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2章
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「な、何を……! お前が! お前がルーナ姉ちゃんや、ハリオ兄ちゃん達をどこかへやったんだろ!! どこにやったんだよ!」
ヨシュアが吠えるように叫ぶ。ヨシュアがあげた名前はどれも教会で見つけた人身売買の契約書の名前に記載されていた。
マリウス神父は鬱陶しそうにヨシュアを見た。その目はどこかうつろである。
「どこに? さあ? 私はあくまで彼らを受け渡すだけですからその後彼らがどこへ行って、どんな暮らしを今しているかなんて知りようがありませんよ。私が知るのは彼らがどんな金額になったかです。もっとも、魔力量の多い孤児なんていろんな使い道がありますからねえ」
そう言ったマリウス神父は歪んだ笑みを浮かべた。
「ああ、彼らがいくらで売れたのかお教えしましょうか?」
「てんめえええ! ぜってえ許さねえ!!」
ブチブチと音がする方を見れば、ヨシュアが無理に動かない手足に魔力を込めて拘束を解こうとしていた。だが、魔導具の力なのか魔力を込めるも消滅を繰り返してその衝撃で手足から血を流している。
「ヨシュア! やめて!」
止めるように呼びかけるもヨシュアは頭に血が昇っているのか止めようとしない。その様子をマリウス神父はつまらなさそうな表情で眺めている。
「やはり目障りですねえ。カイがあなたにいろいろ教えているのはわかっていましたが、あなたはここで始末した方が良さそうだ」
そう言うとマリウス神父は懐から短剣を取り出した。きらびやかな装飾が施されれているも、異様なオーラを纏っている。ただならぬ物なのは一目瞭然で咄嗟に身構える。
「魔導具か」
レイ様が問うとマリウス神父は微笑んだ。
「ええ、拘束されたときは身体検査までされたものですから焦りましたよ。金庫の中の魔道具は押収されてしまいましたがもうひとつの隠し場所は無事でこの通りですよ。それに、運よく協力してくれる子がいたんで」
まさかと思いながらも私はマリウス神父に問いかけた。
「マリウス神父、イアンはあなたと一緒にいるのですか」
「とっても役立ってくれましたよ。隠し持っていた魔導具で脱出するまではよかったのですが、魔導具一つではどうしても心もとなくてですね、隠してある魔導具を取りに行きたいと思っていたのですが見張りもいるだろうしどうしたものかと思っていたところに、イアンと遭遇しましてね。魔導具を取りにいく手伝いをしてくれたんですよ。隠し出口も役に立って、森への行き方も教えてくれましたので本当に助かりました。ああ、彼はそのへんに捨ててきたので今は一緒にはいませんが」
捨ててきたとの言葉に背筋が寒くなる。この森で一人で攻撃手段も持たない子供一人がさまよっているなんて魔物のいい餌だ。
「それにほぼ魔力は残っていないので動けないでしょうね」
なんてことないように言うマリウス神父に恐る恐るたずねる。
「魔力がほぼ残っていないって……イアンに何をしたんですか」
マリスウス神父は私を見てまるで魔法の訓練の時のようにゆったりとした口調で話し出す。
「ご存じですか、魔導具は魔石で動いています。わかりやすく言うと魔導具はいわば人間でいう身体です。魂が魔石。そして魔石には魔力が宿っている。魔導具を使用するだけで魔力はあってもなくても魔法を使うことができる素晴らしい物です」
戸惑う私達を気にせずマリウス神父は話し続ける。
「ですがもちろん魔導具も人間と同じで永遠な物ではありません。魔石が空っぽになってしまうと使えなくなってしまいます。大抵はクズ石になった魔石を交換すれば使うことができるのですが、古い魔導具だと魔石を交換できず使い切りなのです。そこでとある天才的な発明家によって素晴らしい魔導具が発明されました」
そう言ってマリウス神父は腕を掲げた。そこには金の腕輪が光っていた。黒い魔石が光り輝いている。
魔導具と思しきそれは嫌なオーラを纏っていた。
「これは魔力を吸い取り、古い魔導具を使用する際にエネルギーとして使うことができるのです」
まるで舞台俳優のように大袈裟に説明するマリウス神父に思わず眉を顰めながら考える。
そんなものがあるのならロックが使っていたような古い魔導具が回数制限もなく使えるではないか。
それに気づき背筋に冷たいものが這う。あの腕輪の魔導具がどれくらいの使用制限があるかはわからないが危険なものだ。
しかも……
「イアンの魔力をそれで吸い取ったんですね」
それを聞いたヨシュアがまたも魔力を放出しようとしている。落ち着くように今度はレイ様が声をかけている。
「そうですよ。ちょうど魔力量の多い彼がいたおかげで助かりましたよ」
「っ……! イアンはあなたのことを信じていたんですよ!」
「扱いやすい子でよかったですよ、ドワーフと人間のハーフで魔力量もそこそこあって、彼はさぞかし高く売れたでしょうね。こんなことならもっと早くにどうにかして売っておくべきだった……それだけが心残りです」
マリウス神父は至極残念そうにため息をついた。
脳裏にイアンの姿が思い起こされる。
──「それでも、僕は嬉しかったんだ。いろんなことを教えてくれて……」
「私は……あなたを絶対に許さない」
