤児院ではマリウス神父が子供達に基礎の魔力訓練から生活魔法を教えているらしい。中庭には数人の子供達が集まっていた。ちなみにリクは子供達に見つからないようにどこかに隠れている。リクはどうやらあまり子供が好きじゃないようだ。
「あ! お姉ちゃん達だ!」
何人かがこちらを指差して集まってきた。「遊びに来たの?」「連れてた精霊は?」「怖いお姉ちゃんだ」と一気に話しかけられて圧倒される。ハンナは「怖いお姉ちゃん」にすぐさま反応していたが。同じような年代の子供ってこんなに元気なのか……と思わず気圧されているとマリウス神父が子供達に声を掛けた。
「お前達、そんなに一気に喋られてはアリアさんが困ってしまうよ。さあ、訓練を始めるから来ていない子達を呼びに行ってきてくれないか」
そう言うと子供達は元気よく返事をした後一気にかけていった。少しほっとしているとマリウス神父は私の様子に苦笑した。
「よろしければ魔法の訓練を見学されませんか」
魔法の訓練に興味を持っていた私はマリウス神父の願ってもない申し出にありがたく受けることにして、そばで見学することになった。
話によると、魔力量の多さに関わらず最初はほぼ全員で授業を受けるという。だが、授業が進むにつれ魔力のほぼない子供達がわかってくるとその数人は違う場所で読み書きや、計算の問題をやっているらしい。フローラはそっちの方で下の子供達の勉強を見てあげているとのことだった。
人数がそろったのか訓練が始まった。マリウス神父は子供達を見渡しながら「では、最初はいつも通り魔力を体内で操作する訓練をしましょう」と声を掛けた。
すると皆それぞれ目を閉じて集中し始めた。子供達から魔力が感じられる。
これがうまくいかなくて魔力を暴発させちゃったんだよね……。
子供達の訓練を眺めながら屋敷でのことを思い出してほのかに暗い気持ちになる。
魔力量が多い子供が何人かいたようだがその子達はマリウス神父の前に固められているようだった。体外に魔力をふわふわと感じられたかと思うとすぐ霧散していく。マリウス神父は赤毛の男の子、フローラの弟のイアンのお腹に手を触れる。
「この辺りに集中して集めてごらん、丸く円を描くように……そう、そのまま円から細い枝が伸びるように体全体に行き渡らせるイメージで……」
するとイアンの周りに魔力の膜のようなものが張っていく。
「できた!」
イアンが嬉しそうに声を上げた途端、魔力が霧散してしまった。「あーあ」と残念そうに肩を落とすイアンに、マリウス神父は苦笑しながら「集中しなさいと言っているでしょう。もう一度思い出しながらやってみなさい」と肩を叩いた。
すごい……!私よりよっぽど上手だ!
思わず私もやってみたくなる気持ちをグッと抑えながら、見学しているだけでも勉強になりそうだと思い食い入るように見つめた。するとイアンがこちらをみて私と目が合った。イアンはにっこりと笑った。笑った顔はフローラにそっくりだな、と思わず呆けていると、イアンは何を思ったのかこちらへ近づいてきて私の手を取った。
「一緒にやろうよ!」
「え……でも……」
ここの子供でもない部外者なのにいいのだろうかと戸惑っているとマリウス神父がやってきた。
「よろしかったらアリアさんも参加されませんか?」
不安が一瞬よぎるも、グレース様におまじないをかけてもらったことを思い出す。訓練は欠かさず行うことを言われたばかりだし、と自分に言い聞かせて了承した。そしてイアンに手を引かれるがまま訓練に参加することになった。
イアンの隣に案内される。ドキドキしながらマリウス神父を見るとマリウス神父は微笑みながら「まずは少し深呼吸しましょうか」と私の緊張を感じ取ったのか深呼吸を促した。深呼吸しながら心を落ち着かせていく。マリウス神父は「ではそのまま深呼吸をしながら目を閉じましょう」と指示を出す。
言われるがまま目を閉じて深呼吸を繰り返した。
「呼吸の動きに合わせて心臓が動いていることを意識して。そして心臓から魔力が少しずつ血液と一緒に魔力が流れているのを感じて」
だんだん緊張していた呼吸が鼓動と共に落ち着いていく。
「お腹の辺りに集めて。そしてお腹からほそーく木の枝が伸びるのを想像して……頭のてっぺんから足の指先まで」
身体が暖かくなっていく。ぽかぽかとひだまりに包まれているような感覚がした途端フッと魔力が霧散してしまった。
