18 / 35
十八粒目 逃亡の理由
しおりを挟む
ふたりのカオルは警察に捕まりたくない一心で、小太りの男へ美緒に会ってから今に至るまでのことを嘘偽りなく説明した。美緒が彼を〝お見合い相手で生粋のロリコン〟と評していたこと。美緒はそんな彼と結婚したくないゆえに逃げていたと言っていたこと。自分達はそんな彼女に同情して逃亡を手伝っただけだということ。
〝未来〟云々のことを言わなかったのは無論、余計な混乱を招くのを防ぐためである。
ふたりの弁明を受けた男は険しい顔をしていたが、「この子たちは嘘をつくような人じゃない」とその場に居合わせた足立、島津から弁護を受け、「なるほど」と一応は納得したらしい。が、続けて「でも、あんな小さい子の言うことを信じたのか?」と言われてしまえば、当然信じていなかった馨としては「まあ」と答えることしか出来なかった。
「ま、いいよ。無事にあの子は捕まえたから」
そう言って男が去っていこうとしたその時、足立が「待った」と声を上げた。
「不公平だと思うけどね。そもそも、あなたが不審者でないと証明されたわけじゃないんだ。あなたも、身分を明らかにするべきではないのかな?」
「ちょ、ちょっと。足立さん」と馨は彼女を止めようとしたが、彼女は「いいだろう。間違ったことは言ってないはずだよ」と言って聞かない。彼女の言い分は正しいのであろうが、いつ何時でも正しいことが正しいとは限らない。
小太りの男は何も答えず渋い顔をする。不用意な詮索をした挙句、警察を呼ばれたら困る。女装へと決意をすでに固めていた馨は、「もう行きますね」と香の腕を引こうとしたが、その寸前、「まあたしかに、身内が迷惑をかけたのは事実だしな」と男が独り言のように呟いたのを見て、潮流が変わったことを理解した。
男は両手を腰に当てながら語りだした。
「……美緒は僕の姪だ。それで、あの子を連れて行ったのは僕の姉……つまり、あの子の母親だよ。半年くらい前に、美緒の父親は交通事故に遭ってね。もう何ヶ月も目を覚ましてない。最近になって急に容態が悪化して……医者が言うには、もういつ亡くなってもおかしくない状態らしい。それで、あの子をお見舞いに連れて行こうとしたんだが、電車に乗る寸前に逃げられて、姉さんと一緒に追いかけてたんだ。あの子は、父親との思い出の場所をぐるぐる回ってたみたいでね。追いかけるのは楽だったけど、なかなか捕まえられなかった。どこかのお人好しのせいでね」
彼はふたりのカオルへ交互に視線を送り、それから歯痒そうに吐き捨てた。
「〝その時〟に立ち会って貰えないのは、父親にとって不憫だろう。無理やりに見えたことは間違いないとは思うけどさ。とにかく、僕たちは怪しい者じゃない」
彼の話を聞いて馨は、ようやく「そうか」と理解した。
――ああ。だから俺は、あの子の姿にどこか親近感を覚えたんだ。だから俺は、あの子の姿にどこか既視感を覚えたんだ。
気づきと共に、馨の中に湧き上がってくる感情があった。衝動的な怒りに近い、熱いものだ。彼は自らの感情のまま、「そりゃ、普通なら逃げると思いますよ」と男に向かって半ば喧嘩腰で吐き捨てた。
「カオルくん?」
怒りの気配を感じ取った香は彼を止めようとしたが――もう遅い。堰を切った彼の言葉は止まらなかった。
「そりゃ嫌ですよ。お見舞いなんて。あの子は賢い子です。わかってるんですよ、自分のお父さんがもうすぐ死ぬって。嫌がるに決まってるじゃないですか。もうすぐ死ぬ人に会うだなんて。当たり前ですよ、そんなの。わかってあげてくださいよ。相手はまだ子供なんですよ?」
その物言いにムッとした表情を浮かべた小太りの男は、馨にぐいと詰め寄る。
「でも、こういう時に無理にでも腕を引っ張ってやるのが、大人としての役割――」
「そんなのはわかってますよ。でも、理屈じゃないです。人が死ぬんですよ。怖いに決まってるじゃないですか。周りが見えなくなるくらい」
これ以上話せば、きっと抑えが利かなくなる。そう判断した馨は「失礼します」と一礼してその場を去った。しばらく歩いたが、男は追ってこなかった。
空には夕焼けの気配が滲み始めている。通りには昼間よりも幾分か清涼感の感じられる風が吹き抜けているものの、その程度では焦げた馨の頭が冷えることはない。
――くそ、くそ、くそ!