怒りで声が震える。あまりの悔しさに涙が出そうになるが、唇を噛み締めた。睨みつけた視線の先のマリウス神父は私を見て笑った。
ヨシュアが吠えるように叫ぶ。ヨシュアがあげた名前はどれも教会で見つけた人身売買の契約書の名前に記載されていた。
マリウス神父は鬱陶しそうにヨシュアを見た。その目はどこかうつろである。
「どこに? さあ? 私はあくまで彼らを受け渡すだけですからその後彼らがどこへ行って、どんな暮らしを今しているかなんて知りようがありませんよ。私が知るのは彼らがどんな金額になったかです。もっとも、魔力量の多い孤児なんていろんな使い道がありますからねえ」
そう言ったマリウス神父は歪んだ笑みを浮かべた。
「ああ、彼らがいくらで売れたのかお教えしましょうか?」
「てんめえええ! ぜってえ許さねえ!!」
ブチブチと音がする方を見れば、ヨシュアが無理に動かない手足に魔力を込めて拘束を解こうとしていた。だが、魔導具の力なのか魔力を込めるも消滅を繰り返してその衝撃で手足から血を流している。
「ヨシュア! やめて!」
止めるように呼びかけるもヨシュアは頭に血が昇っているのか止めようとしない。その様子をマリウス神父はつまらなさそうな表情で眺めている。
「やはり目障りですねえ。カイがあなたにいろいろ教えているのはわかっていましたが、あなたはここで始末した方が良さそうだ」
そう言うとマリウス神父は懐から短剣を取り出した。きらびやかな装飾が施されれているも、異様なオーラを纏っている。ただならぬ物なのは一目瞭然で咄嗟に身構える。
「魔導具か」
レイ様が問うとマリウス神父は微笑んだ。
「ええ、拘束されたときは身体検査までされたものですから焦りましたよ。金庫の中の魔道具は押収されてしまいましたがもうひとつの隠し場所は無事でこの通りですよ。それに、運よく協力してくれる子がいたんで」
まさかと思いながらも私はマリウス神父に問いかけた。
「マリウス神父、イアンはあなたと一緒にいるのですか」
「とっても役立ってくれましたよ。隠し持っていた魔導具で脱出するまではよかったのですが、魔導具一つではどうしても心もとなくてですね、隠してある魔導具を取りに行きたいと思っていたのですが見張りもいるだろうしどうしたものかと思っていたところに、イアンと遭遇しましてね。魔導具を取りにいく手伝いをしてくれたんですよ。隠し出口も役に立って、森への行き方も教えてくれましたので本当に助かりました。ああ、彼はそのへんに捨ててきたので今は一緒にはいませんが」
捨ててきたとの言葉に背筋が寒くなる。この森で一人で攻撃手段も持たない子供一人がさまよっているなんて魔物のいい餌だ。
「それにほぼ魔力は残っていないので動けないでしょうね」
なんてことないように言うマリウス神父に恐る恐るたずねる。
「魔力がほぼ残っていないって……イアンに何をしたんですか」
マリスウス神父は私を見てまるで魔法の訓練の時のようにゆったりとした口調で話し出す。
「ご存じですか、魔導具は魔石で動いています。わかりやすく言うと魔導具はいわば人間でいう身体です。魂が魔石。そして魔石には魔力が宿っている。魔導具を使用するだけで魔力はあってもなくても魔法を使うことができる素晴らしい物です」
戸惑う私達を気にせずマリウス神父は話し続ける。
「ですがもちろん魔導具も人間と同じで永遠な物ではありません。魔石が空っぽになってしまうと使えなくなってしまいます。大抵はクズ石になった魔石を交換すれば使うことができるのですが、古い魔導具だと魔石を交換できず使い切りなのです。そこでとある天才的な発明家によって素晴らしい魔導具が発明されました」
そう言ってマリウス神父は腕を掲げた。そこには金の腕輪が光っていた。黒い魔石が光り輝いている。
魔導具と思しきそれは嫌なオーラを纏っていた。
「これは魔力を吸い取り、古い魔導具を使用する際にエネルギーとして使うことができるのです」
まるで舞台俳優のように大袈裟に説明するマリウス神父に思わず眉を顰めながら考える。
そんなものがあるのならロックが使っていたような古い魔導具が回数制限もなく使えるではないか。
それに気づき背筋に冷たいものが這う。あの腕輪の魔導具がどれくらいの使用制限があるかはわからないが危険なものだ。
しかも……
「イアンの魔力をそれで吸い取ったんですね」
それを聞いたヨシュアがまたも魔力を放出しようとしている。落ち着くように今度はレイ様が声をかけている。
「そうですよ。ちょうど魔力量の多い彼がいたおかげで助かりましたよ」
「っ……! イアンはあなたのことを信じていたんですよ!」
「扱いやすい子でよかったですよ、ドワーフと人間のハーフで魔力量もそこそこあって、彼はさぞかし高く売れたでしょうね。こんなことならもっと早くにどうにかして売っておくべきだった……それだけが心残りです」
マリウス神父は至極残念そうにため息をついた。
脳裏にイアンの姿が思い起こされる。
──「それでも、僕は嬉しかったんだ。いろんなことを教えてくれて……」
「私は……あなたを絶対に許さない」
怒りで声が震える。あまりの悔しさに涙が出そうになるが、唇を噛み締めた。睨みつけた視線の先のマリウス神父は私を見て笑った。
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