もう少しで何か感覚が掴めそうだったのにと残念に思いながら目を開けるとマリウス神父が驚いた表情で私をみていた。
「アリアさんはとても魔力が多いようですね。しかも魔力量が多いとまず魔力を一箇所に集めることも難しく、すぐに霧散してしまうのですがここまでできるとは」
「ありがとうございまいます。でも、魔力訓練がうまくいかないことが多くて……」
そう思わずこぼすとマリウス神父は朗らかに笑った。
「あなたくらいの年代でしたらまだまだ練習次第で良くなりますよ。どうですか? この町に滞在する間しばらくこちらに通うのはいかがですかな」
「でも、ここの子供でもないのに良いのですか?」
「気にすることはありませんよ。他の子にとって刺激になるでしょうし。ああ、それならまたフローラとお菓子を作っていただけないでしょうか」
思わぬ提案に目を丸くするとマリウス神父は小声で言った。
「実は最近塞ぎ込んでいたフローラがあなたと過ごした昨日がとっても楽しかったようで久しぶりに笑顔を見ることができてホッとしたんです」
マリウス神父は嬉しそうに笑った。その顔をみた私は脳裏に昨日のフローラの姿が浮かんだ。そうして私はマリウス神父に二つ返事で参加することとなった。
マリウス神父は不思議そうな表情で私とハンナをみた。「確か今日出立では?」と聞かれて、もうしばらく滞在することになったことを伝えると「そうですか」と納得したようだった。
外で挨拶をしながら、子供達の遊んでいる姿が見当たらず不思議に思っているとマリウス神父は私の表情から察したのか微笑んだ。
「今日は午前中の教会での集会が早く終わったので早めに子供達の魔法の訓練をするところなんですよ」
マリウス神父を先頭に中庭の方へそのまま案内される。この孤児院ではマリウス神父が子供達に基礎の魔力訓練から生活魔法を教えているらしい。中庭には数人の子供達が集まっていた。ちなみにリクは子供達に見つからないようにどこかに隠れている。リクはどうやらあまり子供が好きじゃないようだ。
「あ! お姉ちゃん達だ!」
何人かがこちらを指差して集まってきた。「遊びに来たの?」「連れてた精霊は?」「怖いお姉ちゃんだ」と一気に話しかけられて圧倒される。ハンナは「怖いお姉ちゃん」にすぐさま反応していたが。同じような年代の子供ってこんなに元気なのか……と思わず気圧されているとマリウス神父が子供達に声を掛けた。
「お前達、そんなに一気に喋られてはアリアさんが困ってしまうよ。さあ、訓練を始めるから来ていない子達を呼びに行ってきてくれないか」
そう言うと子供達は元気よく返事をした後一気にかけていった。少しほっとしているとマリウス神父は私の様子に苦笑した。
「よろしければ魔法の訓練を見学されませんか」
魔法の訓練に興味を持っていた私はマリウス神父の願ってもない申し出にありがたく受けることにして、そばで見学することになった。
話によると、魔力量の多さに関わらず最初はほぼ全員で授業を受けるという。だが、授業が進むにつれ魔力のほぼない子供達がわかってくるとその数人は違う場所で読み書きや、計算の問題をやっているらしい。フローラはそっちの方で下の子供達の勉強を見てあげているとのことだった。
人数がそろったのか訓練が始まった。マリウス神父は子供達を見渡しながら「では、最初はいつも通り魔力を体内で操作する訓練をしましょう」と声を掛けた。
すると皆それぞれ目を閉じて集中し始めた。子供達から魔力が感じられる。
これがうまくいかなくて魔力を暴発させちゃったんだよね……。
子供達の訓練を眺めながら屋敷でのことを思い出してほのかに暗い気持ちになる。
魔力量が多い子供が何人かいたようだがその子達はマリウス神父の前に固められているようだった。体外に魔力をふわふわと感じられたかと思うとすぐ霧散していく。マリウス神父は赤毛の男の子、フローラの弟のイアンのお腹に手を触れる。
「この辺りに集中して集めてごらん、丸く円を描くように……そう、そのまま円から細い枝が伸びるように体全体に行き渡らせるイメージで……」
するとイアンの周りに魔力の膜のようなものが張っていく。
「できた!」
イアンが嬉しそうに声を上げた途端、魔力が霧散してしまった。「あーあ」と残念そうに肩を落とすイアンに、マリウス神父は苦笑しながら「集中しなさいと言っているでしょう。もう一度思い出しながらやってみなさい」と肩を叩いた。
すごい……!私よりよっぽど上手だ!
