夢の橋

夢人

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出会う11

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 遂に西郷の私学校に薩摩本営の門標が掲げられたと新聞が報じた。それで急遽伯爵は蜘蛛と地下道で皇居に出かけた。天皇と会うようだ。それで私は賭場に混じった。総司も蜘蛛の代わりに仕込み杖を持って賭場の片隅に座っている。書斎には源内が本棚の書籍を探している。
 ちょうど今から黒揚羽がサイを振る。黒揚羽がサイを振ると人が急に集まってくる。私は懐に手を入れて短銃を握った。入口近くの壁に強い目線の男がいる。村山たかとは思えないが怪しい男だ。総司を見ると片足を立てている。急にサイを持った黒揚羽が指を指した。
「そのものはスパイよ」
 ほとんど同時にその男が短銃を抜いた。私も同時に短銃を抜いた。総司が立ち上がって真剣を抜いた。一瞬周りが凍り付いた。やはり村山たかだった。たかの銃身は黒揚羽から総司に向きを変えた。ほとんど同時に銃声が上がった。だが銃声は私には3発聞こえた。総司が身を翻してたかに向かう。もう一発は黒揚羽の胸を撃ち抜いていた。私の弾丸はたかが伏せたので肩を突き抜けてお終わった。
「おりゃー!」
の声と共にたかが袈裟懸けで総司に切られた。
 源内は警察の捜査を恐れて黒揚羽とたかの体を地下室に運び込んだ。源内は娘に手術のよう言わさせた。総司と私が助手に着く。いつの間にか伯爵が戻って来ていて黒揚羽の前に立っている。
「どうも私はまた次の時代に行く時が来たようです」
「そうか?」
「この女はまだこの世ですべきことがあります。殺さないで上げてください」
 ゆっくりと目を閉じる。源内が心臓に耳を当てて首を振る。不思議なことに黒揚羽の体が少しずつ消えていく。
「村山たかは?」
「総司の一撃を受けて危うい状態です。今夜が山場かと?」
 総司がたかの全裸の乳房を拭いている。源内が傷口を縫い終わった。





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