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そら汰★

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 高笑いする俺を双子はポカンとしながら見つめている。

「もうこの際一度犯されたことは水に流してやる。友達もこのまま継続だ。ただし二度と俺に触れるな。いいな? もし、またあんなことしたら……バラすからね♡」

 口にしてみたら意外と気持が楽になる。さっきまでの落胆ぶりはどこへやら。自分はこう見えて意外と打たれ強いのだ。
 勝ち誇ったようにニヤリと笑うと、双子は顔を見合わせ、目で意思の疎通をしているのか黙ったままだ。

「それじゃ、俺……帰るわ。風呂貸してくれ。あと俺の服と荷物ヨロシク♡」

 二人の間を四つん這いでするりと脱け出すと、床に足を付けて立ち上がってみる。鈍痛に顔を歪め昨夜の激しい行為を思い出すと、ブンブンと首を振り卑猥な記憶を追い払う。
 痛みはあるが目覚めたときよりはましである。フラフラと生まれたての子鹿のようによろけながら扉を目指し寝室を出ると、蒼海のマンションで間違いはなかった。
 うしろにチラリと視線を向けると、双子達はまだお互いに見つめ合っている。同じ顔で同じ表情。合わせ鏡を見ているようで、なぜだかププっと笑えてくる。
 ベッドルームはどうやらこちらがメインだったようだ。あの狭いシングルベッドの部屋は、ゲストルームなのだろう。

 どういうつもりで、コッチ使わなかったんだよ……。
 まぁ、俺はあの狭い部屋のほうが、話できて好きだったけど……。

 勝手知ったる蒼海のマンション。
 風呂を借りシャワーを浴びる。鏡に映る自分の姿を見れば、身体中に紅い跡が散らばっている。いずれは消えるこの跡も、犬に噛まれたと思えば大したことはない……はずだ。
 明るく振る舞いお前達など眼中にないと、少し強がった節もある。弱い自分を見せた途端に、二人の勢いに丸め込まれてしまうような気がした。
 二人の思い通りになんてさせてやらない。俺のちょっとした抵抗。
 頭上から降り注ぐ冷たいシャワーを浴びながら、ギュッと唇を噛み締めると、排水口に流れる水と共に哀しい気持ちも一緒に流していった。
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