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四粒目 それはなんてことのない光景
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翌日。時刻は午前九時四十五分。今日も今日とて天気は快晴。外に出ただけで汗が噴き出す暑さは熱砂を連想させる。子孫繫栄のみを目指して地上に出てきた蝉たちが、自身の存在をアピールするためところ構わず鳴き喚いている。
嫌になるくらい夏真っ盛りだ。こんなのがあとふた月近くも続くのかと、猛烈にうんざりしながら首筋に伝わる汗を拭う馨は、『しまうま』への通勤路を歩いている。こんな日は家でゆっくりしていたいと思うのが人情ではあるが、資本主義社会に生まれた以上、働かざるもの食うべからず。いくら馨が高校生の身とて、将来的な諸々を考えれば、カネ稼ぎは避けて通れない道である。
やがて店まで到着した彼は、勝手口から店に入り、キッチンにいるマスター室藤へ「おはようございます」と挨拶した。コーヒー豆をカリカリと挽くマスターの、「おはよう」というバリトンボイスを聞いて、「さあ今日もやるか」と馨が心中で気合を入れたその時、真鍮製の鈴が鳴る、カランコロンという涼しげな音が聞こえてきた。
これは店の扉が開いた音。開店までまだ十分少々あるが、常連か何かだろうかと、慌ててホールへ出た馨は――そこにいた人物を見て固まり、「また来たのか」という言葉を喉の奥で辛うじて押し殺した。
申し訳なさそうに店の入り口に立っていたのは昨日の珍客、長瀬香である。今日の格好は派手な柄が入ったオーバーサイズのTシャツにジーンズ。「もういいかな?」と訊ねながらも、こちらの返事も待たずに歩み出して昨日と店の最奥、角のボックス席同じ席に座ったのは、遠慮がちなんだか図太いんだかよくわからないところがある。
キッチンに戻った馨は相変わらず豆を挽いているマスターに彼女の処遇を委ねる。
「……室藤さん。あの人、どうしましょうか」
「お客さんだよ、窪塚くん。いつも通り」
「……でも、変な人ですよ?」
「まあ」と言葉を濁したマスター室藤は挽きたての豆でコーヒーを淹れて、それを馨に渡す。これを彼女に持っていき、ついでに用件を聞いてこいということだろう。理解した馨はコーヒーを片手に香の席へと向かい、思い切って対面の席に腰掛けた。
「今日はどうされたんですか?」と強気に訊ねると、彼女は提供されたコーヒーを飲みつつ、「昨日の件の釈明と謝罪」と呑気に返した。
「ほら、色々とお見苦しいところを見せたでしょ。ごめんね、昨日は色々と」
彼女の言葉を受けた馨は驚いた。というのも、彼女が自覚を持ってああいった珍妙な行動をしていたとは思ってもいなかったのである。この手の方々は無自覚のうちに人を引っ掻き回すものだと、馨には勝手に決めつけているフシがあった。
呆気に取られつつも、「まあ、別に構いませんけど」と答えると、彼女は「ならいいの」と、どこか上から目線で答えつつコーヒーをすする。とても謝罪に来たとは思えぬ態度、とんだ大物だ。
やがて視線を馨の両目に固定した彼女は、「あなた、名前は?」と彼へ訪ねた。
「窪塚馨ですが……」
「同じだ。わたしもカオルなの。長瀬香。よろしく」
照れもない様子で香の手がにゅっと伸びてきたのは、握手を求めているのだろう。「はあ、どうも」と一応それに応じて手を握ると、彼女は馨の手をしっかり握ったまま、神妙な面持ちになって語り出した。
「さて、窪塚くん。単刀直入に言えば、わたしね、未来を見通すことの出来る能力者なの」
