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2章
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午後からマリウス神父の指導のもと魔法の訓練が始まる。マリウス神父は昼食後には帰ってきたようで訓練の時間にはいつものように司祭服に着替えていた。
「では、本日も魔力の訓練からやっていきましょう」
言われた通りお腹のおへそのあたりに魔力を集中させていく。魔力を集めていくイメージでゆっくりと自分の中で丸く形を作っていく。丸く形をイメージしていくのはマリウス神父に教わった。呼吸に合わせて魔力の枝をゆっくり身体中に伸ばしていく。だんだん指先が暖かくなっていく。足先までぽかぽかとしてきたときだった。頭のてっぺんから足の指先までまるでじんわりと温かいお湯に包まれた気がした。
「できた……?」
ゆっくりと目を開けると目の前にマリウス神父が驚いた表情で私を見ていた。恐る恐る自分の手を見ると心なしか光の膜のようなものが覆っている。
「成功ですね! アリアさん! そのまま維持していきましょう」
マリウス神父が声をかけた。嬉しさが込み上げてくるもそれを押しとどめて魔力を維持することを意識していく。
すると覆っていた膜のような魔力が風船が萎んでいくように小さくなって霧散してしまった。
「ああっ!」
思わず声を上げるとその様子を見ていたマリウス神父が苦笑した。
「集中が切れてしまいましたね」
「やっぱり難しいですね。でもコツは掴めたような気がします」
初めてできたのが嬉しくて笑顔でマリウス神父を見上げる。──マリウス神父の表情に一瞬違和感を覚えた。
マリウス神父は微笑んだ表情を崩してはいないものの、その笑みになぜか少し背筋に寒気を感じた。
「すごーい! やっぱりアリアちゃんはすごいねえ!」
横からイアンに声をかけられてハッとする。マリウス神父はいつもの朗らかな雰囲気に戻っていた。「イアンも見習って頑張りなさいね」とイアンに声をかけた。
私の気のせいかな……?
その日は少し心にしこりを残して魔力の訓練を終えたのだった。
魔力の訓練を終えた後にフローラとお菓子を作った後、食堂にいつまで経ってもイアンが来ないので心配したフローラと手分けして探すことになった。
イアンはフローラの二つ下の弟で私と同い年だ。最初年下と思っていたので同い年と知ってお互い驚いたものだ。
イアンは私より背も小さく、喋り方も少し幼く感じるものの同年代の男の子たちといつも一緒に活発に遊びまわっている。
同い年の子ってみんなこんな感じなのだろうか……。だとしたら私って少しずつ変わっているかも?と思うも、女の子は精神的成長が早いって前世で言ってたし!とあまりそれ以上は考えないようにした。
注意深く探していると中庭の隅っこの花壇の影にイアンとリクが並んで座っているのを発見した。二人で何やら話をしているようだった。不思議に思ってゆっくり近づくと、リクは私に気付いたようで目線をこちらに向けた。それを見たイアンも私に気づく。
「あ! アリアちゃんだ! どうしたの?」
「フローラとお菓子をまた作ったの。イアンが来ないから探しにきたのよ」
「そうなんだ! ありがとう。じゃあ、急がなきゃ僕の分がなくなっちゃう」
そう言って慌てて立ち上がって駆け出す。思い出したようにくるりと振り返ってリクに向かって「また話そうね!」と笑顔で手を振った。リクはコクリと頷くとイアンは満足そうにしてまた背を向けて走り去っていった。
その背中をぼんやりと眺め、見送ってからリクに近づく。
「めずらしいわね。てっきり子供達を避けているかと思っていたわ」
そう言うと少しリクはばつが悪そうな様子で髭をしょんぼりとさせた。
「たまたま、見つかってしまって声をかけられたのです」
「なんの話をしていたの?」
「精霊について興味があるようで質問攻めにあっていました」
げんなりした様子で答えるリクに少し笑いそうになる。リクは「それと」と真剣な声音で続けた。
「カイとヨシュアに連れられて森へ行っていたときのことを聞いていたのです」
「それで……?」
カイとヨシュアに連れられて森へ行った際に子供達は何をしていたかというと森で食べられる木の実や、薬草について二人から教わっていたそうだ。ただ、子供達から目を離すことはなく勝手な行動をした子供がいたら注意してしっかりと引率していたらしい。時々カイとヨシュアが交代でいなくなることがあったそうで、イアンが不思議に思ってカイにたずねると「みんなには内緒だよ」とこっそり教えてくれたそうだ。
「それが……『友達に会いに行っているんだ』と──」
「それって……もしかして精霊のこと?」
「可能性は高いと思われます。あと、気になることをカイがイアンに言っていたようで」
そこまで言うとリクは少し言い淀んだ。不思議に思って首を傾げるとリクは口を開いた。
「イアンは魔力量が高いことをカイは心配していたようでして」
「心配? どうして?」
「それがわからないのですが、『ここを出ることになったら信用できる外の人に連れてってもらって』と……」
外の人……。
「このこと、マリウス神父は?」
「知らないようです。イアンも私に『絶対に誰にも言わないでほしい』と」
先程のマリウス神父の顔がよぎった。
「この話はとりあえずここだけの話にしておきましょう」