やり場のない思いを抱えていると余計に心が沸騰する。叫びたくなる衝動をなんとか堪えながら、行く当てもなく馨が道を歩いていていると、背後から香が追ってきた。
「ずいぶん急だったね、カオルくん」と、いつもと変わらぬ調子で話す彼女にもどかしさを覚えた馨は、歩くのも止めず「急ですいませんでしたね」と刺々しいのを隠さずに返す。そんな彼に苛立つ様子も怒る様子もなく、香はのんびりと続けた。
「でも、ああいう人に怒るカオルくんの気持ち、ちょっとだけどわかるよ」
「わからないと思いますよ。あの子と違って俺の場合は母親ですけど、似たような状況になって……それで、亡くなってますから」
「そっか。じゃ、やっぱりわかるよ。わたしの場合はお父さんとお母さんだったから」
ゆるやかな口調の彼女の言葉を聞いた馨は、さながら辻斬りに遭ったような衝撃を受けた。同時に、自分や美緒だけが世界の不幸の中心にいるような態度をとってしまったことが堪らなく恥ずかしくなった。彼は歩みを止め、ただただ「すいません」と謝ることしかできなかった。
「いいよ、カオルくんのせいじゃないし。それに、そういう時って誰にだってあるでしょ」
諭すような口調の彼女を前に、小学生に戻ったような気分になりながら、馨はもう一度「すいません」と呟く。「許す」と彼女が額を人差し指で弾いてくれて、彼は不思議と嬉しくなって、口元が微笑みで緩んだ。
「……お姉さん。許されたついでに、わがままいいですか」
「言え言え。もうガンガン言っちゃえ」
「俺、もう一回あの子に会いたいです」
「超同感。わたしだって、『ありがとう』って言うあの子を見ないと駄目になるから」
にやりと笑った香は、「じゃ、奥の手出しちゃいますか」と意気込んで見せるとポケットを探った。取り出したのはお馴染みのアポロチョコである。長方形の箱をナイフのように構えた彼女は、「ウフフ」と怪しく笑いながらザザと粒を手のひらに広げていく。
「な、なにするつもりですか?」
「ひと粒食べればほんの一瞬。もうひと粒食べればさらにもう一瞬。あの子がどこにいたのか確かめられるまで、未来にこもるの」
手のひら一杯に溢れんばかりのアポロチョコ。食べたところで害は無いのだろうが、見るだけで口の中が甘ったるくなってくる。
「大丈夫なんですか、それ。ひと粒だけでも結構クラっときましたけど」
「平気平気。慣れっこだよ。未来を実現させるためなら、このくらい」
ぐっと親指を立てて答えた香は、手のひらに乗せたチョコを数秒おきに頬張っていく。だんだんと額に脂汗が浮き出てくるその様は、なんだかアブないクスリを服用するかの如くである。
チョコの数が十四粒目に到達したその瞬間、彼女は電源を落としたように立ったまま動かなくなった。「どうしました?」と馨が声を掛けても返事が無い。十秒経ち、二十秒経ち、いよいよ不安になった馨が救急車を呼ぼうかと決心したその時、急に動いた彼女の身体がよろけて倒れそうになった。慌てて支え、「大丈夫ですか?!」と声を掛けると、彼女は「問題無し」と答えて親指で鼻を拭う。
「よっしゃ。行くよ、カオルくん。あの子に会いに」
不敵に笑う香の表情は、馨の目にはなんとも頼もしく映った。
〝未来〟云々のことを言わなかったのは無論、余計な混乱を招くのを防ぐためである。
ふたりの弁明を受けた男は険しい顔をしていたが、「この子たちは嘘をつくような人じゃない」とその場に居合わせた足立、島津から弁護を受け、「なるほど」と一応は納得したらしい。が、続けて「でも、あんな小さい子の言うことを信じたのか?」と言われてしまえば、当然信じていなかった馨としては「まあ」と答えることしか出来なかった。
「ま、いいよ。無事にあの子は捕まえたから」
そう言って男が去っていこうとしたその時、足立が「待った」と声を上げた。
「不公平だと思うけどね。そもそも、あなたが不審者でないと証明されたわけじゃないんだ。あなたも、身分を明らかにするべきではないのかな?」
「ちょ、ちょっと。足立さん」と馨は彼女を止めようとしたが、彼女は「いいだろう。間違ったことは言ってないはずだよ」と言って聞かない。彼女の言い分は正しいのであろうが、いつ何時でも正しいことが正しいとは限らない。
小太りの男は何も答えず渋い顔をする。不用意な詮索をした挙句、警察を呼ばれたら困る。女装へと決意をすでに固めていた馨は、「もう行きますね」と香の腕を引こうとしたが、その寸前、「まあたしかに、身内が迷惑をかけたのは事実だしな」と男が独り言のように呟いたのを見て、潮流が変わったことを理解した。
男は両手を腰に当てながら語りだした。