「馬鹿なこと言わないでください」と真面目に返してしまったことさえ、馨は大変馬鹿らしく思った。
◯
「わたし、昔から未来が見えてさ。まあ見えるって言っても、あくまでぼんやりってカンジで、はっきり見えるわけじゃないの。おまけに、見れる景色を選べるわけじゃない。でも、未来が見えた時の的中率は驚異の十割。ちょっと前にあのナントカとかいう俳優がクスリで逮捕されたでしょ? あの事件も一日前には知ってたんだから。で、わたしが昨日あんな行動を取ったのは、君と会う未来を見てなかったから。通り雨に降られたわたしが、このお客さんのいない喫茶店に向かっていくところと、あのヒゲのおじさんは見えてたのに、あなたの姿はどこにも見えてなかった。店員なのにいないって、ありえないでしょフツー。だから話しかけられた時は驚いたぁ。正直、あなたのこと幽霊だと半分くらいは真剣に思ってたからね、わたし」
彼女の電波な話を馨がじっと黙って聞いていたのは、わざわざ口を挟むよりも黙っていた方が早く終わると思ったから。面倒ごとは耐えたぶんだけ早く終わるというのは、馨の持論である。
で、香が「というわけなんだよ」と電波な話を終えたと見るや、馨は「そうですか」と言いつつ席を立った。時計を見ればもう十時十分。すでに開店時間を過ぎている。急ぎランチ用のサラダの仕込みに取り掛かるべくキッチンへ向かおうとすると、香が「待ちなさい」と言いながら彼の手を掴んだ。
「なんですか。忙しいんですよ、これから」
「信じてないでしょ、わたしの話」
「そりゃ信じられるわけないでしょ。もし逆の立場ならどうです?」
「そりゃ信じないけど。でもわたしは信じてよ」
「言ってることめちゃくちゃですよ」
なんだか、埒が明かぬ感じの人だ。彼女の手から無理やり逃れた馨は、キッチンへ向かおうとしたが、そんな彼の前にマスター室藤が立ちはだかった。
「窪塚くん、信じてみたら?」
馨にとっては想定外の二対一。マスターの援軍を受けた香は、「ほら。ヒゲおじさんもそう言ってるし」とすっかり調子づく。
「店主ですよ、この人は。というか、室藤さんはなんでこんな人の味方するんですか?」
「勘」とマスターは短く答え、それを聞いた馨はがっくりと肩を落とした。寡黙なマスターとてやはり男、美人には弱いのだろうと考えた馨の脳裏には、〝男の性〟という言葉がはっきりと浮かんだ。
「よぉし。じゃ、ヒゲマスターのお墨付きも貰ったとこで証明してあげる。てことで、アポロチョコ持ってきて。昨日わたしが忘れたヤツ」
「どうしてまた急に?」
「アレを一粒かじるとビビッと映像が見えてくるの。不思議でしょ?」
「すごいですね。となると、ふた粒かじればタイムスリップできたりして」
「試したことはないけど、やりたくはないかなぁ。昔、三粒一気に食べてよくわかんない幻覚見たことあるから」
皮肉が通じず、馨は「……なるほど」と呟くしかなかった。
もはや、一旦満足させる以外にはこの人を追い返す術はない。諦めを受け入れた馨は、カウンターの上に置いてある忘れ物入れの網カゴからアポロチョコの箱を取り出し、それを香に渡す。「ありがと」とそれを受け取ってチョコを一粒手に取った彼女は、再び馨の手を取った。
「よし、行くよ、窪塚くん」
「どこに行くんですか」
「決まってるでしょ、わたしの未来」
ピンクとブラウンの二色に別れた小さな円錐が香の口内に飛び込んで行く。彼女の口内からチョコが砕けるコリという音がしたその瞬間――馨の視界は白く覆われた。
――なんだ? なんだ?!