思わず私もやってみたくなる気持ちをグッと抑えながら、見学しているだけでも勉強になりそうだと思い食い入るように見つめた。するとイアンがこちらをみて私と目が合った。イアンはにっこりと笑った。笑った顔はフローラにそっくりだな、と思わず呆けていると、イアンは何を思ったのかこちらへ近づいてきて私の手を取った。
「一緒にやろうよ!」
「え……でも……」
ここの子供でもない部外者なのにいいのだろうかと戸惑っているとマリウス神父がやってきた。
「よろしかったらアリアさんも参加されませんか?」
不安が一瞬よぎるも、グレース様におまじないをかけてもらったことを思い出す。訓練は欠かさず行うことを言われたばかりだし、と自分に言い聞かせて了承した。そしてイアンに手を引かれるがまま訓練に参加することになった。
イアンの隣に案内される。ドキドキしながらマリウス神父を見るとマリウス神父は微笑みながら「まずは少し深呼吸しましょうか」と私の緊張を感じ取ったのか深呼吸を促した。深呼吸しながら心を落ち着かせていく。マリウス神父は「ではそのまま深呼吸をしながら目を閉じましょう」と指示を出す。
言われるがまま目を閉じて深呼吸を繰り返した。
「呼吸の動きに合わせて心臓が動いていることを意識して。そして心臓から魔力が少しずつ血液と一緒に魔力が流れているのを感じて」
だんだん緊張していた呼吸が鼓動と共に落ち着いていく。
「お腹の辺りに集めて。そしてお腹からほそーく木の枝が伸びるのを想像して……頭のてっぺんから足の指先まで」
身体が暖かくなっていく。ぽかぽかとひだまりに包まれているような感覚がした途端フッと魔力が霧散してしまった。
もう少しで何か感覚が掴めそうだったのにと残念に思いながら目を開けるとマリウス神父が驚いた表情で私をみていた。
「アリアさんはとても魔力が多いようですね。しかも魔力量が多いとまず魔力を一箇所に集めることも難しく、すぐに霧散してしまうのですがここまでできるとは」
「ありがとうございまいます。でも、魔力訓練がうまくいかないことが多くて……」
そう思わずこぼすとマリウス神父は朗らかに笑った。
「あなたくらいの年代でしたらまだまだ練習次第で良くなりますよ。どうですか? この町に滞在する間しばらくこちらに通うのはいかがですかな」
「でも、ここの子供でもないのに良いのですか?」
「気にすることはありませんよ。他の子にとって刺激になるでしょうし。ああ、それならまたフローラとお菓子を作っていただけないでしょうか」
思わぬ提案に目を丸くするとマリウス神父は小声で言った。
「実は最近塞ぎ込んでいたフローラがあなたと過ごした昨日がとっても楽しかったようで久しぶりに笑顔を見ることができてホッとしたんです」
マリウス神父は嬉しそうに笑った。その顔をみた私は脳裏に昨日のフローラの姿が浮かんだ。そうして私はマリウス神父に二つ返事で参加することとなった。
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