「……美緒は僕の姪だ。それで、あの子を連れて行ったのは僕の姉……つまり、あの子の母親だよ。半年くらい前に、美緒の父親は交通事故に遭ってね。もう何ヶ月も目を覚ましてない。最近になって急に容態が悪化して……医者が言うには、もういつ亡くなってもおかしくない状態らしい。それで、あの子をお見舞いに連れて行こうとしたんだが、電車に乗る寸前に逃げられて、姉さんと一緒に追いかけてたんだ。あの子は、父親との思い出の場所をぐるぐる回ってたみたいでね。追いかけるのは楽だったけど、なかなか捕まえられなかった。どこかのお人好しのせいでね」
彼はふたりのカオルへ交互に視線を送り、それから歯痒そうに吐き捨てた。
「〝その時〟に立ち会って貰えないのは、父親にとって不憫だろう。無理やりに見えたことは間違いないとは思うけどさ。とにかく、僕たちは怪しい者じゃない」
彼の話を聞いて馨は、ようやく「そうか」と理解した。
――ああ。だから俺は、あの子の姿にどこか親近感を覚えたんだ。だから俺は、あの子の姿にどこか既視感を覚えたんだ。
気づきと共に、馨の中に湧き上がってくる感情があった。衝動的な怒りに近い、熱いものだ。彼は自らの感情のまま、「そりゃ、普通なら逃げると思いますよ」と男に向かって半ば喧嘩腰で吐き捨てた。
「カオルくん?」
怒りの気配を感じ取った香は彼を止めようとしたが――もう遅い。堰を切った彼の言葉は止まらなかった。
「そりゃ嫌ですよ。お見舞いなんて。あの子は賢い子です。わかってるんですよ、自分のお父さんがもうすぐ死ぬって。嫌がるに決まってるじゃないですか。もうすぐ死ぬ人に会うだなんて。当たり前ですよ、そんなの。わかってあげてくださいよ。相手はまだ子供なんですよ?」
その物言いにムッとした表情を浮かべた小太りの男は、馨にぐいと詰め寄る。
「でも、こういう時に無理にでも腕を引っ張ってやるのが、大人としての役割――」
「そんなのはわかってますよ。でも、理屈じゃないです。人が死ぬんですよ。怖いに決まってるじゃないですか。周りが見えなくなるくらい」
これ以上話せば、きっと抑えが利かなくなる。そう判断した馨は「失礼します」と一礼してその場を去った。しばらく歩いたが、男は追ってこなかった。
空には夕焼けの気配が滲み始めている。通りには昼間よりも幾分か清涼感の感じられる風が吹き抜けているものの、その程度では焦げた馨の頭が冷えることはない。
――くそ、くそ、くそ!
やり場のない思いを抱えていると余計に心が沸騰する。叫びたくなる衝動をなんとか堪えながら、行く当てもなく馨が道を歩いていていると、背後から香が追ってきた。
「ずいぶん急だったね、カオルくん」と、いつもと変わらぬ調子で話す彼女にもどかしさを覚えた馨は、歩くのも止めず「急ですいませんでしたね」と刺々しいのを隠さずに返す。そんな彼に苛立つ様子も怒る様子もなく、香はのんびりと続けた。
「でも、ああいう人に怒るカオルくんの気持ち、ちょっとだけどわかるよ」
「わからないと思いますよ。あの子と違って俺の場合は母親ですけど、似たような状況になって……それで、亡くなってますから」
「そっか。じゃ、やっぱりわかるよ。わたしの場合はお父さんとお母さんだったから」
ゆるやかな口調の彼女の言葉を聞いた馨は、さながら辻斬りに遭ったような衝撃を受けた。同時に、自分や美緒だけが世界の不幸の中心にいるような態度をとってしまったことが堪らなく恥ずかしくなった。彼は歩みを止め、ただただ「すいません」と謝ることしかできなかった。
「いいよ、カオルくんのせいじゃないし。それに、そういう時って誰にだってあるでしょ」
諭すような口調の彼女を前に、小学生に戻ったような気分になりながら、馨はもう一度「すいません」と呟く。「許す」と彼女が額を人差し指で弾いてくれて、彼は不思議と嬉しくなって、口元が微笑みで緩んだ。
「……お姉さん。許されたついでに、わがままいいですか」
「言え言え。もうガンガン言っちゃえ」
「俺、もう一回あの子に会いたいです」
「超同感。わたしだって、『ありがとう』って言うあの子を見ないと駄目になるから」
にやりと笑った香は、「じゃ、奥の手出しちゃいますか」と意気込んで見せるとポケットを探った。取り出したのはお馴染みのアポロチョコである。長方形の箱をナイフのように構えた彼女は、「ウフフ」と怪しく笑いながらザザと粒を手のひらに広げていく。
「な、なにするつもりですか?」
「ひと粒食べればほんの一瞬。もうひと粒食べればさらにもう一瞬。あの子がどこにいたのか確かめられるまで、未来にこもるの」
手のひら一杯に溢れんばかりのアポロチョコ。食べたところで害は無いのだろうが、見るだけで口の中が甘ったるくなってくる。
「大丈夫なんですか、それ。ひと粒だけでも結構クラっときましたけど」
「平気平気。慣れっこだよ。未来を実現させるためなら、このくらい」