困惑の声は形にすらならない。五感は整理されていない冷蔵庫みたいにしっちゃかめっちゃかで吐き気すら覚える。もがくことすら出来ないまま、馨が何も無いところをただ浮かび続けていると、やがて気色の悪い色が世界に滲み出てきた。あらゆる絵具を一枚のパレットに絞り出して適当に混ぜ合わせたようなその色は、間もなくして一色ごとに細かく分けられ、整列し、ぼやけた映像を創り出していく。
――夕焼け、公園、木、猫、赤い自転車、少女――。
不明瞭な景色が瞬間的に見えた後、世界は再び白く塗られ――馨は『しまうま』へと帰還した。彼の視界に映るのは、渾身のしたり顔を披露する香である。
「……今のは?」
「たぶん、今日の夕方あたりかな」
「……つまり、未来?」
「いやいや、だからそう言ってるでしょ」
あっさり言うと彼女は馨と繋いでいた手を放し、「これでわたしが変質者じゃないってことがわかったね? じゃ、帰るから」と宣言しながら席を立って、せかせかとした足取りで店を出て行った。
彼女の背中を見送りながら「やっぱり、変な人だな」と馨があえて声に出して呟いたのは、先ほど目にした信じられない光景を、現実のものと思いたくなかったゆえである。
嫌になるくらい夏真っ盛りだ。こんなのがあとふた月近くも続くのかと、猛烈にうんざりしながら首筋に伝わる汗を拭う馨は、『しまうま』への通勤路を歩いている。こんな日は家でゆっくりしていたいと思うのが人情ではあるが、資本主義社会に生まれた以上、働かざるもの食うべからず。いくら馨が高校生の身とて、将来的な諸々を考えれば、カネ稼ぎは避けて通れない道である。
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これは店の扉が開いた音。開店までまだ十分少々あるが、常連か何かだろうかと、慌ててホールへ出た馨は――そこにいた人物を見て固まり、「また来たのか」という言葉を喉の奥で辛うじて押し殺した。
申し訳なさそうに店の入り口に立っていたのは昨日の珍客、長瀬香である。今日の格好は派手な柄が入ったオーバーサイズのTシャツにジーンズ。「もういいかな?」と訊ねながらも、こちらの返事も待たずに歩み出して昨日と店の最奥、角のボックス席同じ席に座ったのは、遠慮がちなんだか図太いんだかよくわからないところがある。
キッチンに戻った馨は相変わらず豆を挽いているマスターに彼女の処遇を委ねる。
「……室藤さん。あの人、どうしましょうか」
「お客さんだよ、窪塚くん。いつも通り」
「……でも、変な人ですよ?」
「まあ」と言葉を濁したマスター室藤は挽きたての豆でコーヒーを淹れて、それを馨に渡す。これを彼女に持っていき、ついでに用件を聞いてこいということだろう。理解した馨はコーヒーを片手に香の席へと向かい、思い切って対面の席に腰掛けた。
「今日はどうされたんですか?」と強気に訊ねると、彼女は提供されたコーヒーを飲みつつ、「昨日の件の釈明と謝罪」と呑気に返した。
「ほら、色々とお見苦しいところを見せたでしょ。ごめんね、昨日は色々と」
彼女の言葉を受けた馨は驚いた。というのも、彼女が自覚を持ってああいった珍妙な行動をしていたとは思ってもいなかったのである。この手の方々は無自覚のうちに人を引っ掻き回すものだと、馨には勝手に決めつけているフシがあった。
呆気に取られつつも、「まあ、別に構いませんけど」と答えると、彼女は「ならいいの」と、どこか上から目線で答えつつコーヒーをすする。とても謝罪に来たとは思えぬ態度、とんだ大物だ。
やがて視線を馨の両目に固定した彼女は、「あなた、名前は?」と彼へ訪ねた。
「窪塚馨ですが……」
「同じだ。わたしもカオルなの。長瀬香。よろしく」
照れもない様子で香の手がにゅっと伸びてきたのは、握手を求めているのだろう。「はあ、どうも」と一応それに応じて手を握ると、彼女は馨の手をしっかり握ったまま、神妙な面持ちになって語り出した。
「さて、窪塚くん。単刀直入に言えば、わたしね、未来を見通すことの出来る能力者なの」
「馬鹿なこと言わないでください」と真面目に返してしまったことさえ、馨は大変馬鹿らしく思った。
◯
