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ご相談

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 回復術士が到着し、応急処置としてその場で回復魔術をかけていく。
 魔術だけでは全ては治らないので薬品に浸した布を当て、包帯を巻く。

「あ……ありがとうございます。かなり楽になりましたわ」

「油断なさらず定期的に医者に診てもらってくださいね」

 フランシスは痛ましそうな顔をしているが、とはいえ手伝ってもらえば馬に乗れる程度には治っている。

(少しかゆいけれど回復魔術ってすごいわね。)

「島の砂浜で観光客の一団五名を発見しました。全員生存、魔物との接近、視認もないそうです」

「そうか。話を聞きたいからそっちに向かおう。イヴェット様のお知り合いかもしれない」

(……ッ。ダーリーンは逃げられたのね)

 そのことには素直に安堵する。
 しかし、それは自分を殺そうとする人間がまだ生きているという事だった。

(私を殺そうとしている事はバレているから、今度こそ容赦なく殺しにくるかもしれない。そもそも私がダーリーンの計画を訴えても聞いてくれる人は、いない)

 トレイシーは信じてくれるだろう。
 しかし彼女はイヴェット付きの侍女だった。
 主人の味方をするとして発言権はないに等しい。
 逆にダーリーン達はヘクター、カペル夫人、パウラが結託しているだろう。

(ヘクターは私を林に連れていかれる時に見殺しにしたも同然だし、私が死んだ方が愛人のジェニファーと一緒になれて都合がいい。カペル夫人はきっと私を恨んでいるわ。お義母様がそう吹き込んでいるでしょう。パウラは私の味方になる理由がない)

「イヴェット様? 顔色が悪いようですがまだどこか痛むところが?」

 このまま戻れば殺されることに気付いたイヴェットの顔色は真っ白だった。
 自分の体を押さえつけても震えが止まらない。

(もしかしたらお義母様たちを逆上させてしまうかもしれない。でも、今は確実な安全が必要だわ)

「……アークリエ騎士団の皆様、お話とお願いがございます」





「夫が……魔物に襲われた?」

 その場で倒れかけたカペル夫人を近くの騎士が慌てて支える。
 ダーリーン達は顔を見合わせた。
 トレイシーが割り込むように訪ねる。

「あのっ、もう一人いませんでしたか? 私と同じくらいの年齢の女性なんですが」

「それが我々が駆け付けた時には既に襲われており、一命は取り留めたのですが怪我を負われてしまいまして。今は騎士団の医療車に乗せて病院に運んでいる所です」

「そんな……」

 騎士団はガイド達が停船していた所から丁度見えない所に船をつけていた。
 魔物討伐により現地住民に不安を与えない為だがそれがガイド達に伝わっていなかったらしい。
 厳重注意を受けながらも騎士団は一行を連れてイヴェットのいる病院へと向かった。
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