arkⅢ

たける

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アルテミス号では、ファイが宇宙連邦の膨大なデータバンクから、惑星ドラモッグについて調べていた。そこへ艦内通信が入り、ホップスの快活な声が聞こえてきた。

『ディック機関士長、デビット艦長よりメッセージが入りました。至急メインブリッジにお越し下さい』

何かあったのだろうか。そう思いながらも、データバンクの前から離れずにいた。





メインブリッジの扉を開いてカール・ディックが入室すると、マナ・ホップスは彼を振り返った。

「どんなメッセージだい?」
「今から再生させます」

ボタンを操作すると、スピーカーからジョシュの声が聞こえ出した。それは妙に、緊張を孕んでいるように聞こえる。

『こちらはデビット。ここでは通信器が使用出来ないので、ドラモッグ星の統括者、バラムの通信器を借りている。至急ディックに修繕の支度をし、転送降下するよう命じる。到着したら、マーゴと言う女性が我々の元へ連れてきてくれるだろう、以上』

カールはホップスを見遣った。

「修繕の支度って……あの救難信号は、もしやこれの事だったのか?」
「さぁ、どうしら。私には分かりませんが、艦長が貴方を呼んでいるのは確かね」

ツンとした態度に、カールは内心ムッとする。

「そんなのは俺でも分かるよ」

そう言うと、ブリッジの扉が開いてファイが入ってきた。その手には端末コンソールを握っている。

「ホップス、ただちに艦長へ通信を繋いで下さい」
「無理です、副艦長。たった今艦長から送られてきたメッセージによれば、向こうでは通信器が使用出来ないそうです」

ホップスの顔は、カールに向けた時よりも穏和になっている。さては彼女、この男に気があるな、と感じた。
ファイは考えるように暫く黙っていたが、やがてカールを見てきた。

「艦長は何と?」

さっきのメッセージを、ホップスが再生させた。暫く聞き耳を立てていたファイだったが、やがて操舵士のハンク・デルマを振り返った。

「私もディックと転送降下します。貴方が私の代わりに指揮をとって下さい」
「どうしてファイ副艦長も転送降下なさるんです?」

びっくりしたホップスがそう言うと、ファイはモニターに映るドラモッグを見遣った。

「データバンクによると、あそこは以前、宇宙連邦のマルティナ号が既に調査を行っていた惑星でした。ですがその調査中、乗組員2名が行方不明になり、捜索の甲斐もなく見つからなかったそうです」
「それが、お前が転送降下する理由に、どう繋がるんだい?」

確かに乗組員2名が行方不明になった理由は気になる。だが、だからと言ってジョシュ達もそうなるとは限らない。

「それが今からおよそ50年前の出来事ですが、行方不明になった乗組員が機関士だった事が気になるのです」

そう言うと、ファイは先にターボリフトへと向かった。慌ててカールも後を追い、一緒にリフトへと乗り込んだ。




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