「わたし、昔から未来が見えてさ。まあ見えるって言っても、あくまでぼんやりってカンジで、はっきり見えるわけじゃないの。おまけに、見れる景色を選べるわけじゃない。でも、未来が見えた時の的中率は驚異の十割。ちょっと前にあのナントカとかいう俳優がクスリで逮捕されたでしょ? あの事件も一日前には知ってたんだから。で、わたしが昨日あんな行動を取ったのは、君と会う未来を見てなかったから。通り雨に降られたわたしが、このお客さんのいない喫茶店に向かっていくところと、あのヒゲのおじさんは見えてたのに、あなたの姿はどこにも見えてなかった。店員なのにいないって、ありえないでしょフツー。だから話しかけられた時は驚いたぁ。正直、あなたのこと幽霊だと半分くらいは真剣に思ってたからね、わたし」
彼女の電波な話を馨がじっと黙って聞いていたのは、わざわざ口を挟むよりも黙っていた方が早く終わると思ったから。面倒ごとは耐えたぶんだけ早く終わるというのは、馨の持論である。
で、香が「というわけなんだよ」と電波な話を終えたと見るや、馨は「そうですか」と言いつつ席を立った。時計を見ればもう十時十分。すでに開店時間を過ぎている。急ぎランチ用のサラダの仕込みに取り掛かるべくキッチンへ向かおうとすると、香が「待ちなさい」と言いながら彼の手を掴んだ。
「なんですか。忙しいんですよ、これから」
「信じてないでしょ、わたしの話」
「そりゃ信じられるわけないでしょ。もし逆の立場ならどうです?」
「そりゃ信じないけど。でもわたしは信じてよ」
「言ってることめちゃくちゃですよ」
なんだか、埒が明かぬ感じの人だ。彼女の手から無理やり逃れた馨は、キッチンへ向かおうとしたが、そんな彼の前にマスター室藤が立ちはだかった。
「窪塚くん、信じてみたら?」
馨にとっては想定外の二対一。マスターの援軍を受けた香は、「ほら。ヒゲおじさんもそう言ってるし」とすっかり調子づく。
「店主ですよ、この人は。というか、室藤さんはなんでこんな人の味方するんですか?」
「勘」とマスターは短く答え、それを聞いた馨はがっくりと肩を落とした。寡黙なマスターとてやはり男、美人には弱いのだろうと考えた馨の脳裏には、〝男の性〟という言葉がはっきりと浮かんだ。
「よぉし。じゃ、ヒゲマスターのお墨付きも貰ったとこで証明してあげる。てことで、アポロチョコ持ってきて。昨日わたしが忘れたヤツ」
「どうしてまた急に?」
「アレを一粒かじるとビビッと映像が見えてくるの。不思議でしょ?」
「すごいですね。となると、ふた粒かじればタイムスリップできたりして」
「試したことはないけど、やりたくはないかなぁ。昔、三粒一気に食べてよくわかんない幻覚見たことあるから」
皮肉が通じず、馨は「……なるほど」と呟くしかなかった。
もはや、一旦満足させる以外にはこの人を追い返す術はない。諦めを受け入れた馨は、カウンターの上に置いてある忘れ物入れの網カゴからアポロチョコの箱を取り出し、それを香に渡す。「ありがと」とそれを受け取ってチョコを一粒手に取った彼女は、再び馨の手を取った。
「よし、行くよ、窪塚くん」
「どこに行くんですか」
「決まってるでしょ、わたしの未来」
ピンクとブラウンの二色に別れた小さな円錐が香の口内に飛び込んで行く。彼女の口内からチョコが砕けるコリという音がしたその瞬間――馨の視界は白く覆われた。
――なんだ? なんだ?!
困惑の声は形にすらならない。五感は整理されていない冷蔵庫みたいにしっちゃかめっちゃかで吐き気すら覚える。もがくことすら出来ないまま、馨が何も無いところをただ浮かび続けていると、やがて気色の悪い色が世界に滲み出てきた。あらゆる絵具を一枚のパレットに絞り出して適当に混ぜ合わせたようなその色は、間もなくして一色ごとに細かく分けられ、整列し、ぼやけた映像を創り出していく。
――夕焼け、公園、木、猫、赤い自転車、少女――。
不明瞭な景色が瞬間的に見えた後、世界は再び白く塗られ――馨は『しまうま』へと帰還した。彼の視界に映るのは、渾身のしたり顔を披露する香である。
「……今のは?」
「たぶん、今日の夕方あたりかな」
「……つまり、未来?」
「いやいや、だからそう言ってるでしょ」
あっさり言うと彼女は馨と繋いでいた手を放し、「これでわたしが変質者じゃないってことがわかったね? じゃ、帰るから」と宣言しながら席を立って、せかせかとした足取りで店を出て行った。
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