夢の橋

夢人

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夜明け前2

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 戻って伯爵は開かずの間だった2階の寝室に村山たかと上がった。源内は当然と言う風に引っ越しを手伝うように言った。孫六は元執事の玄関の近くの部屋に入った。翌朝私は総司を起こして練習に出た。私は短銃ではなく元々の得意だった短刀を抜いた。
「死ぬよ」
 総司が剣の柄に手をかけた。私の頭の中に一の死ぬ気でと言う言葉が巡っている。自分でも信じれない足が出た。総司の剣が抜かれた。その胸元に入っている。もう真っ暗だ。私の体が宙に舞った。だが私を切り捨てたはずの総司が転がっている。
「あんな短刀使えるのね?」
 総司は目を据えて立ち上がる。だが剣はさやに納まっている。胸に血が浮き上がっている。
「ごめん!」
「たまには鼠も本気出さないとね?間合いが思ったより伸びた。でもかすり傷だから」
「切ってくれ!」
「あれが斎藤一だったら殺されていたよ」
「総司治療してあげる。鼠は伯爵が呼んでいるわ」
 源内の娘だ。彼女も総司が女だと知っている。
 書斎に戻ると伯爵が正装して立っている。
「これから地下道で皇居に上がる。蜘蛛は井戸で見張ってくれ。鼠は書生になれ」
 地下道を抜けると皇居に入った。部屋から岩倉が出てくる。伯爵は軽く頭を下げてその部屋に入る。
「やはり止めれなかったな?」
「はい」
「岩倉と大久保が組むとはな?大久保は攻撃の許可を取る前にすでに熊本城を攻めたようだ。彼らには天皇も何もない。やはり今回野に下った男と会ってくれ?」
「板垣退助ですか?」





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