夢の橋

夢人

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夢の橋15

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 もはやお局も平社員だから直帰には気を使わない。タクシーに乗って夕暮れの街の中を走る。タクシーがネオン街の細い道を抜ける。用心のため何度か細い道に入ってもらい尾行を確認した。花屋敷から入ってここは吉原の一番外れだ。
「この辺りですね?」
 運転手に言われてタクシーを降りる。この辺りは昔風の小さなソープが並んでいる。細い路地に入って渡された店の名を見つけた。ここは呼び込みもいない。中に入って声をかける。
「乾さんですか?」
 やり手婆が顔を出す。答えると、
「ここは一番端にあるんで常連客しか来ない。お抱えは1人もう歳さ。女の子は契約している店から呼ぶ。部屋は5つあるが2階の3室は今一人が専用で使っている」
と2階の階段を上がる。
「今は一番奥の部屋を使ってるな?」
と独り言を言うように戸を開ける。
「今日で5日め、7人呼んだがこの子が気にいっているようや」
 長い髪の女のお尻が見える。女が上に跨っている。男のものがしっかり膣に埋まっている。
「あの薬を飲むといつまでも立つようだな?」
 私はゆっくり表に回る。東が得意のドラックを飲ませたのだ。
「来た時からこの調子ですか?」
「やはり女の人が連れてきたがその時もこの調子さ」
 完全に室長は白目を剥いている。だが女も涎を流している。女も飲んだようだ。どうも相当な金を渡してここに置いているようだ。すでにここに来る前からドラックを飲ませていたのだろう。あの最年長の同僚が死んだ時と似ている。
「連れて来た女はこんな顔でしたか?」
「違うな?短髪で20歳台に見えたな?」
 この頃は東は尾骶骨にひびが入っていて抱かれる状況ではなかった。
 その時メールが入ってきた。女の顔が映らないように室長を撮って送ってとある。送ってもう一度見るとこの女の尻は東の尻に似ている。

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