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嵐7

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 山を抜けると漁師たちは帰っていった。広い草原が続き野宿を2晩繰り返すと商人が言う大きな街に出た。城門を潜り街に入る。カトマンズと同じくらいの街か。
「ここの商人がスラトとカトマンズを行き来しています」
と商人が持っている地図を広げる。それから彼が定宿にしている旅館に泊まる。下忍は街の中を探索に回り茉緒は商人とここの一番大きいと言われる商人に会いに行く。長い時間待たされてようやくここの番頭に会える。
「スラトから来ました」
「扱い物は干物か?」
 茉緒は下忍から荷を取り見本を並べる。絹からお茶から金まで何でもある。もちろん鉄砲も見せる。
「こんなものはスラトにはないはずだが?」
「アユタヤから南蛮船で運んできます。デリーにも商人の紹介で」
と商人の名を示すと番頭が部屋を出て行った。しばらくして黒ひげの主人が出てくる。
「デリーの商人を知っているのか?私の商隊は年に2往復している。お嬢さんは大きくなられただろうな?」
「可愛いお嬢さんになられています」
「あなたは女の身で商隊を?」
「私は日本から来ました?」
「それは!」
 彼は地球儀を持ってこさせると指された場所に驚いている。示した茉緒もその小ささに驚いている。
「昔、その国の王が朝鮮を攻めたと聞いています」
「今はその豊臣も滅んで徳川と言う王になっています」
「では注文をしましょう」
 1刻半の商談の上旅館に戻った。
「ここの王宮は騎馬隊を3千持っていてかなり戦闘的です。デリーとも昔は10年ほど戦争をしていたそうです。この周辺に10ほどの部族を従えているようです」
「部族の騎馬を入れると1万騎とも言われています」
 下忍がそれぞれ調査してきた報告をする。茉緒は次の日あの商人と王宮に上がり経済相と面談する。ここでも鉄砲の商談をこの商人を経て契約した。












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