ぐっと親指を立てて答えた香は、手のひらに乗せたチョコを数秒おきに頬張っていく。だんだんと額に脂汗が浮き出てくるその様は、なんだかアブないクスリを服用するかの如くである。
チョコの数が十四粒目に到達したその瞬間、彼女は電源を落としたように立ったまま動かなくなった。「どうしました?」と馨が声を掛けても返事が無い。十秒経ち、二十秒経ち、いよいよ不安になった馨が救急車を呼ぼうかと決心したその時、急に動いた彼女の身体がよろけて倒れそうになった。慌てて支え、「大丈夫ですか?!」と声を掛けると、彼女は「問題無し」と答えて親指で鼻を拭う。
「よっしゃ。行くよ、カオルくん。あの子に会いに」
不敵に笑う香の表情は、馨の目にはなんとも頼もしく映った。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
小さなパン屋の恋物語
あさの紅茶
ライト文芸
住宅地にひっそりと佇む小さなパン屋さん。
毎日美味しいパンを心を込めて焼いている。
一人でお店を切り盛りしてがむしゃらに働いている、そんな毎日に何の疑問も感じていなかった。
いつもの日常。
いつものルーチンワーク。
◆小さなパン屋minamiのオーナー◆
南部琴葉(ナンブコトハ) 25
早瀬設計事務所の御曹司にして若き副社長。
自分の仕事に誇りを持ち、建築士としてもバリバリ働く。
この先もずっと仕事人間なんだろう。
別にそれで構わない。
そんな風に思っていた。
◆早瀬設計事務所 副社長◆
早瀬雄大(ハヤセユウダイ) 27
二人の出会いはたったひとつのパンだった。
**********
作中に出てきます三浦杏奈のスピンオフ【そんな恋もありかなって。】もどうぞよろしくお願い致します。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
君のために僕は歌う
なめめ
青春
六歳の頃から芸能界で生きてきた麻倉律仁。
子役のころは持てはやされていた彼も成長ともに仕事が激減する。アイドル育成に力を入れた事務所に言われるままにダンスや歌のレッスンをするものの将来に不安を抱いていた律仁は全てに反抗的だった。
そんな夏のある日、公園の路上でギターを手に歌ってる雪城鈴菜と出会う。律仁の二つ上でシンガーソングライター志望。大好きな歌で裕福ではない家族を支えるために上京してきたという。そんな彼女と過ごすうちに歌うことへの楽しさ、魅力を知ると同時に律仁は彼女に惹かれていった………
恋愛、友情など芸能界にもまれながらも成長していく一人のアイドルの物語です。
【完結】『左遷女官は風花の離宮で自分らしく咲く』 〜田舎育ちのおっとり女官は、氷の貴公子の心を溶かす〜
天音蝶子(あまねちょうこ)
キャラ文芸
宮中の桜が散るころ、梓乃は“帝に媚びた”という濡れ衣を着せられ、都を追われた。
行き先は、誰も訪れぬ〈風花の離宮〉。
けれど梓乃は、静かな時間の中で花を愛で、香を焚き、己の心を見つめなおしていく。
そんなある日、離宮の監察(監視)を命じられた、冷徹な青年・宗雅が現れる。
氷のように無表情な彼に、梓乃はいつも通りの微笑みを向けた。
「茶をお持ちいたしましょう」
それは、春の陽だまりのように柔らかい誘いだった——。
冷たい孤独を抱く男と、誰よりも穏やかに生きる女。
遠ざけられた地で、ふたりの心は少しずつ寄り添いはじめる。
そして、帝をめぐる陰謀の影がふたたび都から伸びてきたとき、
梓乃は自分の選んだ“幸せの形”を見つけることになる——。
香と花が彩る、しっとりとした雅な恋愛譚。
濡れ衣で左遷された女官の、静かで強い再生の物語。
田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜
侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」
十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。
弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。
お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。
七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!
以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。
その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。
一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる