夢の橋

生活15

　源内に呼ばれて手術室に入る。ベットに下半身むき出しの娘が横たわっている。源内が電灯で膣の中を見ている。
「生まれなかったな？流産でもない」
「どうして？」
「分からん」
「私失敗したことがないのに」
「と言うことだ鼠、もう一度実験をしたいのだがな？」
「もうしたくないのです」
　源内も娘も総司が入れ替わったことは知らない。私は部屋を出ると珍しく書斎にいる総司に声をかける。
「どうも子供は生まれなかったようだ」
「もう生まれないの？」
「源内が言っていた」
「向こうの私は？」
「毎晩抱いている。これから？」
「伯爵が珍しく皇居で天皇と会うことになっているの」
「久しぶりに地下道で？」
「伊藤博文とは内緒の話のようなの。たかの話伯爵にはしているの？」
「まだ話していない。会わない方がいいように思うのだ」
　すでにかなりの資料を集めている。玄道も連載を載せる予定になっている。まるで別人のような凶悪犯になっている。すでに３０人は殺しているという。スパイと言うのではなく賞金稼ぎのようだ。ホークと言われ恐れられている。
「執事の孫六は？」
「伊藤博文の仕事でしばらく官邸にいるようだわ」
　玄関から伯爵の声がする。