ざわざわと嫌な胸騒ぎを覚えた。気のせいだと頭を振り払って今は考えないようにし、リクを黙って抱き抱えた。
リクは怪訝そうに「お嬢様?」とたずねるも私は「なんでもないけどしばらくこうさせて」と言うしかなかった。
「では、本日も魔力の訓練からやっていきましょう」
言われた通りお腹のおへそのあたりに魔力を集中させていく。魔力を集めていくイメージでゆっくりと自分の中で丸く形を作っていく。丸く形をイメージしていくのはマリウス神父に教わった。呼吸に合わせて魔力の枝をゆっくり身体中に伸ばしていく。だんだん指先が暖かくなっていく。足先までぽかぽかとしてきたときだった。頭のてっぺんから足の指先までまるでじんわりと温かいお湯に包まれた気がした。
「できた……?」
ゆっくりと目を開けると目の前にマリウス神父が驚いた表情で私を見ていた。恐る恐る自分の手を見ると心なしか光の膜のようなものが覆っている。
「成功ですね! アリアさん! そのまま維持していきましょう」
マリウス神父が声をかけた。嬉しさが込み上げてくるもそれを押しとどめて魔力を維持することを意識していく。
すると覆っていた膜のような魔力が風船が萎んでいくように小さくなって霧散してしまった。
「ああっ!」
思わず声を上げるとその様子を見ていたマリウス神父が苦笑した。
「集中が切れてしまいましたね」
「やっぱり難しいですね。でもコツは掴めたような気がします」
初めてできたのが嬉しくて笑顔でマリウス神父を見上げる。──マリウス神父の表情に一瞬違和感を覚えた。
マリウス神父は微笑んだ表情を崩してはいないものの、その笑みになぜか少し背筋に寒気を感じた。
「すごーい! やっぱりアリアちゃんはすごいねえ!」
横からイアンに声をかけられてハッとする。マリウス神父はいつもの朗らかな雰囲気に戻っていた。「イアンも見習って頑張りなさいね」とイアンに声をかけた。
私の気のせいかな……?
その日は少し心にしこりを残して魔力の訓練を終えたのだった。
魔力の訓練を終えた後にフローラとお菓子を作った後、食堂にいつまで経ってもイアンが来ないので心配したフローラと手分けして探すことになった。
イアンはフローラの二つ下の弟で私と同い年だ。最初年下と思っていたので同い年と知ってお互い驚いたものだ。
イアンは私より背も小さく、喋り方も少し幼く感じるものの同年代の男の子たちといつも一緒に活発に遊びまわっている。
同い年の子ってみんなこんな感じなのだろうか……。だとしたら私って少しずつ変わっているかも?と思うも、女の子は精神的成長が早いって前世で言ってたし!とあまりそれ以上は考えないようにした。
注意深く探していると中庭の隅っこの花壇の影にイアンとリクが並んで座っているのを発見した。二人で何やら話をしているようだった。不思議に思ってゆっくり近づくと、リクは私に気付いたようで目線をこちらに向けた。それを見たイアンも私に気づく。
「あ! アリアちゃんだ! どうしたの?」
「フローラとお菓子をまた作ったの。イアンが来ないから探しにきたのよ」
「そうなんだ! ありがとう。じゃあ、急がなきゃ僕の分がなくなっちゃう」
そう言って慌てて立ち上がって駆け出す。思い出したようにくるりと振り返ってリクに向かって「また話そうね!」と笑顔で手を振った。リクはコクリと頷くとイアンは満足そうにしてまた背を向けて走り去っていった。
その背中をぼんやりと眺め、見送ってからリクに近づく。
「めずらしいわね。てっきり子供達を避けているかと思っていたわ」
そう言うと少しリクはばつが悪そうな様子で髭をしょんぼりとさせた。
「たまたま、見つかってしまって声をかけられたのです」
「なんの話をしていたの?」
「精霊について興味があるようで質問攻めにあっていました」
げんなりした様子で答えるリクに少し笑いそうになる。リクは「それと」と真剣な声音で続けた。
「カイとヨシュアに連れられて森へ行っていたときのことを聞いていたのです」
「それで……?」
カイとヨシュアに連れられて森へ行った際に子供達は何をしていたかというと森で食べられる木の実や、薬草について二人から教わっていたそうだ。ただ、子供達から目を離すことはなく勝手な行動をした子供がいたら注意してしっかりと引率していたらしい。時々カイとヨシュアが交代でいなくなることがあったそうで、イアンが不思議に思ってカイにたずねると「みんなには内緒だよ」とこっそり教えてくれたそうだ。
「それが……『友達に会いに行っているんだ』と──」
「それって……もしかして精霊のこと?」
「可能性は高いと思われます。あと、気になることをカイがイアンに言っていたようで」
そこまで言うとリクは少し言い淀んだ。不思議に思って首を傾げるとリクは口を開いた。
「イアンは魔力量が高いことをカイは心配していたようでして」
「心配? どうして?」
「それがわからないのですが、『ここを出ることになったら信用できる外の人に連れてってもらって』と……」
外の人……。
「このこと、マリウス神父は?」
「知らないようです。イアンも私に『絶対に誰にも言わないでほしい』と」
先程のマリウス神父の顔がよぎった。
「この話はとりあえずここだけの話にしておきましょう」
ざわざわと嫌な胸騒ぎを覚えた。気のせいだと頭を振り払って今は考えないようにし、リクを黙って抱き抱えた。
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