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8件目 あの夏の続き、ようやく届いた言葉
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「おーい、そこの真面目くーん。まだ帰んないの?」
放課後の教室に響いた、どこか軽い声。俺はノートから顔を上げる。そこに立っていたのは、長身で褐色肌、制服のシャツをゆるく着崩した黒ギャル――
「……詩織先輩」
「先輩、ってのやめなよ。昔は“しーちゃん”って呼んでたじゃん」
「子どもの頃の話ですよ、それ」
彼女――黒江詩織(くろえしおり)は俺の幼馴染。二つ上の先輩で、誰もが振り向くような存在。
ギャルなのに成績は上位、運動神経も抜群。外見は派手なのに、根は誰より面倒見がいい。俺のことも、昔からよく世話を焼いてくれた。
そんな彼女に、俺はずっと――恋をしていた。
だけど、ただの幼馴染って関係に甘えて、何も言えずにここまできた。
「なんか、最近冷たくない? 彼女できたとか?」
「……そんなの、いるわけないです」
「ふーん。じゃあ、さ。好きな人、いんの?」
その言葉に、胸がドクンと跳ねた。俺は無意識に視線をそらす。
「……何その反応。いるんじゃん。誰?」
「……詩織、先輩です」
「え?」
沈黙が落ちた。さっきまで笑っていた詩織の顔が、ほんの少し驚いたように揺れる。
「ずっと前から、好きでした。俺なんかじゃ釣り合わないって、わかってたけど。それでもずっと、好きで……」
一気に言い切ってしまった。もう戻れない。
けど、詩織は笑った。
「……そっか。やっと言ったんだ」
「え?」
「気づいてたよ。ずっと。でも、あんたが言うまで待ってた」
「……なんで」
「私ね、あんたに追いかけられたかったんだ。昔は私が先に走って、あんたが後ろで泣いてて。でも今はさ、あんたの目、まっすぐで、ちゃんと私を見てる」
俺は彼女の顔を見つめた。夕焼けに染まるその横顔が、あまりにも綺麗で、言葉を失った。
「でさ、告白されたってことは……お返し、いるよね?」
「えっ」
その瞬間、詩織の手が俺の襟をつかんで、ぐいっと引き寄せられた。
距離が、ゼロになる。
唇が触れたのは一瞬だったのに、世界が変わった気がした。
「なにその顔。可愛い」
「……心臓がやばいです」
「じゃあ、ちゃんと鍛えといて。あんたの彼女、刺激強めだからさ?」
俺の胸の中が、一気に熱くなる。
「じゃ、これからは彼氏くんって呼んでもいい?」
「そ、それは……!」
「うそうそ。冗談。……でも、好きだよ。昔から、ずっと」
その言葉だけで、十年越しの想いが救われた気がした。
詩織先輩――いや、詩織。
俺たちの関係は、幼馴染を卒業して、ようやく恋人になった。
あの夏の思い出の続きは、今やっと始まったばかりだ。
「んっ……ちゅっちゅっ、んっ……、れろっちゅ……っ……、れろれろっちゅっ、ちゅここっ、えろっちゅぴっ、れろれろっちゅっ、んっ……」
放課後の教室に響いた、どこか軽い声。俺はノートから顔を上げる。そこに立っていたのは、長身で褐色肌、制服のシャツをゆるく着崩した黒ギャル――
「……詩織先輩」
「先輩、ってのやめなよ。昔は“しーちゃん”って呼んでたじゃん」
「子どもの頃の話ですよ、それ」
彼女――黒江詩織(くろえしおり)は俺の幼馴染。二つ上の先輩で、誰もが振り向くような存在。
ギャルなのに成績は上位、運動神経も抜群。外見は派手なのに、根は誰より面倒見がいい。俺のことも、昔からよく世話を焼いてくれた。
そんな彼女に、俺はずっと――恋をしていた。
だけど、ただの幼馴染って関係に甘えて、何も言えずにここまできた。
「なんか、最近冷たくない? 彼女できたとか?」
「……そんなの、いるわけないです」
「ふーん。じゃあ、さ。好きな人、いんの?」
その言葉に、胸がドクンと跳ねた。俺は無意識に視線をそらす。
「……何その反応。いるんじゃん。誰?」
「……詩織、先輩です」
「え?」
沈黙が落ちた。さっきまで笑っていた詩織の顔が、ほんの少し驚いたように揺れる。
「ずっと前から、好きでした。俺なんかじゃ釣り合わないって、わかってたけど。それでもずっと、好きで……」
一気に言い切ってしまった。もう戻れない。
けど、詩織は笑った。
「……そっか。やっと言ったんだ」
「え?」
「気づいてたよ。ずっと。でも、あんたが言うまで待ってた」
「……なんで」
「私ね、あんたに追いかけられたかったんだ。昔は私が先に走って、あんたが後ろで泣いてて。でも今はさ、あんたの目、まっすぐで、ちゃんと私を見てる」
俺は彼女の顔を見つめた。夕焼けに染まるその横顔が、あまりにも綺麗で、言葉を失った。
「でさ、告白されたってことは……お返し、いるよね?」
「えっ」
その瞬間、詩織の手が俺の襟をつかんで、ぐいっと引き寄せられた。
距離が、ゼロになる。
唇が触れたのは一瞬だったのに、世界が変わった気がした。
「なにその顔。可愛い」
「……心臓がやばいです」
「じゃあ、ちゃんと鍛えといて。あんたの彼女、刺激強めだからさ?」
俺の胸の中が、一気に熱くなる。
「じゃ、これからは彼氏くんって呼んでもいい?」
「そ、それは……!」
「うそうそ。冗談。……でも、好きだよ。昔から、ずっと」
その言葉だけで、十年越しの想いが救われた気がした。
詩織先輩――いや、詩織。
俺たちの関係は、幼馴染を卒業して、ようやく恋人になった。
あの夏の思い出の続きは、今やっと始まったばかりだ。
「んっ……ちゅっちゅっ、んっ……、れろっちゅ……っ……、れろれろっちゅっ、ちゅここっ、えろっちゅぴっ、れろれろっちゅっ、んっ……」
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